啓翁桜2
なぁ俺と付き合わない?
…いきなり何をいい始めるかと思えば…
ちょっとまともな所もあるんだと感心した自分が馬鹿らしい
この男に常識はないのか?おはようって挨拶するぐらいの感覚でいるのか?
キー坊は続ける
俺達知り合ってから沢山メールもしたしお互いの事わかってきたじゃん
そろそろいいよね?
…何がいいのか
メールは一方的に送ってくるし何より会ったのは二回目でお互いの何がわかっているのかこの男にわ
ノアの事好きになっちゃたしもっと知りたいから
まだ言ってくる
…話にならない
好きって言われたら嬉しいはずがこうも軽く言われると何も感じないしイライラもしてくる
なぁどう?
返事わ?
…返事?
無理でしょう…
ノアはそういう事は考えてないと伝えるとキー坊はさらっと言った
付き合ってみないとわからないじゃん
俺達相性バッチリだよ
俺と付き合えば間違いないよ
何と言う自己チューな発想
相性?
どう見てもプラスとプラスでしょう
まず引き合う事はないし付き合う事が間違いだろうね
この人は付き合うってどう考えているのだろうか
ノアは聞いてみた
私と付き合ってどうしたいの?
だいたい私のどこがいいの?
するとキー坊はタバコを吸いながら言う
ノアの全てだよ
ノアと付き合っていつも一緒にいたいし抱きしめたいしキスもしたい
もちろんエッチもね
とにかく全部だよ
…えっ?
いきなり何を言うかと思えばここまでストレートに言われると逆に恥ずかしくなる
オープンな性格なのは解るがデリカシーが全くない
過去に付き合った女の子はどうしてこの人を選んだのだろうか?あぁやっぱり私には合わないな…
よし
じゃあ決まりな
付き合ってみてダメな時は言って
その時は諦めるから
無茶苦茶だ…
何も決まってないし付き合うはずもない
自分勝手もいいとこだし今諦めてもらわないと困る
ノアが断ろうとするとキー坊は立ち上がり仕事に行くと言い自転車に乗った
なら行こうかノア
また明日会いに来るよ
言うタイミングを逃したノアはいつ切り出すか考えながら自転車に乗った
二人は来た道を帰り始めたが二人の心境は行きと全く違う方向に進んでいる
完全に浮かれるキー坊
来た時はちょっと見直したがあまりの自己チューぶりに困惑するノア
二人の気持ちはそれぞれ違う方向に向かい始めた
次の日
ミーマイが笑顔で話しかけて来た
おめでとうノア
付き合いはじめたんだって?
最初は無理かなぁって思ってたから付き合うとは思わなかったよ
本当よかったね
…違う
何もめでたくないし付き合ってもない
キー坊はすでにミーマイの彼氏に言ったんだろう
ため息が出る
そうじゃない事を伝えようとすると横からユアが
いいなぁノア
ミーマイ早く私にも紹介してよ
…私に説明させて
そう思うがミーマイが続く
ユア任せて
超いい人紹介するから
ミーマイは自信がある口調で言った
ノアとキー坊が付き合ったと聞いて、かなり強気に言う
…あぁ
どーしようもないな
時間が経つのを待とう…
ノアは肩を落とし大きなため息をついた
今日は珍しくゆっこが学校に来ている
会う度に派手にそして輝いて見える
ノアはゆっこと久しぶりに学食でご飯を食べた
あの日以来だったので頭の中にはモヤモヤが残っていた
ゆっこは話始める
どう?
最近?
私も学校休んでばっかで中々会わないけど彼氏できた?
あぁ…いきなり
1番聞かれたくない事を最初に切り出してきた
だいたいノアは付き合ってるつもりはないが向こうはそうは思っていない
どこから話せばいいのか…とりあえずうまく説明は出来ないが話をしてみた
マジで?
何それ?
そいつめちゃくちゃじゃん
ノアとは絶対合わないよ
辞めときなよ
ゆっこはそう言うが辞めるも何も最初から付き合うつもりはない
そんな話をしながらもノアはこの前の話が気になってしょうがない
小声で話題を変える
ゆっこ…この前のパンツの話…
そう言うとゆっこは少し表情が険しくなり言った
あれねぇ
ノアびっくりしたでしょゴメン
友達がどーしてもって言うから断れなくて一回だけだよ
なんか雰囲気的に断れない時ってあるじゃん
ノアは全く納得できない
雰囲気で
パンツを売らないし
そんな人達を友達と呼べるのか?
