秋桜
二学期も始まり
クラスは全く違う雰囲気になっていた
夏休みが終わるとこんなにみんな変わるとは…
入学当初の面影が全くなくなっている
夏は人を成長させるなぁとノアは改めて思った
クラスの雰囲気に妙に親近感を覚えうれしくなった
いつもの席…
窓側の前から三番目
朝日が眩しく目を細めて外を眺めるとグランドで野球部が練習をしている
トントン
肩を叩かれた
おはよう
久しぶりだねぇ
夏休みどうだった?
話かけてきたのは三井まい略してミーマイ
明るくクラスの中心的存在派手な化粧と常に盛ってる髪がミーマイの特徴
ただちょっと怖い人達との繋がりがあるようで下校時には真っ黒な車が迎えに来る
ノアはあまり好きな感じではなかったが無視する理由もないので話を合わせた
ノアちゃん変わったねぇ
かわいくなったよ
彼氏できたでしょ?
…彼氏
スーパーに大根を買いに行くぐらい簡単に彼氏ができるならどんなにいいか
だいたい私はどんな人を求めているんだろう
どこの会話も恋愛の話
ミーマイに相談したところで解決する訳でもないしなぁ
隠す事もないので素直にいないと言うと
彼氏いないの?ねぇ私の彼氏の友達でフリーな人いるんだけど会ってみない?
…無理だし
心の中で思う
会いたくないし関わりたくないとノアは思う
なぜならミーマイの彼氏がまず生理的に受けつけない
平成も20年以上経ってるのに昭和の歴史の教科書に出てくるようなあの身なり…
天然記念物にしか見えない人達とどう交われというのか
大丈夫だよ ありがとう
と断ったが
ミーマイは一人で盛り上がっている
四人で会うからと
食い下がらない
何故そこまでして私に紹介したいのか
ちょっとイライラしてきた
余りにしつこいのでちょっとだけならと承諾した
ミーマイはホッとした様子で放課後ねと言葉を残し自分の席に戻った
なんか違うんだよなぁ
出会いは突然じゃないけど私の理想わ
ドラマの影響が手伝ってか求めるハードルがかなり高くなっている
今日はとりあえず会ってすぐ帰ろう
面倒だと思いながらも断りきれない自分が嫌になる
放課後約束通りミーマイと一緒に校門で彼氏が来るのを待っていた
すると3キロ先からでも聞こえるような絵に書いたような車で校門に横付けした
言葉にならない
…何がいいのか?
人に迷惑をかけてるという意識はないのか?
そもそも良心という言葉を知っていればもっとまともな車に乗って来るだろう
早く帰りたい…
ミーマイがノアを紹介する
同じクラスのノアちゃん
キー坊は?彼氏に聞くと仕事先から直接来るとのこと
気まずい空気が流れる中、またしても電車がこっちに向かってくるかの騒音でバイクが近づいてきた
車の後ろで止まってこっちを見てる
…帰ろう
もうこの場所にいるのも嫌だしみんなに友達と思われるのも嫌だ
バイクを降りこっちに向かってくる
彼氏に挨拶をすると
彼氏が紹介した
朝比奈瑞樹
俺の後輩で年は17
高校は行ってなくて仕事してるよ
みんなからはキー坊って呼ばれてっから
もう私には何も言う事はない
今考えてるのは一秒でも早くこの場から脱出すること
彼氏がミーマイに車に乗れと言っている
するとミーマイも当たり前のように助手席のドアを開けている彼氏がキー坊に
紹介したから後は二人で適当にしてくれな
…超無責任
これを紹介と言うのだろうか…
お見合いなら即、破談になるだろう投げっぱなしの紹介
ミーマイは助手席の窓から頑張ってと手を振り車は走り出した
またとんでもない騒音をたてながら
目の前にいるのはほんの5分前に紹介されて一言も交わしてない男の子が一人
何を喋っていいかわからない
沈黙しているとキー坊が突破口を開いた
俺の紹介はさっき聞いた通りだよ
簡単にプロフ教えてよ
なんなんだ
この馴れ馴れしさと言葉の軽さわ
初対面とは思えない口調でキー坊は問い掛けた
ちょっとムッとしながらも名前と年を教えた
ノアはここまですればミーマイに明日会っても何も言われる事もないだろうと思い帰る事を伝えると
笑いながら
まだ会って10分じゃん
バイクの後ろ乗りな
軽くブラブラしようぜ
えっ?
