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やりたい事をやる為に … 序章   作者: 千月 景葉
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1. 公園にて

生まれて初めて小説書きました。

読みづらい点も多々あると思いますが、読んでいただければ嬉しいです。

拙いなりに最後まで書ききりたいと思います。


頑張りますので、どうかよろしくお願いします。


「まだ時間あるな…うん、5分前には着くね。」


羽海乃(うみの) (みやび)はそう呟きながら、足は幾分早歩きとなっていた。

秋の週末の今日は爽やかに晴れ渡り、彼女が歩いている公園は楽しそうな家族連れやジョギングしている人、デート中のカップルで賑わっている。


「入り口反対側から入っちゃったから…大分遠回りだよ。なんで間違うかな~アタシ…」


雅が向かっているのは公園の中の池にあるボート乗り場。


公園には2ヶ所入り口があるのだが、彼女はうっかり池に遠い方の入り口から入ってしまった。

待ち合わせにはまだ大分時間があるとはいえ、足が慌てぎみになってしまう。


「やっぱ二人で会うのは初めてだし、最低5分前には着いておきたいよね…遅れるなんて論外だよ…!」


雅が焦るのには理由がある。


今日は人生初(!)のデートなのだ。


彼女は生来の間の悪さから中々彼氏が出来ず、今だかつてデートなるものをしたことがない。


見てくれはまずまず普通だと思うし、性格は明るいのだが、生来の間の悪さと云う言葉からも伺える通り、どちらかと言えば気が弱くいつも損をしがち。


つまり周りに遠慮して様子見をするのでどうしても一歩二歩人より出遅れるのである。


友人の佐奈曰く、「アンタは野生だと間違いなく飢え死にするよ。考えるより先ず動け!」らしい。


そんな雅に奇特にも好意を向ける者が最近現れた。


1ヶ月前に佐奈に引っ張られて行った合コンで、酒が殆ど呑めない雅と意気投合した上條先輩だ。

上條自身はどうやら呑めるらしいのだが、一緒に来た上條の友人が酒に呑まれるタチらしく、合コン当日はその友人の万が一を抑えるため、酒は呑まずにいたらしい。

たまたま前に上條が座り、乾杯のビールを殆ど呑まない雅を見て

「もしかしてビール苦手なの?」と聞いてきたのがきっかけで会話が始まった。


その席上 他愛ない話の流れの中で、なぜか雅が池や湖にある手漕ぎボートに1度も乗ったことがない、漕いでみたいと云う訳のわからない願いを持ってる事を、横に座っていた佐奈が上條に暴露してしまった。


上條は面白がり「なら羽海乃さん、俺と乗ってみる?漕いでみたいでしょ?付き合うよ」と水を向けてきた。


慌てて遠慮する雅に佐奈が「上條先輩お願いできます~?アタシボートなんて興味ないし、この子下手したら一人でボートお試ししかねないし~?」と勝手に返事してしまった。

「じゃあ近いうちに行こうか。良い?羽海乃さん?」とニッコリ問われて「へ?…あ、ありがとうございます?!」と元気よく了承?してしまったのだった。


上條先輩ははっきり言って格好良い部類に入る。身長も180超えているし、顔はスッキリした切れ長一重の目。どちらかと言えば冷たく見られがちな雰囲気の顔立ちだが、笑うととたんにヘニャリと崩れる。ギャップが可愛いと佐奈が言う。


仕事は企画課に所属。

アイデアマンで中々のやり手との話だ。

因みに全て佐奈がニュースソース。

雅はもっぱら聞く専だ。


佐奈が上條についてあまりにも詳しいので、気を回した雅が

「佐奈…上條先輩をもしかして狙ってるんじゃないの?ならアタシより…」と気遣うと…


スパーーーン‼


「要らん気を回すな。」と頭を叩かれた。


音が小気味良い。


痛い。


「アンタの為にアタシがセッティングしたんだよ。どうせ好きな男なんてアンタ誰も居ないんだろし。あの上條先輩はアタシのお墨付き。上玉だよ、調べは付いてる。安心しな。1度ゆっくり会ってみなって。」

確かに見た目と違って話しやすい人だし、会うのはどちらかと言えば嬉しい。


でもセッティングって…ええ?


