第8話 本音をぶちまけることが出来る親友が1人でもいたらその親友を大事にしろ
「悠磨さぁ最近付き合い悪いよなぁ」
帰る準備をしている八雲に向かって宮本は前の席に座り後ろを向いてそういった
「忙しいんだよ」
「忙しいって言ってるけどバイトもしてないのに?」
「いいか俊輔、人にはなバイトしてなくても忙しい時期っていうものがあるんだわかるか?」
「とかいっておまえは本当は家でゲームとかしてるんだろ?」
家帰ってゲームできる状態ならどれだけ楽だろうか…八雲は家にいるくそ狐共の顔を思い出しながらしみじみに思った
「あ、そういえばお前が忙しい理由ってこの前の従姉妹が関わってるんじゃねぇの?」
「は?あいつは関係ねぇよ。なににやにや笑ってんだよいつも以上に顔がきもいぞ」(本当はがっつり関係してるけどな)
「俺の顔が常にきもいみたいな発言だな!?失礼過ぎないか!!」
「半分冗談だよ。じゃあ俺帰るわ」
宮本の指摘を半ば無視するかたちで教室を出ていった
「半分って…それにしても怪しいよな、付けてみるか」
「いまのところ特になんともないな」
電柱に隠れながら八雲のことをこそこそと追いかけている宮本、第三者からみたらストーカーである。
「こちらス○ーク、ターゲットは今のところ異常はない」
初めての尾行なのかテンションが上がっているわかる。
「っていけねいけね悠磨のこと見失ったら元も子もないな」
改めて八雲の方に視点を戻すと八雲はとあるボロアパートの階段を登る場面であった
「そういえばあいつ大学入ってから一人暮らし始めたんだったな」
そういい気づかれないようになんテンポか遅れて階段を登った。するとそこにはとあるアパートの1室の玄関に耳を当てているジャージ姿の雨宮の姿が目に入った
「あのーなにしてるんですか?」
「いやね、風のうわさで悠磨君の部屋に新しい居候が増えたらしいのよ。なんでも稲荷ちゃんの知り合いだとか」
「ん?悠磨?」
ふと宮本は表札を見るとそこには八雲という文字が記されていた
「ここ悠磨の部屋か…ってあんた人様の家で何やってるの!?」
「失礼ね!一応これでもこのボロアパートの大家なのよ?私のアパートで例え泥棒しようか勝手でしょ?」
「いや泥棒はダメでしょ!!」
「なによこいついきなり出てきたと思ったら私に指摘?頭きた!!」
雨宮はそういい宮本めがけて蹴りを放った
「ちょおま…」
宮本はその蹴りを避けることに成功したが、蹴りは八雲の部屋の玄関にあたりドゴンっという鈍い音をたてた
「いきなり初対面の人を蹴りますか!?」
「うるさい!指摘したあんたが悪いんでしょ!!」
「まさかの俺が悪いの!?」
第2の蹴りが宮本めがけて飛んできた瞬間玄関が開いてふたりが見知った人物が姿を表した
「てめぇらうるせぇ!!人様の玄関前だ…って俊輔?」
「おっす悠磨。後で事情を話すからあのジャイアニズムいってる女どうにかして」
「誰がジャイアンみたいな女じゃ!!糞ガキ!!」
「なんじゃ騒がしいの…一体なにが…」
「おい!馬鹿外に出てくる…」
八雲が呼び止めたが時すでに遅し、雨宮は稲荷の顔を見た途端「稲荷ちゃぁぁぁん」っといい飛びついたが宮本に至っては信じられないような顔をしていた
「うぎゃぁぁぁ!!なんでおまえが玄関前にがいるのじゃ!!」
「そりゃあ可愛い可愛い稲荷ちゃんの声を聞くために玄関の前で耳を当てていたのよ♪」
「近くに寄るなぁぁぁ!!」
「あー…なんだうん、理由話すからちょっとついてこい。ここじゃうるさくて聞き取れないだろ?」
「出来ればわかりやすく頼む」
「あいよ。おいハクこいつら2人のことちょっと頼むわ」
「はいよ。ほらこんなところにいるとめんどくさいことになるから早く部屋に入るよ二人とも」
「嫌じゃ!!こいつと同じ空間なぞ死んだ方がマシじゃ!!」
「もーそんな事言っちゃって♡本当は嬉しいんでしょ?」
八雲と宮本がアパートの階段を降り終えた時後ろの方から悲鳴が聞こえたがそれを聞かなかった振りをしてアパートを後にするのであった
「こういうことがあり今に至るわけだ」
「祖父の神社の片付けにいったら稲荷とかいう獣耳幼女がでてきて同居生活ねぇ…」
砂糖を入れたアイスティーをストローでかき混ぜながら信じられない口調でそういった。2人は現在近くにある洒落たカフェにいる
「隠していたのは謝る。でも急にこんな事言っても信じられないだろ?だから黙っていたんだ」
「その稲荷のことが気になって最近授業が終わっていたら早く帰っていたのか」
「そんな感じだ」
「半ば信じられないけど稲荷って子の姿も見たわけだしな…信じるしかないだろ」
「ですよねぇー」
自分の手元にあったアイスティーを飲み干し席をたった
「親友である俺にそのことを隠すってのはあれだけどこれからはおまえの秘密をしった数少ない人物になったんだ。何かあったら俺に相談してくれ」
「あぁ、そうするよ。くそ狐のことについて知ってるの花音さんとおまえだけしかいなくてな、花音さんに至ってはあの調子だから困っていたんだよ」
「おう!じゃんじゃん相談してくれ」
(いざという時に俊輔は役に立つからな…なんだかんだ言ってあの大家よりかはまだ信頼できる)
「あ、そうそう悠磨お願いがあるんだけど」
「?」
「お金ないからアイスティー代貸して」
「おまえなぁ…」
やっぱり心配だ……財布を取り出しながら心の中でそう呟いた