この品性のかけらもないバイクで?
気持ち悪く鳥肌がたった
口調も気に入らないがこのバイクは全く受けつけなかった
無理と断り駐輪場に向かおうとすると
キー坊は
何?
自転車がいいの?
なら自転車ニケツでブラつこうか
足りない人って言うのは、まさに目の前の人の事なんだろうとため息をついた
一人で帰ると言うと
駐輪場から勝手に自転車を持ち出してきて
俺これでいいわ
なら行こうか
…馬鹿いや人として間違ってる
全く知らない人の自転車をためらう事なく乗っていこうとしている
…泥棒じゃん
大きくため息をついてバイクは嫌だったので近くの公園に歩いて行くことにした
早く帰りたい…
そう思いながら歩き始めた
しかし背高いなぁ
いくつあるんだろう
キー坊は背が190ちかくあり髪は長く明るく染めておりカチュウシャで髪を上げていた
なんで私がこんな事に巻き込まれなきゃいけないんだろうと思いながら早足で公園に向かい近道をするため路地を曲がった
公園につくなりキー坊はタバコに火を点けた
今日だけだから…
ノアはもう何も言わずただ時間が過ぎるのを待っていた
その間キー坊は
いろいろ聞いてくる
適当に流しながら
そろそろいいだろうと思い帰ると言うと
携帯番交換しようと言ってきた
もう会う事もないから
交換はしたくなった
しかしキー坊は引き下がらない
仕方なしに赤外線で番号を交換した
二人は来た道を歩き始めた
ノアは一つだけ気になる事があったので聞いてみた
なんで今日わざわざ紹介受けて学校まできたの?
キー坊は軽い口調で言っただって出会いって待っててもないじゃん
運命とか信じないし自分で行動して自分で決めた人と付き合いたいじゃん
えっ
初めてまともな事を言っている
むしろ私のモヤモヤを一発で見抜かれた気分になった
駐輪場着くとキー坊が
連絡するから
また会おうと言う
心の中ではもう会う事はないと思っていたが返事だけはしといた
日は落ちかけ
何か嘘をついたという罪悪感を感じながら自転車を走らせた
次の日
学校へ行くとミーマイが直ぐさま話し掛けてきた
どうだった?
キー坊?ノアはとりあえず昨日の出来事を全部話した
ミーマイはちょっとがっかりした感じで
タイプじゃなかった?
と聞いてきた
タイプも何もあんなにでたらめな人初めて見たし友達にもなれる訳がない
しかしミーマイには言えず
番号だけは交換した事を伝えた
その日からキー坊のメールはおはようメールから始まっておやすみメールまで毎日くるようになった
メールの返信に関係なくキー坊からのメールは続いた
ノアには全く会う気はなくただ携帯の画面だけの付き合い
顔を見なければ気楽だし重荷になることもなかった
いつもの「WHO」と共に携帯が鳴った
ノア?
何してる?
ゆっこからだ
今ねぇ
F組の友達とその友達でマックいるんだけどこない?
ノアは時計を見た
九時を回っている
今出たら親がうるさいから家抜けるから10時過ぎでも大丈夫?
ゆっこは大丈夫と言って電話を切った
なかなかタイミングが計れず結局家を抜けたのは11時過ぎだった
マックは家から歩いて5分ほどのとこにありみんなのたまり場になっていた
マックに着くと
一番奥の席にゆっこ達はいた
一見高校生には見えない雰囲気をみんなしていた
ノアこっちだよ
手招きしてノアを呼ぶ
奥に行くとゆっこを入れて七人いた
ゆっこがノアをみんなに紹介した
皆、ノアに視線を集める
ノアは軽く会釈をしてゆっこの隣に座った
知らないメンバーばっかりだがゆっこが一人ずつ紹介してくれた
高校もバラバラだが年はみんな一緒だった
ゆっこがおもむろにタバコに火を点けた
えっ?
