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ファンタジークエスト  作者: 里山
第一章 Girl・ミーツ・おっさん
3/52

くえすと2 新しい感じの朝。

「ふぅ」

 現実に戻ってきた私は真っ暗の部屋の壁際にうっすら明るく浮かんでいる時計に目をやる。

「お~、ほんとだまだ11時にもなってないや」

 二十三時にもなっていない表示を見て感嘆の声をあげそして気づく。

「あれ? よく考えたら向こうで寝てれば別に怒られないのかな?」

 しかし凄い世の中になったものだなと思いつつ居間に向かう。

「あれ? もうお母さんたち寝ちゃったのか、早いなぁ」

 ガサゴソと冷蔵庫をあさり冷えた水をコップに注ぎ一気に煽り。

「あ~美味しい、さてとじゃあ後は歯を磨いてっとトイレも一応行っとくか」

 トテトテと洗面所に向かいながらアックスのことを思い出す、何であいつトイレくらいであんなに動揺するんだろ? まさか女の子はトイレ行かないとか幻想抱いてる変人なのか? う~ん有り得そうだなぁ独身だし。まあ結婚の前に彼女いなさそうだしなぁあれかな噂に聞く童貞というやつかな? などと考えつつ歯をワシャワシャ磨いた後トイレを済ませ部屋に戻りつつ、あとは何やればと考え。

「あ~着替えてないや」

 そう、今の今まで部屋着のままだった、いそいそと服を脱いでパジャマに着替えようかとブラを外した時――私は寝るときブラを外す人なのだ! あ? そもそもブラ意味ないだろって? 死にたいようね――現実の厳しさを目の当たりにした。

「そういえばアイツにまだ隠してることがあったなアハハハハ」

 光沢の無いうつろな目で半裸の女子高生が笑っている素敵な光景が姿見の中に写っていた。



 よいしょとシートに座りヘッドセットをかぶった私はシートがフラットになるのを待つ。ベットの方がいいのじゃないかと思われるがベットに寝たまま長時間ダイブすると体が動かないため床ずれの原因等になるらしい。まあ数時間寝てた程度ではそう成ることもないのだけど、その点この専用シートは高いだけあり定期的に寝返りをうったような状態にしてくれるらしい、一度動画を見たけど自動ぱんこね機? みたいな感じで体をゴロンゴロンしていた。

「落っこちないのかな?」

 と、ふと思ったが落っこちてもそんなに高くないのでまあ大丈夫だろう。

「えっと~とりあえずタイマーのセットを朝7時にセットしてっと」

 帰ってくる目安としてタイムリミットの朝七時をセットする、今が〇時半だから六時間半あっちの世界だと三〇時間以上ある。

「あっちで一回寝てみるのもいいなぁあの山小屋他に寝室あるのかなぁ」

 もう山小屋を使い倒す気満々である。

「さて行きますか。リンクスタート・フルダイブ」




 目を開けて最初に見えたのは窓からサンサンと入り込む朝日だった。そして耳に聞こえるのは。

「なにこれ、セミ?」

 そうセミっぽい物の大合唱だった。

「な、なんだこれ!!」

 状況がわからず説明を求めるようにアックスを探すが見当たらない。

「こんな騒がしい中まだ寝てるのかアイツは!」

 ドタドタと寝室の部屋のドアに近づき開け放つ、予想道理そこにはスヤスヤと眠りながらも音がうるさいのかムニョムニョと何事か寝言を言いながら寝返りをうつアックスがいた。

「す、凄いなほんとに眠ってる」

 そんな感動と呆れが混じった感嘆の声をあげつつ部屋に入りドアを閉めると。

「あれ、静かになった?」

 不思議に思いドアを開ける、うむ五月蝿い、閉める、静か。なにこれ凄い。

「あれか寝室は外の音が聞こえないのかな? だからさっきもぱーてぃーちゃっとで話しかけたのか」

 などと納得しつつスヤスヤ眠る山賊、もといアックスを眺める。

「へ~ほんとに普通に眠ってる感じなんだ面白いなぁ」

 ふむ、と我に返る。ゲームの中とは言え仮にも男であるところのアックスの寝室に二人っきり…これはっ!

