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妖精島の妖精の日常  作者: 紅夜阿灸
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第六話~脱出~

「こんなに鎖をぼろにしちまったら、次に見回りが来たときどうすんだ!」

「え…?鍵外して、その後また鍵かけるつもりだったの?」

「おう」


コルミヤは大きく首を縦に振った。これは鎖を破壊しておいて正解だったかもしれない。こんな退屈な時間を過ごすのは、もう、嫌だ!


「っち…じゃあねぇな。予定変更だ。出るぞ」


そう言って、コルミヤは腰に下げてあるいくつもの鍵の中から新たに一つ手に取った。

これだけの鍵を持っていると言うことはコルミヤはかなり地位が高いのだろうか?

彼は鉄格子の隙間に腕を通し、そこから鍵を開ける。


「よし、とりあえずここから出よう。次の見回りが来るまでには、あと数分くらいしか無いから急げ」

「はいはい、」


鉄格子をそっと開けたコルミヤは左右を確認してから外に出た。それに続いて私も外に出る。そして、壁にかっかた松明が橙色に揺らす階段をゆっくりと登る。


「‥‥で?どうするつもりなの?」


階段をしばらく登ったところで私は小声でコルミヤに尋ねた。


「カナミラ様の呪いを解いてもらう。それでお前の汚名を剥がす。このままだと、お前に仕事の依頼が入らないだろ?」

「‥?」


コルミヤは横目でこちらを捉えた。

何故だろう。顔が熱い。彼は私を‥きずかってくれているのだろうか‥?い、いや、そんな訳ない。彼はただの武妖。カワテヒを助けたいだけ。それなのに‥何故、こんな気持ちになるのだろうか。


「どうした?顔赤いぞ?」

「ひゃぃ!?ぁ、な、なんでも…なぃ」

「そうか?」


思わず変な声を出してしまった。いけない、冷静にならなくては。


「ふぅ…」


コルミヤにばれぬよう、そっと深呼吸する。心臓の鼓動が早い。まだ少ししか階段を登っていないのに…。





「…まて…」


階段を登り切ったところで、コルミヤは右腕を上げて私を静止させた。

階段の先に続いている廊下には、幾人もの警備が辺りを警戒するように歩き回っている。


「さて?どうするの?」


私は軽く口角を上げて彼に尋ねた。案の定、彼は考えて込んでしまい口を中々開かなかった。


「…はぁ…。あなたも魔法を使うんだったら、このくらいの窮地もちゃっちゃと切り抜けなさいよ…」

「そうは言っても、俺には魔法使いの先生なんていねぇんだ。全部独学だ」


コルミヤはこちらを振り返り、にやりと笑みを溢した。


「しょうがないわね…今回だけ助け船を出すわ…」










「コルミヤ様!見回りですか!」


警備兵がコルミヤに威勢の良く喉を張り上げる。コツコツと足音を響かせて廊下を歩く彼はそちらに視線をやる。


「おう、あの狩妖精が脱走とかしても大丈夫なようにな」


まあ、もう脱走してるんだけどね。しかも私を脱走させたあなたが言える台詞じゃないでしょ。


「「ご苦労様です!」」


警備兵は腰を大きく曲げて礼をする。


「俺はこれからカナミラ様の様子を見てくるから、他の連中にはそう伝えておいてくれ」

「はいっ!」


コルミヤはそうして警備兵の横を通り過ごして廊下の一番奥に位置する大きな扉を開けた。

ギイィと木の軋む音がすると同時に槍と槍がぶつかる音がする。


「!?」


交差した槍がコルミヤに向けられる。

が、すぐに槍は離れ二人の警備兵が頭を下げた。


「し、失礼しました!コルミヤ様!コルミヤ様だとはつい知らず…」「大丈夫だ。それだけ警備を頑丈にしてくれていれば俺としても安心できる」

「も、申し訳ありません!」


再び警備兵らは深々と頭を下げた。


「これだけ警備を固めていたら疲れるだろう。ここは俺がやるから、お前らは休んで良いぞ」

「はっ!」


そう言って、警備兵二人は部屋を出ていった。これだけ信頼されているのに…なんか気の毒ね。

そして、警備兵で今まで見ることのできなかった者の姿がちらり、写った。


「…」


私は影隠を解除し、コルミヤの影から離れる。今まで影隠を使私は影隠を解除し、コルミヤの影から離れる。今まで影隠を使ってずっと潜んでいたのでちょっと腰が痛い。立って背中を伸ばしてカワテヒが寝ているベッドへと歩を進める。


「おぉ…シュナか…久しぶりだな…」

「?」


少しだけ頭を起こしてそう言ったカワテヒに対してコルミヤは軽く首を傾げた。それはそうだろう。ただの狩妖精とそのはるか上に存在する国王だ。その間にどんな関係があるのだ。と、いう事だろう。


「何が久しぶりよ…あなたなんて…そのまま呪いにかかって死んでしまえば良いのよ…」


私は重いを口を開いた。彼は自分の人生を狂わした者の一人なのだから…。

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