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悪戯(できごころ)で神界を追放された『愛(欲)』の神様、死ぬのは嫌なのでラブコメ始めました。  作者: あかむらさき


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第02話 委員長の『ちょっといいとこ(意味深)』見てみたい。

 夕暮れ、教室、美少女学級委員長の私。

 美少女! 学級委員長! の私!

 ……うん、ちょっと冷静に――なれるかっ!!


 えっ? 何? 私って前世で何か悪いことでもした?

 これまでとは違い、ちょっとまともな男子に告白されたと思ったら……いや、これを『告白された』って定義していいの?


 机を挟んで座っている、想像していたよりかおの良かった同級生。

 そんな彼が意味不明の供述とともに、前に差し出した手は。


「……って木藤くんの指が消えて見えるんだけど!?

 えっ? それっていったいどんなマジックなの!?」


「いや、マジックで人体がスケスケに出来たらレントゲン技師が廃業しちゃうだろ」


「完全に消えてたら診察できないからそんな心配しなくても大丈夫だよっ!!

 じゃなくて! 指っ! 指が消えちゃってるよ!?」


「うん、だからさすがにちょっとヤバいかなと思ってさ」


「木藤くんって現状見えてるのかな!?

 どうしてそんな落ち着いてられるの!?」


「だって治療方法は最初から分かってるし?

 ……そう、あれは今から三ヶ月ほど前の話」


 この状態でまさかの過去話が始まるの!?


「えっと、それって血が出てないから切断したとかじゃないんだよね?

 えっ? ていうことは、本当の本当に指が消えて……」


 あまりにも意味がわからなさ過ぎてプチパニック状態の私。

 いや、慌てるべきなのは私じゃなくて木藤くんだよね!?

 なのに、張本人であるはずの彼は呆れ顔でこちらを見ていて。


「話が進まないからいったん黙って聞いてもらって良い?」


「どうして私が空気が読めなくて騒いでる人みたいな扱いされてるのかな!?」


 そんな多香子の苦情はただの言い掛かりのようにスルーされ。

 そのまま三ヶ月前に自分に起こったことの説明を始める。


「とはいえ、別にそんなに面白い話でもないんだけどね?

 なんだかんだあって神様になって、なんだかんだあって天界を追放されたってだけだし」


「待って待って待って!

 リゾートバイトじゃないんだから!

 普通はなんだかんだで神様にはならないから!!

 ていうか三ヶ月で追放されたって何をすればそんなことになるの!?」


「正確には2月10日……だったかな?

 神様の世界の一つ、『ロムルス神界』って場所に飛ばされて、そのまま向こうで就職することになってさ。

 あっちで『それなりの時間』を過ごしてから、同年同月同時間にこっちの世界に帰ってきたから時間の概念はちょっとあやふやな感じだけど」


「神様になることも就職って言うんだ!?」


「いや神様っていっても、やってることは市役所の職員みたいなものだし?」


 あと『時間の概念』の話が物凄く気になるんだけど?

 神様ってことは不老不死……いや、どうして私はそんな眉唾な話を信用しかかってるのよ……。


「ていうか『なんだかんだ』をもう少し詳しく!」


「詳しくって言われても……。

 ほら。俺って人違いの天罰の『自然発火現象』で灰になっちゃったじゃん?」


「いきなり情報量が多いわね!?

 人違い? 天罰? 自然発火現象? ハイになった?」


「ハイじゃなくて灰ね?

 で、そのあとこの世界――いや、この宇宙の神様みたいな存在に会ったんだけど。

 あっ、宇宙の神様って言っても某這い寄ってくるタイプじゃなくて物凄い胡散臭い、石○彰みたいな感じの神様ね?」


「まさかの全無視……ていうか石○彰さんに謝って?」


「さっきも言ったけど俺が死んじゃったのは『間違い天罰』じゃん?

 でもほら、地球上では灰になっちゃってるから生き返らせるのは無理だって言われてさ。

 ちょっとゴネたらまさかの展開で。天界で神様をやることになったんだけどね? 展開で天界」


「そこ、別に強調されても何の反応もしないよ?