「落書きできるのかな?」

 ごそごそと何か書くものを探し始める、え、そこは違うだろうって? 知りませんがな。

「う~ん書くもの無いなぁ、そもそもこの世界で物を書く事ってあるのかな?」

 そんな素朴な疑問が芽生えはしたが答えが出るはずもないのでとりあえず他の方法をと考えては見るが。う~ん、なにかこう、びっくりさせようにも何もないからなぁ普通に起こすか。何も思いつかないので普通に起こすことにする。

「お~いアックス~おっきろ~」

 ゆさゆさと揺さぶってみる。

「む、起きないな」

 と、そこで視界の隅の物に気づく。

「あれ、これは私の髪の毛?」

 見えていたのは自分のポニーテールの尻尾だ。昨日はドタバタしていてあんまり気にしなかったが戦闘が起こらない家屋の中では前髪等よっぽど邪魔になるもの以外は普通に視界に入るようになっているらしい。今なぜ気がついたかというと丁度ベットに横たわるアックスを起こそうと覆いかぶさる感じになったため尻尾の部分がベットに乗っていた。それを手に取り。

「そういや腰くらいまであるんだっけこの尻尾」

 おお、もふもふだぁと自分の物ながらちょっと面白いなぁと思いながら銀髪でワサワサと遊ぶ。

「あ、そうだ、これをこうして、さんたくろ~す」

 私の尻尾でアックスに白ひげを作ってみる。あれ、意外と似合うんじゃね? てか何でコイツは黒ひげなの? 危機一髪なの? と何やら苛ついた私はベシベシと尻尾でアックスの顔を叩きはじめた。

「やばい、なんかたのしい」

 何かに目覚めかけた私の見つめる先で流石に寝苦しくなったのかアックスがムギョムギョ言いながら目を覚ます。

「おはよアックス♪」

 と、学校の友達に習った〈お兄さまを射殺す笑顔〉を発動。ふ、勝ったな。と笑顔のまま悦に浸る私に。

「うぎょあああああ」

 というなんとも斬新な挨拶が帰ってきた。

「失礼だなおいこら山賊野郎っ!!!」

「あぁ、お前かビックリさせんなよ。全くもう」

 ふ、ビックリさせる気もなかったのにビックリさせたこの私はやはり最強ね。なんだろう何か釈然としない。と、はてなエモを出しつつ首を傾げる私に。

「んでお前何やってんだよこんなトコで。っは!? ま、まさか夜這いかっ!」

「ねぇ、セクハラの報告ってこの運営に報告ってタブでいいの?」

「ごめんなさい。お願いしますやめてください」

「わかればよろしい、じゃなくてもう朝よ?」

 その言葉に初めて気づいたのか。

「ん? おお明るいな、おはようリリィ」

「おはようアックス」

「……何かいいなこういうの」

「何が?」

「いや朝起きたらおはようって挨拶できる人がいるのって。ここ何年か一人暮らしだからなぁコッチでも最近一人だし」

「彼女とかいなかったの?」

 虚ろな目をされた。

「ひょっとして童t「嫁入り前の女の子がそんな事言っちゃいけません!!」ぷっ、アハハハハハ」

「悪かったな童貞で」

「いやいや悪くないよ、うん、わるくない、少なくても私は好きだよ♪…っぷ、あははははh「絶対嘘だろ」

 いやいや、ほんとに私的には好感度うなぎのぼりだよ、私も古い考えかもしれないけど初めての人は結婚する人がいいって思ってるもん。

「もう、ほんとに好きだってば~、まあ信じてもらわなくてもいいけどね、取り敢えずご飯でも食べようよ」

 と言いつつドアを開け押し寄せた音の波にとっさにドアを閉めた私に。

「今日も朝からすごいなぁ」

「アレなに?」

「何ってセミ?」

「でもまだ五月」

 そう現実では五月なのだが。

「あ、ひょっとしてコッチはもう夏なの?」

「おう、夏真っ盛りだ」

「そうなのか。にしてもうるさいなぁアレどうにかならないの?」

「大丈夫慣れたら気にならなくなるよ、会話ならパーティチャットでできるしね」

「おお、そっかぁ便利だね!」

 なるほどそんな使い方もあるんだなぁとアックスを眺めると何かこっちをチラチラ見てる、ん?

「どうかした?」

「いや着替えたいんだけど」

「着替えれば?」

 うん、着替えればいいじゃん。

「装備変えるとき下着姿に成るのは」

「うん、昨日知ったよ?」

「……」

「え、恥ずかしいの?」

「いやそんな事はないぞ、ただ慣れてないだけで」

「んじゃ、いいじゃん」

 じーとみつめる

「……ごめんなさい恥ずかしいです」

 うむ、素直が一番。

「はいはい、んじゃ向こう行ってるからさっさとね」

「お、おう」

 気を取り直して。とりゃっとドアを開く、押し寄せるセミの声を我慢してリビングに入り後ろでにドアを閉め。

「[ねえっ!!着替えたっ!!]」

 [あほかおまえは1秒も経ってないだろうが、それに叫ばなくても聞こえる]

「[まだー!!]」

 [あーおわったおわったさっさと入れ]

