蛟龍の初陣
攻撃型原子力潜水艦蛟龍
木梨鷹一中佐率いる第一潜水戦隊の潜水艦蛟龍以下3隻は第52任務部隊から56km地点に忍び寄っていた!
「司令、攻撃開始地点に到着しました。」
「了解。総員戦闘配置につけ!対艦戦闘用意。」
蛟龍、海龍、神龍、爆龍は、攻撃体制を整えつつさらに接近していた。目標はもちろん、空母エンタープライズ、レキシントンである。
「発射弾数、2発。」
「了解。1、2番発射管USM-90装填。発射用意!」
各艦の1、2魚雷発射管にUSM-90が装填された。ちなみに、USM-90とは90式潜対艦誘導弾のことである。この90式潜対艦誘導弾は、90式艦対艦誘導弾を潜水艦の魚雷発射管から撃てるように改造したものである。(もっとも、原型は、ハープーンだけど…)
「こちら、水雷長。装填完了!いつでも撃てます。」
「了解。本艦と海龍はエンプラを、神龍と爆龍はレキシントンを攻撃せよ!攻撃開始!」
「1、2番魚雷発射管注水!」
1、2番魚雷発射管に注水された。
「撃て!」
艦長の号令とほぼ同時に、USM-90が2発射出された。そして、合計8発が海中を通って海上へと踊り出た!いったん上空に向け飛び出したかと思うとすぐに高度を落としてシー・スキミング・モードに移行した。これは、海面を識別しながら飛行することである。
米空母エンタープライズ、艦橋
そんなことも知らない、第52任務部隊は悠々と航海していた。そして、突如それは現れた!
「か、艦長。な、謎の飛翔物体が接近してきます!時速630マイル(マッハ0.84)、高度50!」
「何だと!直ぐに対空戦と…」
しかし、艦長の号令は遅かった!8発のUSM-90は、ホップアップしそれぞれ4発づつ空母の飛行甲板に命中した。刹那、大音響とともに大爆発を起こした。
この攻撃で、老齢のレキシントンは轟沈、エンタープライズは大破した。
「火を消せ~!」
エンタープライズは、ダメージコントロールが素晴らしい。そのため大破したものの何とか生き延びれた。
「ジャップめ、覚えていろよ。」
ハルゼーは舌打ちをした。
潜水艦蛟龍
「よし、司令部に連絡だ!『我レ、レキシントン撃沈、エンタープライズ大破セシメリ!』だ。ほんで、日本に帰還する。」
「了解。」
第1潜水戦隊は、日本に向け針路を取った。これが、蛟龍の初陣であった。