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鬼瓦秀と小林鏡

この話で心の目的がわかります。

頭では、ストーリーが出来てますが、いざ文にするとわかりにくいとこがあると思います。

なるべくわかりやすいよう頑張ります。

お楽しみ下さい。

病院の後、検査が終わると秀はベッドで寝てしまった。

心は秀の頭を撫でていた。


「秀は?」


「薬を嗅がされ眠っただけで、問題はないそうです。秀が目を覚ましたら帰りましょう。」


「お前は大丈夫なのか?さっき倒れただろ。」


「心配ありがとうございます。もう大丈夫です。」


検査室の窓から爽やかな風が入ってきた。


「さっき言いかけたことだけど、何をしたんだ?」


「…私の話を全て信じてもらえますか?」


「…ああ。」


心は窓を閉め、一回部屋の外に出て人がいないかを確認して鍵をかけた。

心は洋の腰掛けるソファに座り小声で話し出した。


「…年間の行方不明者ってご存知ですか?」


「年間の?確か約八万人…だったか。」


「そうです。」


「けど、九割以上は解決してるはず。」


「けれど、それでも行方不明者は年間約4000人います。これは届出を出した人数です。届出を出されていない行方不明者も含めたら、もっといるのです。」


「何が言いたいんだ?」


「昔、私も秀も行方不明者でした。」


「はぁ!?」

洋は思わず立ち上がってしまった。


「しっ!静かに聞いて下さい。」

心は口に手を当て座るように指示した。


「何で行方不明に?」


「誘拐されたんです。私は小学生の頃に。秀はまだ赤ん坊でした。一年前くらいまで私達は監禁されたままでした。」


「最近じゃねぇか!金目的か?」


「いえ、私達の能力が目当てです。」


「能力?」


「私の能力は人の心を読むことが出来る能力です。秀は一回見たものは覚える能力です。」


「ちょ、ちょっと待て!人の心を読むって一体…。」


「いくつか条件がありますが、洋さんも見ましたよね?さっき人混みの中で秀を探せたのは、心を読んだからです。ただ人混みで使うと体力の消耗がすごいので倒れかけたんです。驚きました?」


「…驚いてはいるが、納得はした。お前の目が金色になるのは能力が発動してる時か?」


「そうです。信じてもらえたみたいで良かったです。秀は僅か3カ月で話し出したそうです。一歳の時には中学生レベルの問題は解いたそうです。」


「同じ場所にいたんだよな?」


「施設に近いですかね?私は他の能力者とは殆ど会うことはなかったです。毎日実験と自分の部屋の往復してました。私が笑うことを忘れたのはその間です。」


心は笑う以外の感情は表現豊かだった。

秀を心配する顔、見つけた時は安堵した顔はしていた。

遊園地でからかいはしたが、笑おうとするとスッと真顔に戻っていた。


「秀とはいつ知り合ったんだ?」


「施設にいるのは知ってました。天才がいると多目的室で噂を聞いたことはありましたから。ある日施設から他の施設に移るからと数名、車に乗せられました。その途中で事故に合い、誘拐された子達は散り散りに逃げました。その時、秀と出会ったんです。運良く保護してくれたのが、鬼瓦警視でした。」


「その施設って、誘拐された子供がいたのか?」


「そうですね。国籍は様々でしたが、皆何かしらの能力のある子供ばかりでした。」


「その後、施設は?」


「秀が位置を覚えてたので、鬼瓦警視の指揮で施設に突入しましたが、もぬけの殻でした。施設に残った子供達は未だに行方不明です。助かったのは、私達含め数名。事故の後足取りが分からない子達もいます。」