ノアは真剣にゆっこに話をしたが
ゆっこはわかったと二回言って話を変えた
明日さぁコンパあるんだけどノアも来ない?
ほら覚えてる?
夏にバイト前ナンパしてきた彼
連絡してきてコンパしようって
…聞いてない
ゆっこにとってパンツを売るのはフリマで服を売るのと同じ感覚なのか…
半分飽きれるのと自由奔放なゆっこを羨ましくも思う
しかし初対面の人と話せる訳もないしコンパなど行った事もない
一応キー坊と形だけは付き合ってる事になっているし気持ちがないとはいえ罪悪感がある
やっぱりコンパは無理かなぁ…
いろんな気持ちが交錯する
ゆっこは明日の昼までに返事してくれればいいと言ったがこの流れだと行かないだろうなぁとノアは思った
放課後久しぶりにゆっこと一緒に帰ることになり桜坂を歩いていた
ノアこっち
こっち
…えっ?
視線を前にやると見たことのあるでかい男がタバコを吸いながらこっちに歩いて来る
ノアはその場に立ち止まった
ゆっこがキー坊とノアを交互に見ながらビックリした顔で見ながら言った
ノアの言ってた彼あの人?超ヤンキーじゃん
ノアとじゃ…
さすがのゆっこも言葉に詰まった
ノアから想像出来る男の範囲を完全に振り切っていた
そんな二人の心境などお構いなしに近づいてくる
おぉ今日は早めに来たよ
…今日も本当に来るとわ
考える力は足りないのにやたら行動力はある
キー坊の気持ちとは反対にノアは肩を落とした
キー坊はゆっこを見て軽く頭を下げた
友達?俺瑞樹ってんだけど今ノアと付き合ってんだよね
よろしく
…軽い
しかも付き合ってないし
ゆっこはノアから昼間話を聞いていたので愛想笑いをするしかなかった
二人一緒帰るの?
なら俺も一緒行くわ
えっ困る…
ゆっことキー坊が顔を合わせたのが予定外なのにさらに一緒に帰るとなると問題が多々ある
ノアはキー坊に
今日はゆっこと久しぶりに中学の同級生のとこに行くからゴメン
マジで?
せっかく来たのに
ちょっとくらい話していこうぜ
…来てくれっていつ言った超わがまま
だいたいいきなりきてなんでこんな偉そうにしてるんだ
ノアはイライラしながも我慢して言った
本当時間なくてみんな待たせてるから
ねぇゆっこ
ゆっこもとっさに
うん
瑞樹君ゴメン
今日はノア借りるわ
さすがゆっこ
臨機応変に対応する
あぁならしょうがないなぁなら明日の夜会おうか
ゴメン
明日の夜は前からゆっこと遊び行く約束してるんだよね
また私から連絡するよ
珍しくノアの口からうまく言葉が出てくる
それくらい必死なのもあったが早くこの場から去りたかった
そのやり取りを見ていたゆっこも驚いていた
キー坊は不満そうだったが校門の前で別れた
別れ際に絶対連絡しろよと一言いって
二人になりゆっこが言った
ノアすごいじゃん
超うまくかわしてんじゃん別人みたいだったよ
ノアはまだ心臓がバクバクしている
必死だった為何を言ったかあまり覚えていない
ただ最後に連絡しろよの言葉だけは、はっきりと覚えている
ゆっこが話を続ける
さっき明日、私と遊ぶって言ってたけどオッケーでいいの?
…言ったかも
あぁ…どうしよう
行き当たりばったりとはこの事なんだろうなぁ
悩んでも仕方ないかぁ
さっきは話合わせてもらったし行ってみようかな
ノアが行くと言うと
ゆっこは喜びながら明日はいい出会いがあるといいねっと言った
その日の夜キー坊からのメールにノアは明日のコンパに行く後ろめたさから珍しくメールのやり取りをした
自分をごまかすかのように…
いよいよ明日は初めてのコンパ
今までにないドキドキ感を感じながらベットに入った