 ていうか、人間に戻るより神様になる方が簡単なの?」


「そこはほら、神様も幽霊も実体が無いって部分じゃ一緒らしくて。

 ……いや、言うほど同じか?」


「そんなこと私に聞かれても……」


「それでまぁ、あっちで神様としてそれなりに楽しく享楽の日々を過ごしてたんだけど」


「神様なんだから真面目に働いて?」


「神様だから真面目に働かないんだよなぁ。

 ちょっとしたアレで主神様、ユピテル神に追放されちゃってさ」


「天界から追放されるとかそれもう反逆をしたってことだよね!?

 ていうか木藤くんは陰キャのくせに堕天使様だったの!?」


「誰が陰キャか……。

 今の姿は人間界で平穏な生活を送るための、世を忍ぶ仮の姿だから。

 これでも天界でいた時は『コウガン』の美少年って言われてたから。

 ちなみに『コウガン』を漢字で書くと『睾丸』だったりするんだけどな」


「どうして木藤くんは隙あらばセクハラを挟むのかな?

 あなたが会話をしてるのは花も恥じらう女子高生だって理解して?

 ていうか百歩譲って! 木藤くんが堕天使様だったまでは鼻で笑って流すとして!

 セッ……エッチなことをしないと消えちゃうっていうのはいったいどういう現象なのよ?」


「信じるわけじゃなく笑って流すのかよ……。

 さっきも言ったけど、神様と幽霊って紙一重な存在でさ。

 これは俺以外の神様にも共通してる――と思うんだけど。

 『天界』って呼ばれる場所。ああ、天界と天国はまったく別物だからね?

 そこには神気っていう……地球で言うと何だろう?

 オーラとかプラーナとかマナとかそういう感じ?

 そんな、神様が生きていくための成分で溢れてるんだよ」


「なるほど、そういう設定なんだね!」


おれの生き死にの話を設定とか言うの止めて?

 もちろん外界――人間界、地上にも神気は存在するんだけどね?

 でもそれはこの世界の神様のための神気。

 この世界の神様を信仰する人たちが創り出しているエネルギーだから、俺みたいな違う神界の神にとっては栄養にならない存在なわけよ」


「思っていたよりちゃんと練り込んだ内容のお話だね?

 ……でも、それならそれで木藤くんに必要なのは他の人からの信仰心なわけだよね?

 それがどうしてセッ……いやらしいことをしないと消えてしまうなんていう、いかがわしい話になっちゃったの?」


「あー……。

 そのあたりは俺の神様としてのアイデンティティが関わってくるんだよ。

 委員長は『ミシャグジ様』とか『マーラ様』って知ってる?」


「そうですね、私はそれ(の形)に関して何の興味も……何の! 興味も! ありませんが! ゲームで得た知識として存在は存じ上げております」


「お、おう、そうなんだ?

 まぁそんな方々と同列を名乗るのはさすがに憚られるんだけどさ。

 ……委員長は俺のフルネームって知ってる?」


「木藤くんの名前ですか?

 確か自己紹介では尊と言っていたような?」


「そう、それで合ってる。

 木藤尊……キトウタケル……亀頭猛る」


「名前を三回繰り返したようにしか聞こえないんですけど」


「ダジャレ的な感じでね?

 あっちでファルス神――平たく言えば『お○ん○んの神様』に――ていうか、そろそろ本格的に不味いな。

 もう侵食が手首くらいまで来ちゃってるし。

 てことで委員長、マジでそろそろお願いしてもいい?

 ほら、人助けならぬ神助けだと思って一肌脱いで?」


「さっきより症状が進行してるじゃないですか!?

 どう考えても出来の悪い作り話のはずなのに……ていうかそれ、一肌脱ぐが本当の意味で脱がされるやつですよね!?」


「よっ。委員長の『ちょっといいとこ(意味深)』見てみたい」


「ぶん殴りますよ!?」

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