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終末ダンジョンの機装兵  作者: 結城 からく


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第2話 前編

 爆散するドラゴンの顔面。

 砕けた骨と肉が派手に飛び散り、破裂した目玉が天井にべちゃりとへばりつく。

 首から上が消失したドラゴンはあっけなく崩れ落ちた。

 断面からどくどくと溢れる鮮血を見て、俺は呆気に取られる。


「い、一撃……すげぇ……」


『敵性存在を排除しました。機体の損傷及びエネルギー不足を解消するため、自己改造モードを開始します』


 着地した機械が両腕を伸ばし、ドラゴンの死体に突き刺した。

 そこから凄まじい音を立てて死体が小さくなっていく。

 機械の腕がぼこぼこと蠢きながらポンプのように吸引しているのだ。


 異様な光景に俺は驚く。


「な、何だっ!?」


『現在、敵性存在の死骸を取り込み、機体の問題を解決中です。完了までおよそ二分かかります。しばらくお待ちください』


 冷静な答えが返ってきた。

 その間にドラゴンの死体は綺麗さっぱり無くなっていた。

 床に広がりつつあった血も、天井にへばりついた目玉も消えている。


 死体を取り込んだ機械が唸りを上げて変形し始めた。

 外装が軋みながら厚くなり、破損していた部分が内側から滲み出すように部品が増えて修理される。

 古びた箇所も新品同然の状態へと変貌していく。


 俺が戸惑っているうちに、機械は赤黒い装甲に覆われたロボットとなった。

 シルエットに大きな変化はないものの、全体的に明らかなアップグレードが施されている。

 操縦席から無機質な音声が発せられた。


『自己改造が完了しました。強化内容を確認しますか?』


「あ、いや、それも気になるんだけど……その前に質問があって……」


『なんでもお聞きください。可能な範疇で回答します』


「このロボットって、一体何なんだ。ダンジョンのアーティファクトなのか?」


 俺の質問に対し、音声は淀みない口調で答える。


『私は対異界機装兵KG-80A試作型です。任務失敗で三百年ほど機能不全に陥っていたところ、あなたが燃料を提供してくださったおかげで復旧できました。心より感謝いたします』


「そ、そうなんだ……」


『私の使命はダンジョンの撲滅と世界の存続です。ご協力いただけますでしょうか』


「つまり、俺のダンジョン探索を手伝ってくれるってこと?」


『はい。マスターの魔力を解析したところ、機体との相性が極めて良好であると確認されました。魔力量は微小ですが、そこは機体のエネルギーで補うことが可能です。互いの欠点を補っていくのが最適であると考えます』


 よく分からないが、俺はロボットの操縦者に向いているらしい。

 ドラゴンを一撃で倒すほどの兵器を手に入れたというわけだ。


(これならSランクハンターも夢じゃないぞ……!)


 とんでもない目に遭ったものの、なんだかんだで凄まじい物を入手してしまった。

 その期待と興奮で笑う俺だったが、不意に目の前が歪んで全身の力が抜ける。

 意識が朦朧とする中、背中の痛みに気付いた。


(あっ、そうだ。俺、ドラゴンに背中を切り裂かれて……)


 そこで限界が来て、俺は目を閉じた。

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