…ゆっこ
いきなりタバコを吸うゆっこの姿を見て驚いた
キー坊が吸った時は
何も思わなかったが
ゆっこは小さい頃からの友達
ノアはゆっこに注意した
するとゆっこは笑いながら言った
ノア
タバコ吸うのなんて普通だよ
周り見てみなよと煙りを吐き出す
周りを見てみると喫煙率が100%…
これが普通?
タバコは二十歳からって決まってるじゃん
そう思うが言葉にできない
ノアも吸う?
ノアは首を横に振るだけだった
無性に悲しくなった
何十年も一緒のゆっこの事は何でも知ってるつもりだったが
今、周りにいる友達の方がゆっこと打ち解けてるように見えてきた
なんか
どんどん取り残されるなぁゆっこが特別大人びて背伸びしてた訳じゃないんだ
周りをみればみんな同じような事してるし…
別にいい子ぶってる訳じゃない
真面目な訳でもない
ただ今までの自分の価値観や環境がこんなにも掛け離れているなんて…
ノアは頭の中が整理出来ずにゆっこが準備してくれていたバニラシェイクをすすりながら遠くを見ていた
時計は深夜を回っていた
一通りみんなと会話をかわし話も盛り上がってきた
話題はいつの間にか性のお悩み相談になっていた
ノアは口数が少なくなり聞き手に回っていた
一人の子が話始める
この前した男マジ下手くそでさぁ、股超痛くなったし
てかエロ動画見すぎか知らないけどやたら激しく指動かすから濡れないし気持ちよくないしマジ終わってたよ
だから一回でバイバイだったし
…うわぁ
ノアはほとんど溶けたシェイクに口を運んだ
男ってさぁ
ヤル事しか頭にないよねぇコンパであからさまにやるオーラ出てる奴とかマジうざいよね
結局男ってできれば誰でもいいんだよ
だから浮気もするし他の女に目移りするしね
ねぇノアちゃんそう思わない?
いきなり振られたノアは、くわえていたストローを噛んだまま固まってしまった
ゆっこが会話に入る
ノアはまだ未経験だよ
ピュアガールだからそこらへんよろしく
すると
えぇ
ノアちゃんバージン?
何で?彼氏いないの?
ゆっこの友達だからイケイケかと思ったよ
ノアは一人だけついていけないのが恥ずかしかった
みんなの視線が妙に痛い
あぁこのまま貝になりたい…
しかしここで話を中断させるのもかなり気まずいので逆に話を聞きたいとみんなに言った
すると何事もなかったように話は続いた
みんな経験してるんだぁ
私が遅れてるのかなぁ
自問自答をしながら耳だけは話に傾ける
また一人が切り出した
男の人のって最初、小さいのに触ったり舐めたりするとなんであんな大きくなるのかなぁ
ビヨーンって伸びるし
口の中に入れてたら生き物みたいだしね
その子は右手を軽く握った仕草で手首を上下させてみせる
あっバナナ…
ノアはゆっこ直伝の
バナナ講座を思い出した
ゆっこから聞いた時と違ってかなり免疫はついていたが話がかなりリアルに感じる
他の一人が続く
てか私なんかこの前援交した親父からおしっこかけてって言われて
ドン引きしたけど
一万さらにくれるって言うから風呂場でしたよ
マジで?
