d1.私が生き返った日
まだ何も決めていないところから、とりあえず絶望してる女の子書こうと思って書き始めました。
設定も何もないペラッペラな彼女がどんなキャラクターに育つのか、見当もつきません。
でも取り敢えず、救われると良いですね。
大海原を突き進む大きな海賊船があった。私は船室で特製のソファーに横たわり、船酔いと戦っていた。外は見えないが、揺れから察するに凄い嵐なのだと思う。
私が苦しんでいると、船長が近寄ってきて私のことを抱きかかえてくれた。何か言われてる気がするけど、上手く聞き取れなかったから取り敢えず
「大丈夫です船長。私頑張りますから、捨てないでください!」
と懇願した。
一瞬動きを止めたが、船長は私をお姫様抱っこして、軽々と歩き始めた。
そのまま甲板にでて、海が見えるように船首まで近づいた。何故か海は荒れてなかったし、それどころか凪いだいるくらいだった。空からは柔らかな日差しが暖かかった。
変だなあと思っていると、またソファに下ろされた。船首にもソファーがあるなんて益々おかしいぞ。
そう思っても特に抵抗することはできなかった。
「大丈夫か?」
船長がぶっきらぼうに問いかける。
「まだ戦えます!」
私は精一杯の元気で答えた。大声を出したら、急に吐き気が襲ってきて、世界が真っ赤になった。
ソファから身体を起こして嘔吐する。船長は咄嗟にバケツを構えて全てこぼさず受け止めてくれた。なんとも手慣れた船長だ。
口から出るのは透明な液体ばかりで、なんだかゲロを吐いてる感じがしなかった。でも、強烈な酸味は口の中いっぱいに広がって最悪だった。
「気持ち悪いです…」
「ほら、水飲め水。まだダメだろうからしばらく横になってろ」
船長に渡された水を口に含んで、また吐き出す。口の中がスッキリした所で、ちゃんと水を飲んだ。
船長はそれを見届けてから歩いてどこかへ行ってしまった。
気がつくと、空ではなく天井が、海ではなく壁が私を囲んでいた。
ーーーあれ?私が船室にいる?ーーー
ポカンと天井を見上げる。毎年家族で行った軽井沢のロッジみたいだった。壁も床も調度品も、全てが天然木を加工して作られた暖かいものだった。
状況を整理してーーー
「うぇぇぇッッ」
今は吐くので精一杯だった。
船長、ここは海賊船じゃないんですよね。あなたは船長じゃなかったら誰なんですか。
心の声は、嗚咽の声にかき消された。
海賊船と船長の正体は何なのか、乞うご期待。