 後ろ手に握ったままだったドアノブを捻るそのまますべるように寝室に戻りすばやくドアを閉める。

「あー耳が変になる」

「いや耳の機能は関係ないぞ脳に直接信号が送られてるんだから」

「雰囲気が大事なのよ!」

「……フィーリング?」

「そうともいうかな」

「それでもおかしくないか?」

「…なんでそんなにいじめるの?」

「いや、お前結構メンタル弱いよな」

「そんなことないあるよ」

「どっちだよ……」

「う~。てかさぁ別に部屋でなくても目をそらしてればよかったんじゃないの?」

「……気づいたか」

「……私をなんだと思ってるの?」

 じとーと見つめる私の視線をかわしつつ。

「まあ、それはいいけどさそろそろ外行かないか?」

 アックスが聞いてくる。

「でも外うるさいし」

「まあうるさいけど森を抜ければ静かだよ」

「私虫嫌いだし」

「あ~コレは環境音の一種で実際にはセミいないんだよ」

「……ならいく」

「お前はほんとに高校生か? 小学生とかじゃないのか?」

「な、何を言うかっ! ちゃんと見ろ素敵に立派に女子高生じゃないかっ!」

 と増量された胸を張りつつポーズをとる。

「あ~うん。その服でその髪、その顔その体だとどうみてもエルフの村娘Aだな」

「……ほめてる?」

「たぶん?」

「何でそこで疑問系?」

「いや俺にもよくわからん」

「まあ良いや、さっさと外いくよ! そして私にこの世界を案内しろ!」

「何でえらそうなの?」

「お願いします案内してください、できれば綺麗なところがいいです」

「良くできました、ではお嬢様こちらがリビングになります」

 アックスがうやうやしくドアノブに手をかける。

「うむ、苦しゅうない」

 ガチャリという音ともにセミの音圧が襲い掛かる。

「やっぱりうるさいよう……」

「お前は小学生以下だ、いいから行け」

 ゴスッ!と後ろから突き飛ばされた。

「うにゃ~」





「ほら、ここまで来たら静かだろ?」

 肌を突き刺す日の光の中振り向きながらアックスがそう言う。

「まあ静かになったけどさ、それより何であんなトコに住んでるの?」

 気になったことはすぐに聞いてみるのが私のジャスティス。

「ん? 別に住んでるわけじゃないんだけど、最近この近くの収集クエストやってるから便利かなと思って」

「ふ~ん、じゃあさ、それ終わったら他の場所に行くの? それともどっかに自宅があるの?」

「いや自宅はないけどあっちこっちに倉庫を兼ねてレンタルハウスは持ってるな」

「ふ~ん、そっかぁ眺めのいい所とかある?」

「う~ん。海が見える丘にならあったかなぁ」

「ほほう」

「いや、ほほうじゃなくて、何を考えてるんだお前は?」

「何って、私の物は私の物お友達の家は私の家、だと思うんだけど?」

「お前は将来スーパーの経営者かよ」

「また難しい返し方するなぁ」

「ふ、俺を甘く見るなよ」

「良くわかんないけどとりあえずその収集クエスト? ってヤツやっちゃおうよ、そしたらもう少し静かなレンタルハウスにいこうよ!」

「いや別にクエストは暇つぶしみたいなもんだから別にいいんだけどさ。なんでお前普通に俺の小屋使う気でいるの?」

 何やら不思議なことを聞かれたので。

「え?」

 何言ってるのこいつ? という顔で返してみた。

「なんでそこで俺のほうがおかしな事言ってるような顔するんだ。まあ良いけどさぁ」

 渋々という感じでOKをもらった、やったね♪ おうちゲットだZE!