そのおっさんキモくねぇ
みんな爆笑している
シェイクを飲む口が止まった
…援交
初めて目の当たりした
テレビなんかじゃよく見ていたがしてる本人から話を聞くとわ
ノアは空気のようになり耳だけ傾けていた
キモすぎその親父
また別の子が話始めた
そんな事よりもっと楽勝な方法あるよ
この前パンツ五千円で売ってってオジさん言われて一緒に売ったよねっゆっこ
えっ?ゆっこ…
聞き違いであってほしいと思いながらゆっこに視線を送る
しかし会話を振られたゆっこは気まずそうにノアをチラッと見る
ゆっこ…
ノアは胸の奥から何かが込み上げてくるのがわかった
目の辺りが熱くなって涙を堪えるのが精一杯だった
何でゆっこが…
気まずい空気に周りはすぐに話題を変えたがその日ノアとゆっこは会話を交わすことはなかった
帰り道さっきの話を思い出し、涙を流さないよう空を見上げた
満天の星空
涙で星がいくつも重なって見えた
何事もなかったように朝からいつものように洗面台の前で身なりを整える
もう完全に朝の洗面台はノアの一人舞台になっている
昨日の出来事がショックで中々化粧にも力が入らない
それに加えて流石に朝方まで起きていたので眠い
サボろうかな…
化粧をしながらそう思うが中学時代からサボった事のないノアはなんだかんだ言っても準備を始めた
外に出るとパラパラと雨が降っていた
ますます行くのが嫌になりため息をつく
はぁ…
なんか力入らないなぁ
ぶつぶつと独り言をいいながら自転車を走らせた
十字路を曲がると目の前にコンビニがある
やたらバイクがとまっているが、どれもまともといえるようなものではない
キー坊を思い出す
キー坊の事を散々ありえないと思っていたが
昨日の話を聞くと彼女達も変わらないように思えてくる
Hな話には興味はあるけど彼女達がやってる事は犯罪だし何より好きな人以外と何でできるのか理解できなかった
自転車を走らせる
後ろからすごい騒音が聞こえてくる
騒音はノアの自転車の真後ろで聞こえる
えっ?
振り返るとヘルメットもつけず大股を広げ運転しこっちを見ている
…キー坊?
ノアは自転車をとめた
するとバイクもとまり話かけてきた
やっぱりそうだ
ノア久しぶり
そこのコンビニにいたんだけどノアにそっくりだったから追っかけてきたよ
まさかこんな所で再会するとわ
メールのやり取りはあったがほとんどキー坊からの一方通行
のあの返信に関係なく毎日のように送信してくるキー坊
ノア暇?
今から遊び行かない?
…抜けすぎている
今制服を着ている私に暇と聞いてくる無神経さ
私がTSUTAYAにでも行くように見えるのだろうか
この男には…
空にも浮きそうなぐらい軽い口調で話を続ける
学校に行くと言って再び自転車を走らせると
また騒音が響いた
…ついてくる
また自転車をとめた
学校行くからついてこないでと言うとキー坊は
なら放課後、校門で待ってるからと言うとアクセルを開きコンビニの方に戻って行った
…全く会話のキャッチボールが出来ていない
相手の話を聞く事が出来ないのだろうか
離れて行くバイクを見ていると無性にイライラしてきた
絶対会わない
ノアは呪文のように何度も口にしながら学校へ向かった
ノアの周りで起きてる事とは関係なくいつも通りに授業が進んで行く
ノアは窓の外を眺めながらぼーっとしていた
雲がゆっくりと流れている子供の頃を思い出した
雲乗ったらどこまで行けるのかなぁ
今思えば馬鹿らしいが当時は真剣に乗れると思っていたし雲はどんな味がするのか気になっていた
雲の形がいろんな形に見える
うさぎやキリン
林檎やイチゴ
あっ日本の形もあるなぁ
…バナナ
というよりあっちの方が近い
ジーッと見ていると大きくなってるように見える
実物を見たことのないノアだか携帯の動画で見た事はある
その時は、まともに見る事も出来ず恥ずかしさと興味が入り交じりながら見ては消しての繰り返しをしていた
Hがどんな感じなのかはイメージ出来ていたがオシッコする所に入れるのはイメージできないでいた
生理の時初めてタンポンを入れた時の感触…
あんな小さくないだろうし
柔らかくもないんだろうと思うと私の身体に入るか心配にもなる
何よりも最初は痛みしか感じないとゆっこも言ってたし話には興味があっても自分がしたいとはあまり思わなかった
あんな雲くらい大きいのもあるのかなぁ
くだらない妄想を膨らませていると雲の形は徐々に形を変え空に吸い込まれていった
前にサイトで見た事を思い出した
妄想は現実に起こりうる事しか妄想できないと…
じぁあ私の想像してる事は起こっちゃうの
考えていたら恥ずかしくなってきた
チャイムが鳴り
ハッとした
ノアは頭の中で考えていた事を振り払うかのように早足で学食に向かった
いつもはゆっこを誘って行くのだが学校には来ていない
二学期になりゆっこは休みが目立つようになっている
毎晩昨日のように遊び回っていれば起きれるはずもなかった
昨日のメンバーから考えれば朝から学校に来ているノアの方が考えられないかもしれない
今日は何食べよう…
学食の前でメニューを見ていると後ろから話かけられた
ミーマイだ
ノアちゃん一人?
