設定・登場人物まとめ
時は天正年間、1577年冬。
伊達政宗(主人公)はまだ十代前半ながらも、中村城を拠点として南奥州の抑えを担っている。
直近の大きな出来事としては――
磐城平城の奪取
鬼庭右衛門・左月父子の活躍により、岩城常隆を討ち、佐竹家の介入を許さず磐城を手中に収めた。
勿来に出城を築き、常陸との国境防衛を強化中。
北条・徳川・織田との同盟成立
伊達家は織田信長との公式同盟を皮切りに、徳川家、北条家とも関係を結んでいる。
海運開発の一環として、織田家から安宅船と船大工を贈られ、松川浦で造船事業を進行中。
民心の掌握
磐城には古くから藤原氏と縁ある白水阿弥陀堂があり、主人公の師・虎哉宗乙を住職として迎え入れ、復興を寄進。これにより、民心は徐々に伊達家へ傾きつつある。
田村家との婚姻交渉
田村家から愛姫の輿入れを早めたいとの申し出。主人公は条件として、小夜・伊佐を側室とする旨と、それを愛姫に承知させることを求めた。田村家は了承し、ただし嫡男は正室の子とすることを条件に加えた。
内部事情
黒脛巾組を諜報・工作に駆使し、敵方の離間や情報戦を展開中。蘆名家、上杉家、佐竹家の動向は依然として警戒対象。
主要登場人物プロフィール
伊達政宗(藤次郎)
年齢:十代前半(元服済)
役職:伊達家嫡男・中村城城主
性格:冷静沈着で計略に長けるが、戦場では大胆な決断も下す。未来の史実を知る設定を活かし、先を読む策を打つ。家臣や仲間への情は深く、特に命を懸けてくれた者に対しては恩を忘れない。
特徴:史実とは異なり若年から外交・内政・軍事を並行して指揮。
最近の動き:磐城の地固め、田村家との縁組条件提示。
小夜
役職:政宗近習(護衛役)、弓術に秀でる。
性格:寡黙で実直、感情を大きく表には出さないが忠義心が強い。
特徴:四倉付近で岩城常隆残党の襲撃から政宗を身を挺して守り、顔に傷を負った。その後も警護を続ける。
関係性:政宗から「必ず一生涯そばにいてくれ」と言われており、深い信頼関係を築いている。
伊佐
役職:政宗近習(護衛兼雑務)、体術に優れる。
性格:陽気で軽口を叩くが、戦場では冷静。小夜のフォローや場の和ませ役も担う。
特徴:小夜とは長年の戦友。側室候補として政宗から名を挙げられる。
喜多
役職:政宗の侍女頭
性格:面倒見がよく、時に母親のような厳しさを見せる。政宗周辺の女性陣(小夜や伊佐)をまとめる役。
特徴:戦の場では後方支援、平時は政宗の生活管理や家中の調整役。
鬼庭左月
役職:伊達家家臣・小高城城主
性格:豪放磊落、武勇を誇るがやや独断専行気味。
特徴:命令を待たず出陣する癖があり、以前の磐城攻めでも独断行動を起こした。
鬼庭右衛門
役職:鬼庭左月の息子、磐城平城城代
性格:父よりも冷静で慎重。政宗の信頼も厚い。
特徴:勿来の出城建設を指揮、常陸防衛の要。
遠藤基信
役職:伊達家重臣
性格:実直で状況判断に優れる。戦後の被害を抑えるための動きもできる。
特徴:磐城攻めで負傷後、飯坂温泉で湯治。
大内定綱
役職:伊達家重臣・策謀家
性格:策士であり、時に主人公に辛辣な指摘も行う。
特徴:岩城・佐竹の仲違いを狙う謀略を提案、情報戦に長ける。
片倉小十郎
役職:伊達家重臣・政宗の側近
性格:誠実かつ実務家。政宗の考えを理解し補佐する。
特徴:安宅船で小田原へ赴き、北条氏政と交易交渉を成立させた。
虎哉宗乙
役職:政宗の師、白水阿弥陀堂住職
性格:厳しくも慈悲深い。言葉よりも存在そのもので民心を掴む。
特徴:米沢で幼少の政宗を厳しく鍛えた。磐城の民心掌握に大きな役割を果たしている。
田村愛姫
役職:田村清顕の娘、政宗の正室予定
性格:まだ直接の描写は少ないが、誇り高く育てられた姫とされる。
特徴:政略結婚によって伊達と田村の結びつきを強化する存在。田村家から輿入れを早める提案があった。
[北]
最上領(最上義光) ──────(警戒)
▲
│
伊達本領(米沢)───(伊達輝宗)
│
┌──中村城(政宗)───────────────┐
│ │ │
│ 松川浦(造船拠点) │
│ │ │
│ 小高城(鬼庭左月) │
│ │ │
│ 夜ノ森砦(鬼庭右衛門) │
│ │ │
│ 磐城平城(鬼庭右衛門城代) │
│ │ │
│ 勿来砦(常陸国境防衛) │
│ │ │
└─────→ 常陸国(佐竹義重領) ←────── 北条領(同盟)
[西]
蘆名盛氏領(会津) ──(上杉と同盟関係、要警戒)
[南]
北条領(小田原)──(同盟、交易中)
徳川領(三河)──(同盟)
織田領(岐阜)──(同盟、安宅船・船大工派遣)
地域別戦略状況
伊達領内
米沢(輝宗):伊達家本拠。政宗の父・輝宗が全領を統括。南方面は政宗に任せ、北西は蘆名・上杉を警戒。
中村城(政宗):南奥の前線拠点。磐城・常陸方面の作戦指令所。黒脛巾組の諜報拠点でもある。
松川浦:海運・造船拠点。織田からの船大工により小早船を製作中。将来的に安宅船の運用も計画。
小高城(鬼庭左月):磐城背後を守る要。武勇の左月が守るが独断行動の恐れあり。
夜ノ森砦(鬼庭右衛門):常陸からの北上ルートの監視・封鎖。
磐城平城:新たに得た戦略要地。鬼庭右衛門が城代。
勿来砦:常陸国境の第一防衛線。佐竹領への睨みを利かせると同時に、侵攻時の拠点にもなる。
周辺勢力
佐竹義重(常陸):関東北部の有力大名。岩城常隆を支援していたが、平城奪取時には動けず。北条との関係が緊張すれば動きが鈍る可能性大。
北条氏政(小田原):伊達家と交易同盟。鹿島灘経由の交易で佐竹を牽制中。
蘆名盛氏(会津):上杉謙信と同盟関係にあり、伊達南方進出を快く思っていない。謀略や挑発には警戒。
上杉謙信(春日山):蘆名を支援する構え。謙信死後の家中混乱はまだ先だが、政宗はそれを知っているため時を待っている。
田村清顕(三春):愛姫の父。伊達と婚姻で結びつくことで南奥安定化を狙う。
織田信長(岐阜):伊達の南進と海運整備を後押し。船大工・安宅船を贈与済。
徳川家康(三河):織田との同盟を通じて伊達と友好関係。
政宗の現状戦略
磐城防衛の強化
勿来砦・夜ノ森砦・平城の三点で常陸を封鎖。
佐竹封じ
北条との交易で佐竹をけん制し、常陸国内の動きを抑える。
民心掌握
白水阿弥陀堂の復興、領地安堵策、施しなどで磐城の民を伊達家に帰属させる。
海運整備
松川浦を拠点に南北交易ルート確立、将来の京・西国連絡を視野。
同盟維持と婚姻策
愛姫との婚姻を進め、南奥の結束を固める。