「ん~とりあえず一番近いヤツでも歩いたら2~3日かかるからお前のレベル上げやりながら行くか」

「あんですと!?」

「猫のうんこは踏まないぞ?」

「私ファミリーレストランって行ったこと無いんだけどおいしいのかな?」

「俺は好きだよ?」

「え、何告白?」

「うっさい、だまらっしゃい」

「……」

 ムスっとしてみた。

「で、なんだよ?」

「なんか2~3日とか聞こえたんだけど?」

「おう、そういったぞ?」

「そんな遠いの?」

「いや2~3日だったら近いほうだぞ?」

「いやいやいや近くないでしょ?」

「ふむ。ちょっとメニュー出してみな?」

「何よ突然」

「いいからいいから」

 渋々メニューを出してみる。

「出したらマップを押して」

「押して?」

「全体表示」

「全体表示」

 ピっと言う音と共にマップが広がる。

「……何コレ?」

「マップだと思うけど」

「ドンだけ広いのこの世界って!」

「ん~リアルの地球くらい」

「え、何それギャグ?」

「まあ俺も最初はそう思ったしなぁ」

「って、コレ世界地図を反転させてあるのか」

「気づくの遅いなおい。この世界の名前見て直ぐ気づけよな」

「えっと、なんてなまえだっけ?」

「Aretでアレットだよ」

「TERAか。安直だね」

「まあな」

「そんで今どこいるの?」

「え~とここら辺かな」

「って九州?」

「そそ、最南の村って言うだけあってここは鹿児島辺りだよ」

「おお! 桜島はあるの!?」

「いやあるのって言うか、あれだぞ?」

 と進行方向のやや左のほうを指差す。

「お。おぉ?」

 なんか知ってるやつと違う。何が違うのかハッキリわからないけど何かが違う。

「なんか、こう、私の知ってる桜島と違う?」

 小首を傾げながらそういう私に。

「あぁ、雪積もってるからな」

「そっか~雪積もってるのかぁ~ってなんでやねんっ!」

「あそこダンジョンあるんだよ、そのダンジョンが雪使ってるからだと思うんだけど」

 ダンジョンって何だっけ? あっあれか! ボスとかいるやつだ!

「ボスとかいるの!?」

「お、知ってるのかこの初心者」

「ふふ~ん、本は色々読んでるからねぇ」

「だからなんでお前はそんなに胸を張りたがるんだ? 寂しいのに」

「寂しくないじゃないかっ! ちゃんとあるんだぞ! ゆれるんだぞ! ぷにぷになんだぞ! 見るか!触るか!」

「いやなんで涙目でそんなに熱弁ふるうの? そして何、誘ってるの?」

「さっ! さそうかっ! この変態変態変態!!」

「はいはい変態変態」

「む~~~」

 そんな話をしながらテクテク歩くこと十数分。

「お、アレなんか良いんじゃね?」

 アックスが歩きつつ指を刺す。

「ん~なにが~」

 と周りの風景を楽しんでいた私の目に飛び込んできたのは。

「ほう、また会いましたな」

 昨日の夜出会った〈ムーン・フラワー〉だった。正確には系統が一緒のLv1〈フラワー〉だ。

「え、なに、知り合いなの?」

「ふ、強敵と書いて友と呼ぶ仲よ」

「でも倒してないんだな」

「なななな、何を言ってるのかな君はっ! もちろん倒したとも!!」

「あ~うん。そのな、このゲームな、レベル10までは自分のレベルと同じ敵を一匹倒す分がレベルアップに必要な経験値なんだ……」

「なっ! ぐぬぬ」

 顔を真っ赤にし俯く私に。

「変なとこでお前って背伸びするよなぁ」

 という声が聞こえた。っく! 何も言い返せないっ!

「っで! アレがどうしたのよ!」

 恥ずかしさと一緒に言葉をぶつける。

「いやお前が倒すんだよ」

 何言ってんだお前? という表情であっさり言われた。

「アレを? 私が? 倒す? ふ、そんなこと朝飯前田のクラッカー!」

「もう突っ込むのもめんどくさいな」

 なにやらアックスがぶつぶつ言ってるが今の私には聞こえない。さてさてさてどうすればいいんだろう、いくら朝で明るいからといって昨日アレだけやってあたらなかった弓がいきなり当たるとは思えない……ここはっ!