よかったら一緒に食べない?
ミーマイはクラスの友達と二人で来た
今日は一人で食べたい気分だったが
断る理由もなかった
結局三人で食べる事になり窓側の席に座った
頼んだサンドイッチを口に入れると早速ミーマイが喋り始めた
ノアちゃん
キー坊とどうなってるの?
…きた
そうなるよね
わかってはいたが実際聞かれると何て言えばいいか…
朝バッタリ会った事を話すか
一方的なメールの話をするか
考えてもうまく流せる返事が見当たらない
とりあえずメールはしてると言うと
本当?
うまくいってるんだぁ
よかった
紹介して
…ミーマイ
どうしてそんな答えになるのかな
メールしてるのも向こうからの一方通行なのに
やはりミーマイもあの彼と付き合うだけあってかなりのプラス思考である
ミーマイは続ける
なら今度は、ユアにも紹介してあげる
ノアは思う
えぇ…それはまずい
ユアはミーマイと一緒に学食に来たクラスメート
おっとりしていてちょっとポッチャリしている
容姿は、けして良いとは言えないがよくいる痩せれば絶対かわいいタイプ
実際中学の時は痩せていて元カレとの写メを見せてもらった事がある
その元カレとの別れが今の体型になる原点になってしまったみたいだが…
しかしミーマイの彼氏の友達はマズイ
経験者として被害者を増やさないようにしなければ
とてもユアに昭和の香水は合いそうもない
止めなきゃ…
しかしユアは即答した
マジで?ミーマイお願い
超彼氏ほしいしぃ
カッコイイ人お願い
あぁ…ダメだよユア
しかも即答で返事して…
私はあれだけ拒んでやむなく行った結果がこれだし
ユアも自分と同じレールに乗せられたと思うと肩の力が抜けた
何故ミーマイは彼氏の友達をそんなに紹介したいのか?
他の人にも幸せになってほしいから?
それとも自己満足?
紹介して満足してるならしょうがないが、幸せになってほしいと思っているなら紹介しない方がいいとノアは思う
そんなノアの気持ちに関係なく話は盛り上がり紹介してもらうみたいだ
ノアは何も言わず残りのサンドイッチを食べた
放課後が近づきノアは憂鬱になってきた
本当に来てたらどーしよぅ
今日は自転車置いて帰ろうかな
でもあのコンビニに明日もいたら同じだし…
いい方法を考えようとするが思いつかない
時間だけが過ぎ放課後になるとノアは覚悟を決め駐輪場に向かった
覚悟を決めたが中々前に進まない
校舎から駐輪場まで続いてる桜坂は緑の葉に交ざって茶色く変わった葉も目立つようになっている
歩けば前に進む
当たり前だが今日は進んでほしくない
下を向きながら歩いていると駐輪場の方から呼ばれた
ノア
こっち こっち
真っ白のジャージに片手をポッケに入れて手を上げている
…本当来てる
逃げ場のないこの状況
下校してるみんなはキー坊に目をやった後、私の方を見る
どう見ても彼氏が彼女を迎えに来てる光景にしか見えない
…逃げたい
しかしキー坊はそのままノアに近づいてきた
ちょうど今着いたとこだよ早めに来たつもりだったけど高校って終わるの早いな
あぁ…
今来たなら悩まずいつものように帰っていたら会わなかったのに…
ノアは後悔する
…あれ?
あの迷惑なバイクが見当たらない
バイクどこ止めたの?
ノアは聞いた
あぁ
バイク絶対乗らないって言うしあんまりいい顔してなかったからチャリで来たよ
びっくりした
全くそんな事気にしそうにないのに考える頭あるじゃん
そう思うと自然と笑みがこぼれた
なぁどこ行く?
なんか拍子抜けしたノアはこの前の公園でいいよと自然に言葉が出た
自転車に乗り、今日は路地を曲がって近道をせず真っすぐ進み公園に向かった
校門から見える二人の後ろ姿は
恋人のように周りには見えていた
続けて二部目を投稿します
沢山の人に読んでもらえると今後の励みになります