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安心できる帰り道  作者: たい


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9/22

隣で眠る理由

第8話は、“安心感が恋愛へ変わる瞬間”をテーマに描きました。


このシリーズではずっと、


「安心できる関係」


を大切にしてきました。


今回は、その安心感が、


“ただ落ち着く”

だけではなく、


“隣にいてほしい”


という気持ちへ変わっていく空気を描いています。


また今回も、


* ホテルの夜

* 眠そうな空気

* “安心優先”の延長線


という、このシリーズらしい穏やかさを大切にしました。


少しずつ距離が変わっていく二人を、楽しんでもらえたら嬉しいです。

夜。


ホテルへ戻る道。


遊園地の灯りが、少しずつ遠ざかっていく。


奈々は小さく息を吐きながら笑った。


「……まだちょっと観覧車の余韻ある。」


「奈々ちゃんずっと顔赤かった。」


悠斗が苦笑いする。


「悠斗くんもでしょ。」


二人とも、まだ少し照れていた。


美咲はそんな二人を見ながら、小さく笑う。


「やっと素直になってきた感じ。」


「やめてよ……。」


奈々はさらに顔を赤くした。


でも、その空気はかなり穏やかだった。



ホテルの部屋へ戻る。


暖かい空気。


柔らかい照明。


三人とも、かなり歩き疲れていた。


奈々はベッドへ座りながら、大きく息を吐く。


「……今日ほんと平和だった。」


「分かる。」


悠斗も笑う。


でも、今日は少しだけ違った。


観覧車の中で、


“安心する”


という気持ちが、

少しだけ特別な意味へ変わっていた。



美咲は飲み物を机へ置きながら、小さく笑った。


「なんか今日の二人、距離近いね。」


奈々が一瞬止まる。


「えっ。」


悠斗もかなり動揺している。


美咲は吹き出した。


「分かりやすすぎ。」


奈々はクッションを抱えながら顔を隠す。


「だって観覧車ずるかった……。」


「ぼくもかなり緊張した。」


悠斗も苦笑いする。


でも、不思議と嫌じゃない。


むしろ心地よかった。


それが、二人とも少し嬉しかった。



少しして。


奈々は旅行バッグを整理しながら、小さく笑う。


「……今日も安心優先だね。」


「もう完全に合言葉。」


悠斗が吹き出す。


美咲も静かに笑った。


三人とも、無理をしない。


ちゃんと安心する。


それが自然になっている。


昔みたいに、


“ちゃんとしなきゃ”


だけで頑張ることは少なくなっていた。



お風呂のあと。


部屋には、かなり眠そうな空気が広がっていた。


奈々は髪を乾かしながら、小さく欠伸をする。


「……もう眠い。」


「今日もかなり歩いたしね。」


悠斗もベッドへ座り込みながら笑った。


美咲はそんな二人を見て、静かに微笑む。


その時。


奈々が小さく呟いた。


「……今日、ちょっと一人で寝たくないかも。」


部屋が静かになる。


悠斗が目を丸くした。


奈々は自分で言ってから、一気に顔を赤くした。


「ち、違っ……なんか変な意味じゃなくて……!」


美咲が吹き出す。


「奈々、分かりやすすぎ。」


「うぅ……。」


奈々は完全に照れていた。



悠斗もかなり顔が赤い。


でも数秒後、小さく笑った。


「……ぼくも。」


奈々がゆっくり顔を上げる。


悠斗は少し照れながら続けた。


「なんか今日、奈々ちゃんいると安心するって、ずっと思ってた。」


その言葉に、奈々の表情が少し止まる。


観覧車の中でも聞いた言葉。


でも今は、もっと近くで聞こえた。


奈々は小さく笑う。


「……わたしも。」



美咲はそんな二人を見ながら、優しく笑った。


「じゃあ今日は、ベッドくっつける?」


奈々が一瞬固まる。


悠斗も完全に動揺している。


でも、美咲は楽しそうだった。


「安心優先なんでしょ?」


その言葉に、奈々が吹き出した。


「ずるい、それ。」



しばらくして。


二つのベッドが少しだけ近づけられる。


部屋の照明は暗い。


観覧車の灯りだけが、カーテンへぼんやり映っていた。


奈々は毛布へくるまりながら、小さく笑う。


「……なんかほんと修学旅行みたい。」


「でもちょっと違う。」


悠斗が静かに言う。


奈々は少しだけドキッとした。


悠斗は照れながら笑う。


「昔より、奈々ちゃんのこと意識してる。」


その瞬間。


奈々の顔がまた赤くなる。


でも、嫌じゃない。


むしろ嬉しかった。



奈々は少しだけ距離を縮めながら、小さく笑う。


「……わたしも、悠斗くんといると安心する。」


悠斗は静かに頷いた。


その空気は、かなり優しかった。


激しい恋愛じゃない。


でも、


“この人と一緒にいたい”


という気持ちが、ゆっくり形になっていく。


そんな夜だった。



深夜。


静かなホテルの部屋。


奈々は半分眠りながら、小さく笑う。


「……ねむい。」


「奈々ちゃん今日ずっとそれ言ってる。」


悠斗が吹き出す。


でも、その声もかなり眠そうだった。


安心できる部屋。


安心できる距離。


その空気の中で、二人とも自然に力が抜けていく。


奈々は目を閉じながら、小さく呟く。


「……悠斗くん隣だと安心する。」


悠斗は少し照れながら笑った。


「……ぼくも。」


そのまま二人は、ゆっくり眠気へ沈んでいく。


窓の外では、観覧車の灯りが静かに回り続けていた。

第8話「隣で眠る理由」を読んでいただき、ありがとうございました。


今回は、


“安心する”

から、

“一緒にいたい”


へ変わっていく二人を描きました。


奈々と悠斗は、

昔から安心できる存在でした。


でも今回、


* 観覧車

* 二人きりの時間

* 同じ部屋の夜


を通して、


「もっと近くにいたい」


という感情が、かなり自然に出てきています。


また、美咲が二人を少し見守る立場になっているのも、この回の大事なポイントでした。


焦らず、

無理をせず、

安心しながら距離が近づいていく。


そんな、このシリーズらしい恋愛を描けた回だったと思います。

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