「本当のことなんだな…?」


「本当です。私の能力は見た目にはわかりにくいですが、分かりやすい人もいますよ。」


「他に誰が…。」


「それは私ね!」


「うわっ!」


いきなり正面に現れたのは、鏡だった。

その場所は、さっきまで心がいたはずなのに。


「えっ?ええ、いつ入ってきた?」

洋は辺りを見渡したが、窓は閉まってドアには鍵がかかっていた。


「ずっといたわ。」

鏡はドアの鍵を開けると外から心が顔を出した。


「さっき、廊下で入れ替わったんです。鏡さんの能力は他人になれる能力なんです。」


「見てて。」

鏡はその場で一回転し、心の姿になった。


「これで信じてもらえますよね?」


洋は頷くのがやっとだった。


「この姿覚えてる?」

鏡はもう一回転すると老婆になった。


「あー!何時ぞやの道を聞いてきたばぁさん!?」


「木枯探偵事務所にはどう行けばいいですかねぇ?」

声まで老婆になっていた。


「洋さんが私の事務所に来るように、鏡さんに頼んだんです。」


「私は相手の両頬を触れば、老若男女誰にでもなれるのよ。」

洋の両頬を触り、鏡は洋の姿になった。


「洋さんが事務所に来る前まで、鏡さんが洋さんの周りで木枯探偵事務所の噂を流してたんです。」


「それでか。色んな噂を聞く割に寂れた場所にあったから怪しかったんだよな。」


「すいません。じゃないと、洋さん来ないだろうと思って。」


「まぁ、その通りだけどよ。話を戻すけど、施設から逃げた数名ってのはー」


「はい。私と秀と鏡さんです。他に2名いますが、今は普通の生活を送っています。」


「じゃあ事故の後、足取りの掴めない子供達はどのくらいいるんだ?」


「わかりません。車内は暗かったですし、何人乗せられたかも、誰がいたかも。事故で外に投げ出され私の側にいたのは、秀だけでした。鏡さんは別の警察署で保護されましたし。」


「それで、特別不明事件捜索班が施設と子供達の行方を追ってるのよ。鬼瓦警視が作った部署だから心さんと秀も自由に出入り出来るってわけ。」


「鬼瓦警視が?」


「そうよ。鬼瓦警視がこの部署を作った理由は知らないけど。心さん、何か知ってる?」


「私が聞いたのは、最初は各地であった不思議な事件をまとめる為の部署だったってことと。特に事件性がなければ捜査もしなかったってことですかね。」


「へぇ、そうなんだ。」


「鏡はーいてぇ!」

鏡は洋の足を踏んだ。


「年齢はそっちが上でも、先輩は私よ。鏡さんって呼んでね。」


「鏡…さんは、コピー能力って感じ…ですか?」


「コピーといっても見た目だけなのよね。声は似せた声は出せるけど、その人をよく知らなければ親しい人には、すぐ分かってしまうのよ。変身した人が能力者でも能力は使えないし。結構欠点だらけよ。」


「私も人混みでは、あまり使えないですし。秀もまだ小さいからいいですが、何か影響が出ないとも限りません。」


「能力って超能力の一種みたいなものか?」


「鏡さんの能力は超能力とは言い難いですが、幅広くはそうです。共通するのは、能力を使う時に頭の中で電気のスイッチが入るような感じがあるので、私達は能力者を『switch』と呼んでいます。」


「行方不明者扱いなら、お前ら家族の元に帰れたのか?」


「いえ、私は家族とは再会してません。『switch』を探すと決めたので、家族を巻き込む訳にはいきません。秀はまだ赤ん坊の時に攫われたので、本名は疎かどこにいたかも不明なんです。」


「鏡さんは?」


「私も…、似たようなものかな。巻き込みたくないしね。」


「秀はまだ幼いので、本当の両親が見つかるまで、鬼瓦警視が養子縁組してくれました。」


「何か掴めてるのか?」


「今の所は何も。遊園地の誘拐事件が繋がっていれば別ですが…。」


「まぁ、手順が甘いわね。遊園地は監視カメラが多いし、人が多いってことは目撃者も出てくる可能性がある。私が誘拐されたのは、下校中の1人の時だったし、監視カメラも目撃者もいないとこを選んでたから今回の奴らとは違うだろうね。」

