三・祭りの準備
「夏祭り?」
「はい。私がこの前の用事で呼ばれたのはその事についてだったんです。」
(夏祭りか…もうそんな時期なのね…)
「そしてその祭りに、小鞠姫訪れるとか」
「小鞠姫が⁉︎」
小鞠姫。
安永将軍の娘で、美人で博識それでいて地位の高い女性なのだが、気遣いが良く、それでいて私の友人でもある。
「それで姫様には神楽を舞ってほしいとのこと」
「うん」
「一年桜の前で」
「一年桜⁉︎」
すると部屋の戸が開く。
「桜!どうした⁉︎」
「暁!」
私の大声に慌てて入ってきた暁は、同じく大声で聞いた。
と同時に、
「うるさい」
と声がして、部屋に投げ込まれた筆がコツンと暁に当たる。
「何するんだよ!白!」
暁は部屋から出て行った。
「……静かにしましょう。姫様…怒った白は怖いですよ」
「だね………私の従者って怒ったら怖い人達ばっか…」
「何かいいました?」
「なんでも!」
「それで衣装とか準備しないといけないので姫様柊の間まで行きましょう」
「うーん…これもいいですけど、明るい色もいいかもしれませんね」
「…楓に任せます」
「あ、すいません!首飾りなど持ってきてもらえますか?お願いします」
首飾りなど取りに行ってもらっている間に、私は気になっていることを聞いた。
「……ねぇ、なんで大桜の前で舞うの?あそこって一般は立ち入り禁止でしょう?」
「はい。それがですね…親族達が言うには……見せる目的があるそうです。」
「大桜を見せて…?それって…」
「姫様の力を見せるためですね…」
「やはりそうなのね…この力、見せる目的に使われるのなんておかしい」
「………そうですよね。決まりとしては、力は見せる為の物ではないのですから…人を護る為の力。それが姫様の力。」
「……」
わかってる
言われたことは必ず行いをしなければ
ならないこと。
でも、私の力は……!
「おーい。冠と首飾り持ってきたぞ」
扉が開かれて現れたのは暁だった。
「あら?暁が持ってきてくれたの?私はお手伝いさんに頼んだのだけど」
「おう。話があったからついでに持っていくって、無理矢理奪ってきた。」
「乱暴はやめなさいね」
ふと、暁は私を見る。
「へ、変かな」
「………」
「暁?」
「あ、ああ。似合ってるんじゃないか⁉︎」
「何その語尾?暁男ならはっきり言いなさいな。」
「うるせぇ!楓!」
私は自然と笑みがこぼれた。
「こんな所で何してるんだ?」
ふと、声がする。
「気分転換に外の空気を吸いにきただけです。」
と俺は答える。
「そうか。お前のことだからてっきり、あの事について調べているんじゃないかと思っていた」
「…そうですね。俺は諦めることができません!」
「俺も同じだ。我が弟、白よ。」
はい。また更新が遅くなりました。
すみません(>_<)
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