なんと合コンの前に佐奈と先輩は何故かアタシについて話をする機会が有ったらしい。

ならば今度合コンでもしましょと話はトントンと進み、向い合わせになるように席も決め、サポートに佐奈が入れるようにアタシのサイドに佐奈が座り…。


はい、全ては仕組まれていたのでした…。


何か納得いかないアタシに佐奈がスマホをピッポッパ。


「ん、先輩が出るから。アンタに全部話すのは向こうも折り込み済み。で、嫌ならこれで断ってOK。また先輩が誘うと思うし。アタシは最初のきっかけだけ。」とスマホを寄越した。


「アンタの番号は教えてない。安心して。後は先輩とアンタ次第だよ~。」とニカッ!


~~~(汗)…でも、嫌だとは全く思えなかったアタシ…。スマホを受け取って発信。プププ、プププ…。


「はい?永峯さん?」


…ドキッ!先輩出た!


「あ、すみません突然。永峯の携帯使ってますが、あの私、羽海乃です。」


「あぁ羽海乃さん!こんにちは。もしかして聞いたかな?」


おぅ、単刀直入!


「は、はい。あの、アタシと話をって…それであの…」


「うん、ごめん。気分悪くしたかな。でも君と話をしてみたかったからチャンスは無駄にしたくなくてね。」


「いえ、そんな…むしろすみません。お手間かけました。」


「…ほんと?良かった、嫌われないでホッとした。」


「で、あの…良いんですか…ね?アタシとあの…」


「…ん?ボートでしょ。あ、もしかして嫌かな?」


「いえ!無理じゃなければお願いできますか?ホントに漕いでみたくて…アホみたいですけど。むしろ先輩にとっては危ないだけだから、あの、断って下さっても。」


「まさか!大丈夫、フォローするし。いつでも良いよ、羽海乃さんの休みに合わせて行くし。」


うわ、じわぁっと嬉しい!


「で、でしたらあの、今日仕事終わってからお電話も一回させてもらって良いですか?永峯さん、あの佐奈から先輩の携帯教えてもらって構いませんか?」


…喰い気味だ…アタシ。


「あ、そうだね。俺も羽海乃さんの携帯教えてもらえてないんだよ。何時ごろになりそうかな電話。絶対出られるように構えとくわ。」


「あ、じゃあ6時半にお電話いれます。番号は090××××……。」


「うん、了解です。じゃあ連絡待ってますから。」


……という過程を経て本日のボート体験、違う、デートとなった訳だけれど…。


テクテク…。


漸く池の周囲に到着。あぁやはり反対側の岸に待ち合わせのボート乗り場だし。

さてもう一歩き。


テクテク…。


うん、10分前には着くね。

…早歩き頑張ろ。


と。何だか…。


気になるなぁ…、行く手の先にある池立ち入り禁止の柵越えて入ってしまった小学生とおぼしき4人の男の子達。


ほっておいても良いんだろうか…良くないよね…。


あぁ!池に石投げ始めた。

白鳥もアヒルもいるのに…。


てか、池に落ちたらどうすんだ。


あぁあんなに池に近づいてもぉ…!


テクテク…。


テクテク…。


テク…。


ピタ!


「君たち中に入っちゃダメでしょ!危ないでしょ!出なさい!」


雅は気は弱いが見て見ぬふりは出来ない性格でもあった。


ついつい横断歩道ではお祖母さんの手を引いたり、道で泣いてる迷子がいたら声かけしてしまう質である。


「うっせ、ババァ!あっち行け~!」


「口悪いなぁもぉ!池に落ちたらどおすんの!早く出なさい!」


「カンケーないだろ!アンタじゃないし、池に落ちたりしねぇよ、バッカじゃねーの!」


「なに言ってんのよ、早く出なさい!」


ワルガキ4人は雅をからかいながら、池に体を寄せたり、飛び上がったり。全く聞く耳を持たない。


その内雅とは反対方向に動き出した4人に対し

「アタシは行くけど、アンタ達がこのまま居るのがボート乗り場から見えたら公園の事務所に言うからね!危ないんだから!」と、大声で叱ると…



「知るかよ。逃げたら終わりじゃん!」


……処置なし。ため息ひとつ。