鏡は秀のベッドの柵を強く握った。


「…んっ、うぅん。あれ?鏡ちゃん?」


「秀、起きた?おはよ、大変だったね〜。」

鏡は表情がコロッと変わり、秀の頭をくしゃくしゃした。


「秀、検査して寝てしまったんですよ。身体は何ともないですか?」


「そうなんだ。うん、もう大丈夫だよ。」


「じゃあ帰りましょうか。」


「うん!」


「私は本部に戻るね。また明日、事情聴取よろしくね。」

鏡は本部へと戻っていった。


「洋さん、私達の事務所へ帰りましょう。」

病院を後にして、駅に向かう。


「あー、悪かったな。態度を改めるよ。」

洋は秀を背負いながら、歩く。


「ふふっ、いいですよ。怪しい仕事には変わりありませんし。」

先を行く心は振り返って、口角を上げた。

多分、笑っているのだろう。


「お前はー」


「心です。秀は呼ぶのに、私はお前ですか?」


「あー、…こ、心。」


「はい。何ですか?洋さん。」


「こっ、心は、何で『switch』を追うって決めたんだ?」


「秀の両親を見つけてあげたいんです。」


「秀の?」

洋は背中の秀を見た。

どうやら寝息を立てているようだ。


「秀、よく寝ると思いません?」


「そうだな。いくら疲れてるとはいえ、さっきも寝てた訳だし。」


「秀は長くは生きられないんです。」


「えっ?なっ、何で。」


「秀は一回見たものは忘れない能力っていいましたよね?」


「ああ。」


「それって、脳の記憶する部分をフル活用してるんです。普通の人は記憶の整理をして、いるものといらないものと分けて記憶の容量を保持してます。秀はそれが出来ないんです。起きてる間は全て覚えてる。それって脳への負担が異常にかかるんです。その反動で秀は1日の半分以上寝てしまうんです。その負担が重なり、秀の寿命を減らしています。」


「そんな…どれくらい生きれるんだ?」


「もって10年。もっと短いかもしれません。私は『switch』にいるとされる病を治す人を探しています。秀の能力を消してもらう為。そして、秀を両親の元に戻してあげたい。それが、私がここにいる理由です。」


「秀は赤ん坊の時に攫われたんだろ?実験とかされて、監禁されて、やっと自由になれたのに。そんなのってないだろ。」


「施設はいくつあるかわかりませんし、相手がどんな規模の組織もわかりません。出来れば、組織ごと滅ぼしたいんです。けど、優先順位でいったら、秀が先です。」


「分かった。協力する。俺たちは心と秀の味方だ。」


「ありがとうございます。」


駅のホームに着くと、秀を椅子に座らせた。

心は秀が寄りかかりやすいよう隣に座った。


「次の電車まで時間ありますね。」


「そうだな。何か飲むか?」


「じゃあ、秀が起きたとき飲めるものを…。」


「おう。買ってくる。」

洋は自動販売機で人数分の飲み物を買った。


ゴオオォォ


電車がやってきた。


「時間より早い気がするが、次逃すと時間がもっと空くな。」


飲み物を抱えて戻る。


「電車きたぞ。早く乗り込もう。」


「えっ?まだ時間じゃないですよ?それに電車なんてー」

心は電光掲示版で予定の電車の時刻を確認した。


一瞬、電光掲示版を見ただけだった。


「洋さん?」


洋がいた場所には自動販売機の飲み物が3つ置いてあるだけで、洋の姿はなくなっていた。


洋が電車が来たと言ったが、心には電車なんて見えなかった。


ホームを見渡すが洋の姿はなかった。


「もしかして、都市伝説のー」


きさらぎ駅。




お読み頂きありがとうございます。

次の話は都市伝説のきさらぎ駅を参考にしてます。

ホラーテイストなので、苦手な方は飛ばして下さい。


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