「はいっ! 先生!」

「何かねリリィ君」

「敵に攻撃が当たりません!」

「……いや昨日リスと追いかけっこしてたじゃん?」

「う、あれは、狙ったお花のね後ろにいたやつにね、そのね「あ~みなまで言うな」

 なんか哀れみの目で見られてるけど何も言えない。

「んじゃ取り敢えず戦ってみますか」

「お、ぉぅ」

 力なく頷きつつ背中から弓を外し矢を番える。

「お? 様になってんじゃん」

「ふ、ここからが本番だっ!」

 ビュシュッ! という音共に矢が放たれた。

「あ~ごめんごめんあっちじゃなくてコッチの花な、あっちは流石に弓だからって遠すぎだろ」

「……ふぇ」

「何で泣きそうな顔でコッチを見るんだ? まさかあっちじゃなくてコッチ狙った……とか?」

 目を泳がせつつ良い言い訳を、探せるはずもなく。

「ふ、私の実力を思い知ったか!」

 と盛られた胸を、もういいや、胸を張ってみた。流石に呆れられちゃうかなぁとか、見捨てられるかなぁとか心配しつつ精一杯に。

「ふむ、まあこんなもんか」

 なんか納得された。

「あれ? 納得された」

 それはそれでどうなんだろうか? と首をひねりつつアックスの様子を伺っていると。

「ん? いやお前別に弓道とかアーチェリーとかやってたわけじゃないんだろ? ならこんなもんだって、俺も最初はろくに剣振れなかったんだから」

「え、そうなの? なんだ、よかったぁ」

 あからさまに安心した私に。

「え? なに、ひょっとして俺がそんな事でお前をほっぽり出すとか思っちゃったの? ふ~ん俺ってそんなに薄情者と思われてたんだぁ、へ~ふ~ん」

「いや別にそんな風には、ただ、私レベル1だしゲームの事全然わからないしぺったんこだし……何にも役に立てないから」

 尚も俯き加減にブツブツうじうじと言ってる私の頭にぽふっと温かみのある手が添えられ、ぁ、人のぬくもりも感じらrワッシャワッシャと頭を撫でられた。

「にょわああああ、な、なにするですか!」

「うんうん、お前はそのくらいがいいよ」

「何そのホストの奇跡の一枚みたいなイイ笑顔キモいんだけど」

「前言撤回やっぱりお前とはもうこれまでだ」

「はぁ? なにいってんのあんた私をこんなとこに置いておくとどうなるか分かってるの?」

「ん~とりあえずあそこの木の上にいる鳥さんにつつかれて死んじゃうかな? アイツが今襲ってこないのって俺とのレベル差があるからってだけでお前一人だと襲ってくるぞ?」

「ふ、ふんっそのくらい避けてみせるわ」

「あれレベル10なんだけど?」

 あんですと!? 心のなかで驚愕し汗をダラダラ流しながら極力冷静を装って考える、昨日のリスさんがLv5でアレだとするとLv10の鳥さんとは……ふぇ、いかん泣きそうだ。だが冷静になれ! 素数を数えるんだ! えっと……えっと1、2、3、5あれ? そういえば素数って0は? などと脱線していた私に。

「お前ってほんとに残念だよな」

「何をおっしゃってるかわかりませんわ?」

 とお出かけモードで余裕たっぷりに答える。

「えっとさぁエモの中にヘルプエモって言うのがあるんだよ。まあ戦闘中に思考が追いつかなくなってシステム的にパニックと判断した場合とかに周りに助けを求めるために強制的に出るんだけどさ」

「そ、それがどうかしたのかしら?」

「まあ上を見てみろ」

「なにかしら?」

 へぇこりゃ目立つね。綺麗な赤いHELPという文字が敵に囲まれていても見やすいようにか他のエモより高い位置でくるくる回ってる。

「なにか言うことは?」

 ニヤニヤ笑顔で憎いアイツが聞いてくる。

「そこまで言うなら連れてって貰ってもいいわよ! それと私に弓を教える義務を与えてやろう! 善きに計らえ!」

「“前略運営様、変な初心者に絡まれています助けてください”っと」

「ごめんなさいお願いします私を一緒に連れて行ってくださいそれと弓の使い方を教えてくれると嬉しいなって思います!!!!」

 ぜはーぜはーと一息でまくし立てた。

「よかろう教えてしんぜよう」

 なんかムカついたけどまあ許そう私は心が広いのだ! だれだ中身だけは広大だなとか言った奴。

「む~、まあいいけどさぁあんまり女の子の髪の毛グシャグシャするのはどうかと思うよ?」

 と話題を変えようと髪の毛を気にしつつアックスに注意する。

「あ~そか、えっと鏡があったら良かったんだけど、え~と、あ、そっかちょっと見てろ」

 などと言いながら自分のボッサボッサの髪の毛をモシャモシャとかき乱したあとに「ほらっ」と頭を指さした。

「おぉ?」

 するとワシャワシャになっていた髪の毛がちょっとおとなしくなった。元から酷いんで凄くわかりづらい。

「えっとつまり髪はしばらくすると元の髪型に戻るってこと?」

「そそ、但し昨日のお前みたいに濡れてるとかイベントで切られたとか燃えちゃったとかそういった場合はそれ相応のアイテムやらショップやら時間が必要になってくるわけだ」

「なるほどねぇ。てかさあんたの髪の毛って寝ぐせかと思ってたけど……それまさか」

「え? かっこいいだろライオンみたいで!」

「はぁ、はいはい、らいおんらいおん(笑)」

「おいまて今最後に(笑)とかついてなかったか?」

「キノセイキノセイ。さぁ! 狩りの時間だ!」

「はぁ、まあいいかぁ。んじゃまあ弓の練習するかぁ」

「よろしくお願いします師匠!」

「ウム苦しゅうない弟子よ!」

 おおっノリノリだなこれで私も伝説の弓使いへ一歩前進だ! 待っててね私のエルブンボウ! と、かつて本で読んだエルフが使っていた弓を思い出しつつ、はっやく~おっしえって~♪ という気持ちでアックス師匠を見つめた。

