五・一年桜祭り 1
「で、今晩は祭りだというのにこの有様はどういうことなのかしら?」
廊下を歩いていると、怒鳴り声が聞こえた。
誰か何かやったの?と思い先を急ぎ覗いてみると、暁と楓がいた。
暁は正座をしており、楓腰に手を当て、怒鳴っている。
…暁の隣にいるのは誰だろ?
遠くからは見えなかったけれど、暁の隣には、同じ赤色の髪をした少年がいた。
「楓」
「あ、姫様!」
「…何やっているの?」
「聞いて下さいよ姫様!実は暁今日の祭りの準備を全くせずに、遊んでいたのですよ⁉︎」
「はぁ⁉︎」
「いや、ちがっ…桜、これには理由が!」
「理由?」
「そうそう!…あれ?なんかお前の目冷たくない…?」
「何?」
「お、怒ってる⁉︎」
「場合によれば怒る」
「え…」
「お、お待ち下さい!」
すると、暁の隣にいた赤色の髪の少年が声を出す。
「すみません!俺が悪いんです!俺が、お、お、れっ…ぐすっ」
(え?な、泣いちゃった⁉︎)
「ちょ、え!な、」
「あーあ…姫様まで慌てだしたわ。」
「な、泣かないでっ!ていうか君誰⁉︎」
「あ、俺の従兄弟の夕日だ。俺の三歳下だ。」
「暁の⁉︎」
暁に従兄弟がいたんだ。
少し暁に目元が似ているかも。
「いや、久しぶりに会ってちょっと遊んでやったんだ。」
「ほら、遊んでいたじゃない」
「……はい。」
「ずみまぜん!すみません!」
「と、とりあえず落ち着こう!夕日だっけ…良かったら今日のお祭り見にこない?」
「お…祭りですか?」
「そう!この祭りはね、大桜祭りと言ってこの神社の巫女である私が祀ってある桜の木の前で神楽を踊って祈るの。今年も平和でいられますようにって」
「へー…」
「村人の人達が集まって催しもあったりするのよ!」
「すごいですね!僕見てみたいです!」
夕日は目を輝かせて私を見ている。
「決まりですね。あ、そうそう。姫様、ちょっと暁連れて行きますね!準備をさせないと」
「ええ。行ってらっしゃい」
「ちょっ、楓!耳引っぱんな!」
楓に引っ張られながら暁は去っていった。
「さてと、私も準備をしないと!」
「あの姫様…」
「どうかした?」
「僕も何か手伝いたいです!これでも、守護家の従兄弟ですし、こういうお祭りって元から興味があったんです!…無理ですか?」
「有難いわ。じゃあ、お手伝いしてもらおうかしら」
「はい!」
*
太鼓の音が聞こえる。
灯りが眩しい。
パチパチと炎の燃える音が聞こえる。
「いよいよね」
私はいつもの巫女服に輝く羽衣を纏い、髪には金色の冠、桜を彩ったかんざし、首には透き通った翠色のまが玉。巫女姫の正装を身に纏っている。
隣には、それぞれ正装をした暁・楓・白・霜月さんが控えている。
鈴の音が鳴った。
出番だ。
「行ってくるわ」
私は4人の従者に声をかけ、大桜の前に出た。
週一で更新すると言い、半年が経ちました。
申し訳ございません(>_<)
これからはゆっくり自分のペースで更新していきたいです。
小説を読んでくださりありがとうございます!