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妖精島の妖精の日常  作者: 紅夜阿灸
2/8

第二話~シュナ~

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「馬鹿ね…」


落ち着いてみると、そう悪態がこぼれた。新種を狩って換金すれば確かに多額の報酬が手に入る。だが、皆がいっぺんに新種を狩りに行けば勿論取り合いが起きる。その小さな取り合いが国と国同時の戦争に勃発してしまうこともある。


「お待たせさんっと」


店長じきじきの配膳である。彼の手には鉄板に乗ったじゅうじゅうと音をなおも立てているこの店の看板料理の『アンテプの股肉の香辛料風味焼き』である。看板料理なだけあって、銀貨三枚ほどする位高価なものだ。狩りを仕事にしている私といえどなかなか口にする機会はない。

ごくり、喉が音を立てる。私の目の前に料理が置かれた。ただよう香辛料の香り。ヘリフスはわざとらしくにやにやしながらこちらを見つめている。


「どうぞお食べください」

「!!!」


その瞬間、私は横にあるナイフに手を伸ばし肉に刃を入れた。切ったと同時に溢れる透明な肉汁。そして、切ったそれを口に含む。


「っ~~~~~~!」


美味しい、その一言しか思い浮かばない。野生に満ちた肉の香り。ほとばしる肉汁。そして、最後にピリリと香辛料が香る。


「どうだ?旨いだろ?」

「ほりゃひゃんひんひゃふるんはからほひひいひひまっへいふへひょ?(そりゃ三銀貨するんだから美味しいに決まっているでしょ?)」

「当たり前だろ?お前が国一番の狩妖精なら俺は国一番の料理人だ」


ヘリフスはカッカッカと笑い、笑みを浮かべた。それにつられて私もつい、笑顔になってしまう。



~数分後~



「ふぅ…食べたぁ…」


ヘリフスのおごりなのでたらふく食べてやったのだが、私のお腹に限界が来てしまった。今、机には空の皿が埋まっている。もともと私は少食だ。急にこの量を食べるとなると、かなり辛い。


「うわっ…今月は赤字か?」


やって来たヘリフスは顔を青に染めて、硬直していた。これだからそう簡単におごりを受けるなと普段から言っているのに。


「じゃ、ヘリフス。また来る」

「へいへい、次来るときには金を持って来てくれよな……それと、新種にちょっとは目を向けとけよ?何が起きるかわからないからな。また近々戦争が起きるかもしんねぇからな」

「はいはい、『興味』が向いたらね」


私は店の扉を押し開け、外に出る。私を照らす太陽を手で隠し、体を反らす。

子供達が遊んでいるのだろうか。街はかなり騒がしい。

私は手に持っている麻袋をまじまじと見つめた。


「久しぶりに買い物をしようかしら?」


ここのところ食料以外特に何か買った記憶がない。服ももうぼろぼろだ。もう、しみが多く動物の血も点々とついている。


「街用の服でも買おうっと!」


私は心をうきうきさせながら、軽くステップを踏みながら店に向かった。



「懐かしいわね。こうして街を歩くのも…」


本当に久しい。最後にここに足を運ばせたのは数年ぶりだ。たしか幼い頃、父に連れられて来た記憶がある。

私達には勿論、翼がある。だから、目的地まで飛んでしまえば楽なのだが皆、普段は歩いて生活している。空を飛ぶと魔力の消費が激しいということも事実なのだが、もっとも空からでは見えない街の美しさを目に焼き付けたいのだ。そのため、街で空を飛んでいる者はほとんど見たことがない。


「~!お姉ちゃん、もしかして狩妖精?」

「えっ!?どれどれ?」

「うわぁ、本当だぁ!」


突如、私の半分ほどしかないちびっこどもが集まってきた。この国で女の狩妖精は確かに少ない。しかも、私くらいの年の狩妖精ともなると片手の指が全て折れるかどうか、くらいしかいない。


「シュナさんだ!」

「緑髪のシュナ!」

「凄い!握手して!」


と、いったように名もしれわたってしまっている。シブン料理店でこうならなかったことはある意味奇跡と言えよう。というか、緑髪のシュナはさすがにひどくない?


「こらこら、迷惑かけないの。緑髪のシュナさんに迷惑でしょう」


ちびっこどもの親であろう者がパタパタと駆け寄ってきた。さりげなく私の気にしている言葉を添えて。


「いえいえ、大丈夫です。おきになさらないでください…では…」


私は慌ててその場から立ち去った。ちびっこどもが、私をぎゅうぎゅうと押してそれをさせまいとしているが、そんなことお構い無しに疾走する。


       *


「ふぅ…ついた…」


歩くこと数分。私は服屋の前で立ち止まった。私だって女の子だ。服に対してのこだわりは少しくらいある。少し位。

阿灸の妖精島メモφ(..)



金銭感覚


銅貨 百円


銀貨 千円


金貨 一万円

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