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やりたい事をやる為に … 序章   作者: 千月 景葉
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7. 謝罪

お読みくださっている方ありがとうございます。7話目です。


ファンタジー色は主人公のフワフワ位しか無い今の状態は、ハイファンタジーでは無いですね。


も少し欲しいですね(笑)


「…あの、どちら様でしょうか?」

綾が再度問う。


「…突然参りまして申し訳ありません…。こちらは…羽海乃 雅さんのお宅で間違いないでしょうか…?」

男性が綾を見つめて話す。

一歩下がった位置で連れの女性が俯いて立っている。


よく見るとこの二人の後ろにもう二人、見知らぬ男女がいる。

その二人も綾の方をじっと見つめている。


年齢は4人とも30台半ば、ただ綾には本当に見覚えの無い顔ばかりである。


(…誰?)


雅も全く知らない人達だ。


「…はい、雅は私の妹ですが…。あの、あなた方は…?雅のお知り合い…でしょうか…?」

綾が訝しげに男性に問う。


「……失礼しました。私は小早川 拓真と申します。横にいるのが妻の遥香。後ろは……。」

「…すみません、突然…。武中 健人と申します。」

「…妻の由布子です。」


男性が名乗り頭を下げる。

連れの女性も俯いたまま深くお辞儀をする。

後ろの男女も名乗ってお辞儀をした。


「はあ……。あの、どういったご用件でしょう?……今ウチは立て込んでまして……。」


綾は用向きを尋ね、忙しいことを伝える。


「……この度は……この度は本当に申し訳ありませんでした‼」

小早川と名乗った男性が急に大きな声で謝罪すると、一層頭を深く下げてお辞儀をした。


突然の謝罪に綾は驚き、慌てて尋ねる。


「な、何ですか急に?…あの、あなた方は一体?…何なんですか…!」


(…わ、何で謝んの?ホントに誰?全然覚えないし…?!)

雅も知らない人達の謝罪に戸惑う。


(…アタシの名前出してるから、アタシに用かな…?一体なんだろう?急に謝るし。)

雅は考えるが全く心当たりが無い。


「……私は……羽海乃 雅さんに助けていただいた子供の父ですっ……!この度は私共の息子の克真を助けていただいてありがとうございました!……その……取り返しのつかない事に…なってしまい、何とお詫びすれば良いのか……、本当に申し訳ありませんっ…!」


「…すみません!本当にすみません…!」


「私共の息子、宏太も羽海乃 雅さんに助けていただきました。ありがとうございます…すみません、それなのに…本当に何とお詫びを…!」


「申し訳ありません…!」


口々に礼や謝罪を言い出す4人の言葉を聞き、固まる綾。


「…雅が…助けた…?……あなた達は…溺れていた子供の親御さん…なんですか……?」

固い表情で確認する綾。


綾の問いに深くお辞儀をしていた小早川の背中がビクッと反応する。


「はい…。」

頭を深く下げたまま綾の言葉を肯定する小早川。


(…あの子達のご両親だったんだ…。)

雅は驚いて頭を下げた小早川やその妻の女性、武中という男性とその妻を交互に見る。


「…子供のために羽海乃さんが池に飛び込んでくださって、後から助けに入ってくださった方とお二人のお陰で助かったんだと……そう、警察から教えて貰ったんです…。」


「ウチの宏太は羽海乃さんが引き上げて助けてくださったと、本人がそう申しておりました…本当にありがとうございました。」


小早川と武中は代わる代わる事情を説明しながら、更に深くお辞儀をする。


(…良かった、あの子達は無事だったんだ。良かった…。)

雅は事情を聞いてホッと安心した。


(…わざわざお礼に来てくださったのか…。)

雅は却って申し訳なく感じてしまう。


「……そうですか…。でも、今はとても話せるような状態じゃ無いんです…。アタシも家族も……。とてもそんな…そんな話出来ない…。こんな急に来られても……雅は、まだ雅は戻ってもいないのに…!」