「では早速」

「さっそく~♪」

 と期待に満ちた眼差しを師匠に向けコブシを握りしめ。

「ひたすらアイツに向けて矢を放つのだ!」

「しにやがれこのくそやろうっ!」

 アックスの顔めがけてアッパー気味のストレートをぶち込む。

「あべしっ! って、てめえ何しやがるPKできないからって殴っていいわけじゃないんだぞ」

「お前が! 泣くまで! 殴るのを! やめない!」

 ポカポカと殴りつけるが最初の一撃以外は全部手で弾かれた。

「まあ、さっき言ったけど俺も剣が振れるまでかなりの時間がかかったんだよ……つまり」

 私の百裂拳を手でペチペチはたきながらヤツはそういう。

「つまりなんだってばよ!」

 手を止めそう促した。

「つまり一種類の武器を使えるように成るまでかなりの時間かかるのに他の武器も練習しようなんて物好きはそうは居ないってことさ。つまり俺は弓なんてわかんない」

「はぁ、使えないなぁいいわよもう私の華麗なる成長速度をその目で見るといいわ!」

「成長速度は目じゃ見えない気もするんだけど。まあ結果は目で見よう」

「あー言えばこう言うな!」

 ぷんすか怒りつつ弓を構える、脳内アシストに従い体を動かす。

「ちょいさーーーーーーーー」

 掛け声とともに放たれた矢はよだれを垂らすお花には届かずちょうどお花と私の中間地点くらいの地面にドスっという音とともに突き刺さった。遠い! 遠すぎる! 今現在お花との距離は約二〇メートルといったところだ、昨日五メートルの距離を外した私に当たるはずがない!

 そう思い敵に近づこうとトテトテ走りだした私に。

「え? どこいくの」

 っという声が。

「見ればわかるでしょ! 届かないから近くに行くのよ!」

 そう怒鳴り返した私に。

「いやお前ってどこ狙って射ってるの?」

「あぁん! 喧嘩売ってんの! あのよだれ垂らしたお花に決まってるでしょ!?」

「いやそうだけどさ。ひょっとして“花を狙って”射ってる?」

「だからそう言ってるでしょ! なに、やっぱり愛想つかせちゃったっていうの? 残念でした、私はお前をもう離さない!」

「え? なにそれプロポーズ?」

 っぼ! っと音がしそうな勢いで私の顔が赤くなったのがわかる。いや実際に何かを検知したシステムが頭から湯気を出してくれていた。

「っちょおまっなにをっいってやがりまするか」

「うん、まあそんな事はどうでもいいけどさ、狙うのは花の上の方、う~ん今の感じだと花五個分くらい上かな」

 うわぁい、さらっと“そんな事”って言われちゃったZE、まあ気を取り直して。

「どういうこと?」

「あ~お前スポーツとかもあんまりやってない系?」

「ビュンビュン系」

「なるほど」

「納得された!」

「とりあえず言ったとおりに射ってみれ」

「そして流されたっ! へいへいやりますよーやればいんでしょーやればー」

 ヤサグレモード全開でお花の五個分上にアックスの顔を思い描いて。

「届けこの想いビューティーセレインアロー!!」訳:しねぇええええあっっくすうううううううううううううううううううううう。

 今までにない殺意の波動のこもった矢は斜めにひょろろろーと昇って行き頂点を過ぎひょろろろーと降下してグシャっと言う明らかに速度と効果音があっていない盛大な音を立ててお花に突き刺さった。

「あれ?」

 はてなエモを頭から出しつつアックスに向き直る。

「お~やったな~後一発くらいで倒せるんじゃないかぁ」

 先ほどの矢に自分への殺意の波動が込められていたとは露知らず朗らかに喜びを表す山賊が一名。

「なんであれで当たるの?」

「え?」

 なんかほんとに心配された顔つきをされた。

「あれ、変なこと言った私?」

「えーと、んーと重力って知ってる?」

「うん」

「んじゃさ、矢が飛んでる時も重力がかかってるわけだよ」

「そだね」

「だから遠くに行くと地面に落っこちるわけだ」

「ふむふむ」

「なら落っこちる事を考えて斜めに射てば遠くに届くわけだよワトソンくん」

「なるほど頭がいいなホームズくん」

 言われてみるとどこぞの金髪スナイパーさんも風とかを読んでいたな。

「いや誰でも知ってると思うぞ?」

「マジで?」

「お前に嘘つくことによって俺が得られる利益は全く無い気がするんだけど?」

「私の体が目当てなのね!?」

「いや会話の流れがおかしい」

「もう、はぐらかしてぇホントは目当てのくせに」

「ふ、俺はもうちょっと女子高生的な女の子が好きなんだよ! 主に胸とか! おっぱいとか! 乳とか!」

「これでも私は女子高生だっ!!」

「えー?」

 こいつはいつかぎゃふんと言わせてやる!

