ピンチもピンチ!
神谷愛「はぁはぁ、とりあえず第3道場までは掃除出来ました・・・」
正座(二時間重り付き) を終えた私は道場の清掃を実施していた。
神谷愛「あ、第2と第4の掃除終わりましたか?」
谷口昂「はい、とりあえずは終わりました!」
神谷愛「あれ、あの人は?」
谷口昂「はい・・・それが・・・」
彼、谷口昂くんとは午前中に出会ってから今に至るまで一緒に正座したり掃除を分断しての仲まで進展しました!
彼はこの学園中等部の3年生だそうです。
神谷愛「ま、まさか昂くんに全部にやらせたんじゃ・・・!」
谷口昂「い、いえ僕が言ったんです!助けていただいて更に掃除をやらせるなんて・・・」
神谷愛「それは半分は彼が原因です!」
そう、彼が・・・彼が来なければ昼過ぎにならずこんな罰も受けなかったかもしれなかったのに。
〜数時間前〜
谷口昂「はぁはぁはぁ・・・」
15分は避けたり受け流してるかな・・・
神谷愛「早く部活行かないと行けないんですが・・・」
かれこれ15分でしょうか、なかなか引いてくれませんね。
彼が2人の先輩を相手(避けたりしてるだけですが)してますが、そろそろ限界ですかね・・・
2年生先輩A「オラオラ、動きが鈍くなってんじゃねえか!」
2年生先輩B「そろそろクリーンヒットしちゃうぜ!」
谷口昂「んくっ!まずい!」
タイミング・・・ズレた!
先輩の掌底が腹に入った。
谷口昂「ゲホ、ゲホ!」
ダメだ息が。
神谷愛「君!待ってて!」
2年生先輩C「隙ありだぁ!」
あ、竹刀が! 勢いある蹴りですね・・・
竹刀が遠くに飛ばされてしまった、マズイ!
神谷愛「くっ、てぇやぁ!」
竹刀は無くとも足運びと構えで間合いをとる、隙あらばパンチですかね?
2年生先輩A「こっちはもう終わるぜ、今までワザとくらったフリしやがって!」
谷口昂「はぁはぁ、ゲホゴホ」
2年生先輩B「へ、まだ苦しんでら、」
神谷愛「マズイですね、これ」
誰か、誰か見てないんですか?
たまたま通りかかった人もあまり居ない。
見てても先輩達だからか見て見ぬ振りだ・・・
谷口昂「せ、先輩、お願いですから、あの人は関係・・・ないですから」
2年生先輩A「うるせぇ!今更何言ってんだ!」
2年生先輩B「後輩だろうと女だろうと関係ねぇ、しかもあの女、1年の学級委員長だろが!」
久しぶりの学園ルールですが・・・先も言ったがこの学園では特待生や役員に応じて様々なメリットがある。
もちろんそれなりのデメリットがある訳で、その一つが今まさにこの状態です。
2年生先輩C「この女倒しちまえばそこそこのポイントにもなるだろ!」
そう、この学園では学期末毎にその成績や活動、また武術の功績によって待遇が変わる。
現に特待生や役員でない先輩でそれと同じぐらいの待遇をされている方もいらっしゃるそうな。
神谷愛「はぁはぁ、誰か・・・居ないんですか?」
私の評価なんてどうでもいい。
ただ・・・
神谷愛「こんな、こんな事許される訳ないでしょ!」
誰か・・・助けて!
「おい!あんたら、まーた弱いものイジメしてるのか!」
神谷愛「えっ、だ、誰ですか?」
谷口昂「先生・・・ではないですね」
一応ズボンは学生物っぽいですが・・・
神谷愛「1年生・・・ですかね?」
校章は見当たらないですがまだ顔や体型から1年生っぽいですが・・・
何より先輩達の固まりようが何より凄い・・・