綾は小早川から目を反らし、言葉を絞り出す。


「……あの…雅さんは…?」

小早川は顔を上げて綾に問う。


「…あの子はまだ…検死とかで……。とにかく父も留守ですし、母も心労でとても話なんて出来ません……今は無理です。帰って下さい……!」

綾が小早川を見て、震える声で言った。


「綾姉ちゃん、誰が来たんだ…?その人、誰だよ…?」

聡が玄関に出たままの綾に後ろから声を掛け、綾の肩越しに見える小早川を不審げに見る。


「…聡…、この人達は…その……。」

綾が聡を振り返り、言葉を濁す。


「……突然押し掛けまして申し訳ありません。小早川と言います。……こちらの羽海乃 雅さんに…命を救って頂いた子供の父です。」

小早川は綾の後ろからやって来た聡に又頭を下げる。


「…なんだと…?」

聡は小早川の言葉を聞き、顔を強張らせる。


「……息子の克真が池で溺れていたのを羽海乃さんが助けてくださったと…その時の事を警察から教えて貰いまして、とにかくお礼とお詫びをと…。」

小早川は幾分早口に聡に自らの気持ちを伝える。


「……お礼?…お詫び…?」

聡が小早川の言葉を繰り返す。


「……警察の方から、雅さんが…雅さんがお亡くなりになったと……ウチの息子を助けるために……飛び込んだ池で……そう聞かされましたっ………!」

小早川はそう言うと、突然その場に膝をつき土下座した。


「本当に…本当に申し訳ございません‼…こんな、こんな事になってしまって…!…雅さんには取り返しのつかない事を…!すみません、すみません……!」

小早川は叫ぶように詫びると頭を玄関先のコンクリートに擦り付ける。

「……謝って許されることじゃないのはわかっています…!ですが、すみません…本当にすみません…!」


「……勝手に来て、何言ってんだ……?」

聡は綾を押し退けると土下座している小早川の前に立った。


「……お礼だと?……お詫びって……何なんだよ?……お前らのバカな息子が、姉ちゃんの言うことも聞かねえで池に落ちたんだろうが…。」

聡は土下座したままの小早川や、凍り付いたように固まっている妻の遥香を睨み付ける。


「……ふざけんな……。お前らの顔なんて見たくねえんだよ……!」

聡は屈んで土下座している小早川の肩を掴むと、顔を無理矢理あげさせた。


「……お前らが出来の悪いガキを野放しにしてくれてたお陰でな……ウチの雅姉ちゃんが死んだんだよ……!」

「羽海乃さん……。」

小早川は聡の厳しい言葉や鋭く睨む目に耐える。


「……帰れ……話す事なんて何にもねえ!……2度と来んな、帰れよ!」

聡は小早川に吐き捨てると、掴んでいた肩を突き飛ばした。


「…聡、やめなさい。」

聡の後ろから静かな声がした。


「母さん!出てこなくて良いから。こんな奴らに母さんが会うこと無い!」

聡は母の乃理子にそう言って、小早川達から乃理子が見えないように自分の体で隠すようにする。


「……聡、私が話をします。大丈夫よ。」

聡に静かに話すと乃理子は聡に替わって前に出て、突き飛ばされた小早川に向き合う。


「すみません、ウチの息子が乱暴な事をして…。大丈夫ですか?」

乃理子は小早川に詫びながら問いかける。


「大丈夫です……。雅さんのお母様ですか…?すみません……本当に。雅さんには感謝しています…ですがそのせいで雅さんが…どうお詫びすれば良いのか…!」

「……お子さんは今…?」

小早川の詫びを聞きながら、乃理子は雅が助けた子供について尋ねる。


「今…運ばれた病院で入院しています…。助けられたときに水を飲んでいた為、経過を見るそうで…。雅さんがすぐにあの子を抱えてくれたお陰です…。ありがとうございました…。」

「…そうですか…良かったわ…大事なくて…。」


乃理子は小早川の言葉を聞き、目を閉じた。


「小早川さん…でしたわね。……私共も雅がこんな事になり、まだ正直…あなた方の言葉を聞けるような状態ではありません。気持ちが追い付かないのです。…主人も雅を見てくださるお医者様のところに居ますし…。どうか今日はお引き取りくださいませんか…?」


「羽海乃さん…。」


「雅はあなた方のお子さんが溺れているのを、放っておけなかった。だから飛び込んで助けた…。あの子ならわかります。だから雅が行動した事でお子さんが助かって、私は良かったと思っています…。」


「……。」

小早川は黙って乃理子の話を聞く。


「…ですが大事な娘です…雅が亡くなったなんて…まだ信じられない気持ちなんですよ…とても整理がつかない…!だから、だから今日はそっとしておいてくださいませんか…。」

乃理子はそう話すと小早川を見つめる。


「すみませんでした……あなた方の気持ちも考えず押し掛けて…。迷惑ばかり掛けて…。」

小早川は又頭を下げた。


「…日を改めます…。…羽海乃さんが…私共に会っても良いと…そう思ってくださる時を待ちます…。又…連絡をさせていただいてよろしいですか…?」

小早川は乃理子に頼む。


「…わかりました。ただ…これから雅との最後になる時間を静かに過ごしたいので…あの子を見送るまでは…そういったお話は待ってください。」

乃理子は小早川に答える。


「…はい。…後、申し訳ないですが、雅さんの……葬儀の際には、隅で良いので来ることをお許し頂けますか…?せめて、せめて雅さん自身に…遠くからでもお礼とお詫びを伝えさせて貰いたい…。無理を言っている事のは重々…承知していますが…どうか…!」


「ええ。…私共からは連絡できませんが…葬儀に来ていただくのを拒むような事はしません…。雅ならきっと許すでしょうから…。」


「…ありがとうございます…それでは今日は失礼します…。」


そう小早川は礼を言うと、横で涙しながら両手で顔を覆ったままの妻と後ろで所在なさげに佇んでいた武中夫妻を促し、何度も頭を下げながら帰っていった。



(…母さんは……すごい…。)


雅は乃理子の姿を感嘆の思いで見つめていた。


雅、ほぼ出番なし。

フワフワ浮いてるだけでした。描写も無し。ハハ。


次話は明日投稿したく思います。


頑張ります。

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