「そうだあんた現実の連絡先教えなさいよ! 今度証拠見せてあげるから!」

「えー? なにそれーストーカーみたーい」

「おまえは! わたしを! おこらせたああああ!」

 むきぃぃと怒りに任せたまま殴りかかった私の頭をガシっ! と片手で捕まれ。

「うきゃーなーぐーらーせーろー!!」

 腕の長さで負けてる私のパンチが宙を切り裂いてる音をBGMに。

「おまえなぁ仮にも女なんだからリアルもろくに知らない男に連絡先がバレるようなことしたらダメだろぉ俺が言うのも何だけどリアルで昨日みたいに知らない男について行ったら絶対ダメだぞ?」

 なんか凄く真剣に諭されてる私がいる。

「え? あ、うんわかった、ごめんなさい」

「はぁ、わかればいいんだけど。お前の親父も大変だなぁこんな可愛い娘がこんなアホの子だなんて、俺が親父だったら四六時中一緒にいそうだ」

 あれ? 今さりげに褒められた気もしたけど貶された気もする……まあいいか。

「よし! 気を取り直して! いくぞ草食系! 草の貯蔵は十分か!」

「いやそもそもアイツは攻撃できないだろその距離だと」

 なんか聞こえたけど無視して弓を構える。

 ん~とお花五個分のところにアックスの顔を思い浮かべて。

「うりゃぁ」

 そんな声と共に放たれた矢はひゅるる~グシャっと命中したその瞬間、ぱっぱら~♪ カラーン♪ とラッパの音と鐘の音が私の頭上から響いた。

「おおう、何だ何だなんか綺麗だぞ?」

 頭上を見上げると半透明の鐘が羽をまき散らしながら揺れていた。らっぱどこー?

「おめでと~」

 ボケーと頭上を眺めていた私にアックスが近づいてきた。

「いまのなに~?」

「何ってレベルアップしたんだよ」

「おお?」

「多分何かスキルも覚えてると思うけどメニュー出してみ」

 私はワクワクを抑えきれないまま空中に名前を書きメニューを表示する。

「どこどこ?」

「え~と説明するのが難しいな、メニューの右上に『パーティに許可』ってないか?」

「あるよーおすの?」

「おう」

「んじゃぽちっと。ん、何も変わらないけど?」

「あーそれは他の人にもメニュー画面を見れるようにする設定だから」

「おー便利じゃん! このままにしとこ」

「いやいやいや、アイテムとかも見えちゃうの! まあ、まだレアアイテムとか持ってないからいいだろうけどトラブルの原因になったりするから基本的には見せないようにしておく事。あとは女の子とかはアイテム欄に下着とか色々見られちゃまずい物もはいってるだろ」

「んー別にゲームの下着くらいいい気もするけど」

「だから! お前は! 女の子の! 自覚を持てとさっき言った!」

「はいはい、んでどうすればいいの?」

「ながすなよ! はぁ、せめてコッチでは俺がちゃんと見ていよう」

「よろしく」

 軽く手を上げつつ一応頼んでおいた。あ、溜息はかれた。

「まあいいけどさぁ、えっと、スキルだったなそこのスキルタブを押したらアクティブとパッシブのスキル一覧が出るから」

「ぽちっと、お~1個づつあるっ! 何なにこれどんな技なの?」

「1回押したら解説が出るからちゃんと読みなさい」

「は~い、なになにアクティブスキルLv1〈ダブルシュート〉1回の攻撃で2HIT+αのボーナスダメージ? ボーナスダメージって何?」

「ん、たしか10~50%の値の中からランダムで追加ダメージのはずだ」

「あいまいね」

「そっちの方が面白いからだろ」

「なるほど、んじゃもう1個の方は~っと、パッシブスキルLv1〈ホークアイ〉遠くの物がよく見える。命中補正Lv数×3%……けちくさいわね」

「いやいやレベル数で変わるんだから最終的にはかなり変わると思うぞ?」

「ふ~ん、そうなんだ」

「まあ取り敢えずアイツにスキル使ってみろよ」

 アックスがそう入って刺した先にはよだれを垂らしてひなたぼっこしているもう一匹のLv1〈フラワー〉だった。

「ほう、お前さん逃げずにまだいたか「いや足無いですし」うるさいだまらっしゃい」

 気を取り直して弓を引き敵を見た時それは起こった。

「ねぇ、なんかこう、敵が近くに見えるというかはっきり見えるというかなんというか」

「多分あれじゃね? パッシブスキルのせいじゃね? パッシブの方は勝手に発動するからな。要らない時はスキル欄タップで外せるはずだぞ」

「ほうほう、なるほどたしかになんとなく当たりやすそう」

 こりゃ便利だと思いつつ弓を引き絞る。

「んでアクティブスキルはどうやって使うの?」

「わかんないなら先に聞け先にっ! 声に出すか頭の中で考えればいいんだけど最初は声に出したほうがやりやすいぞ、さっきのチャチャ見たいに」

「ありがとうシーネちゃん「だれがだ!」リーヤってなんかアイドルが声優やってたんだってね「あ~確か今黄門様やってる奴だろって、そんなこといいからさっさと撃てよ」はーい」

 気を取り直しつつ狙いを定め。

「〈ダブルシューット〉!!」

 叫んだ瞬間矢の先端が一瞬光りシステムに促されるまま矢を放つ。

 バシュっ! という音とともに放たれた矢はさっきとは明らかに違う速さと機動でお花に突き刺さり、グシャゴシャ! っと嫌な音を鳴らした。

「おおう、なんか凄いのでた! スゴイスゴイ私かっこいい? ねぇかっこいい?」

 光の粒子となって消えるお花Lv1〈フラワー〉を眺めながらはしゃぐ私に。

「おぉなんか凄いな弓って」

 あれ? 何やら不思議なコメントが返ってきたぞ?