「…もぉ!ホントに早く出なさいよ!知らないよ!」


「ほっとけ、バーカ!」


少し後ろ髪を引かれる思いで歩き始めた雅。


(…口やかまし過ぎたかな…でも危ないし。出てくれないけど、無理やりアタシが引きずり出す訳にはいかないし、出来ないし…。う~ん、これ以上は無理だよね…)


テク…。


テクテク…。



その時。



ザパーーン‼


「うわぁ!カッちゃんー!」


「つ、捕まれカッちゃんー!」


「うわ!うわあ!」


ザッパーーン‼‼


「わ!タケまで落ちた!助けろ!」


(ウソッ!ホントに落ちちゃったの!?)


慌てて引き返すと池の岸から程近い所に一人、池の岸より大分中に離れた位置に一人、バチャバチャと水を掻いている状態が目に入った。


「きゃああ!アンタ達何してんのー!」


「ね、ねえちゃん、アイツ等助けて!」

「カッちゃんが、カッちゃんが離れていっちゃうんだ!」


慌てて柵を越えて中に入り、岸に残った二人を押し退けて先ずは岸の近くでバチャバチャしている男の子に岸に寝そべって手を伸ばす。


「アンタ達、アタシの足と腰の上に乗って!ほらボク、アタシの手でもなんでも良いから掴むの!頑張って!」


何とかアタシの服を掴んだ男の子を掴み返し、雅の体でコンパスを回転させるようにしてその子を岸に近付ける。

途中、雅も何度か顔を水に浸けてしまう。背筋で顔を上げながら堪える。


「…ゴフッ!…プッ…ハッ、大人しくして、もう少しで…よし、岸に上げるよ!」


男の子、タケを雅とあとの二人の子達で引き上げる。


「…ゲッ…オエッ…ゴハァ!…ゲホッゲホッ!」


「タケ!タケ!しっかりしろ!」

「大丈夫か、死ぬなタケ!」


二人が泣きながらタケをさする。


(この子は大丈夫。でもあの子が…!)


雅はすぐに池の岸から離れて水を掻いているもう一人に大声で叫ぶ。


「ガンバんのよ!今行くからね!」


「カッ、カッちゃん!」


雅はジャケットを脱ぎながら、足元を見た。


今日は編み上げのロングブーツにミディ丈のガウチョパンツ。


泳ぐには全く向かない。


しかし構ってる暇はない。

ブーツを脱ぐ時間が惜しい。


振り向いて溺れていたタケ以外の男の子に指示する。


「早くどちらか一人近くの大人を呼んできて!アタシ一人じゃ厳しい!一人はこの子見てて!アタシあの子助けに行くから!」


「ねえちゃん、危ないよ!でもカッちゃん…!」


「早く!急いで!」


「わ、わかった!俺行く!」


一人の子がスクッと立ち上がって柵を越えて人の多そうなボート乗り場の方向に大声を出しながら走っていく。

するとたまたま通りかかったおばさんが慌てて声を掛けてきた。


「お姉ちゃんどうしたの?やだっ!その子大丈夫かいっ?!」


「溺れたんです!おばさん、携帯があれば警察か消防に電話してください!アタシあの子助けなきゃ!」


「…え、あ、あんなとこに!お姉ちゃん危ないよ!電話するからアンタもやめなさい!アンタも濡れてるじゃないか!」


そう言われて、おばさんを見てから又池を見る。


するとさっきより男の子の姿が小さく見えた。


頭が沈みかけている様で、手だけが必死に伸ばされているのが見える。


(ダメだ…待ってられない!あの子が保たない…!)


雅はショルダーバッグをジャケットの上に置いて、ブーツを履いたまま池に飛び込んだ!


「…プハァ!おばさん後は頼みます!助けを呼んで!」


「お姉ちゃん!わ、わかった、アンタも気を付けるんだよ!無理すんじゃないよ!」


おばさんがガラケーで

「も、もしもし警察?!あ、子供が…」

と喋り始めたのを耳にして、雅は今にも沈みそうになっている男の子に向かって泳ぎ始めた。


(待ってて!助けるから…!)

更新はできるだけ早くしたいです。

明日明後日には頑張ります。

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