「ねぇ、ひょっとして弓を使うプレイヤー見たこと無いの?」

「そだよ」

「え、でもアックスってずっとやってるんじゃないの? レベル50なんだし。それで何で見たこと無いのよ?」

「その答えはお前も半分くらいは実感してると思うぞ?」

「ほえ?」

 首を傾げる私に。

「まずこの世界には魔術師という職業がある、なろうと思えば杖を装備するだけで誰でもなれるけど呪文がやたらと長いから頭良くないと覚えられない。まあそれでも簡単な魔法なら誰でも覚えられるわけだけだ、それでその魔法が便利なんだよ」

「どんな風に?」

「敵を指さして唱えるだけで命中する」

「なにそれふざけてるの! ファンタジーっぽいし私もそっちにしようかなぁ」

「あれ? そんな事で変えちゃうんだ。ふ~ん」

「な、なによ別にいいでしょ! まだレベル2なんだし」

「別にレベルは関係ないんだけどな。まあそんな感じで皆魔術師になっちゃうわけだ」

「あ、なるほど……」

 確かに皆なっちゃうな、特に弓を一度でもやろうと思った人ならその理不尽さに即陥落だ。

「んでどうする? 魔術師やってみる? 魔法少女ごっこできるぜ?」

 何その凄い誘惑……でも明らかにその顔は“ふ~んもう諦めるんだ~流石胸のない子は根性もないね~”と書いてある!

「いいだろう受けて立とう、私は最強の弓使いになってやるわ!!」

「何十年経っても同じ事言いながら旅してそうなセリフだな、いや海賊の方?」

「うんや黄色い方。あれさぁ子供たちだけで旅してるんだよ? 危ないよね女の子も一緒なのに」

「いやおまえが言うなよ」

「褒めても何も出ないよ?」

「褒めてないよ」

「褒めてよ」

「どこをだよ」

「……胸?」

「俺はもっと大人な胸がいい!」

「大人だもん!」

「いや、まあいいけどさ、てか何でお前は顔の事は自慢しないの?」

「顔? ん~私の顔って丸くない? お母さんみたいな美人顔なら良かったのになぁ、そうそう私のお母さん凄い綺麗なんだよ! もう髪もさプラチナブロンドで今の私の髪みたいな色でさ、もうマジエルフみたいなの!……それに比べて私のこの丸顔なんて……」

 ムニムニとほっぺたを伸ばしてみる、おお伸びる。

「さようですか、なんだろうレベルが違いすぎて美的感覚が変になってるのかな。だがまてよ、そんなお前が言う綺麗なお母さん。そしてこいつが女子高生つまり!」

 何やらブツブツ言い始めたと思ったら。

「お前のお母さんは幾つだ!!!」

「え、え? え~とハタチで私生んだって言ってたから今年で36歳でございまする」

 なんかすごい勢いで訳の解らんことを聞かれたがあまりの勢いにとっさに答えてしまっていた。

「八つ上か」

「いやいや上か、っじゃないわよ何考えてるのよあんたは」

「ふ、綺麗なお姉さんは大好きです!」

「女子高生が好きなんじゃなかったの?」

「それはそれ、これはこれ」

「便利な言葉ね」

 ダメだこいつ……でもまぁこういう人は信じられるな。尊敬はしないけど。

「リリィ! 肝心なことを聞くのを忘れていた、これはとても大事なことなんだ」

 アックスが急に真剣な顔をしてそんな事を言ってきた。だが山賊だ。

「お母さんの胸のサイズはどれくらいd「けっきょくそれかぁあああああああああああああああ!!!」

 ゴシャッ! という身長差を生かしたストレートアッパーがゴミの顎にヒットした。

「はぁ、もう今度写真でも見せてあげるからさっさと行くわよ」

「え、マジで! ってだからそういう無防備にリアル情報を教えちゃダメなんだって!」

「あのねぇ私も少しは考えてるわよ」

「じゃあ何でだよ」

「あんたのことはその位は信じてるってこと」

「こんな時どう言う顔すれば良いのかわからないの」

「シネバイイトオモウヨ?」

 と笑顔で私は答えた。


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