d0-2.そして1度目の死を迎えた
まだ何も決めていないところから、とりあえず絶望してる女の子書こうと思って書き始めました。
設定も何もないペラッペラな彼女がどんなキャラクターに育つのか、見当もつきません。
でも取り敢えず、救われると良いですね。
飛び上がったと思ったけれど、ただ木の根から転げ落ちただけだった。
痛い。
手をつくと、火山岩のゴツゴツとした表面が感じられた。肘や頬がじんわりと熱を帯び、小さい時に転んだ記憶が蘇った。同時に、手当してくれたママの顔も。あの時は優しかったな。そんな事も考えた。
ふと、我にかえって振り返る。後ろには何も見えなかった。月はまた厚い雲に覆われ、視界は真っ黒に塗りつぶされていた。
真っ暗な視界に、車の中から見た熊出没注意の看板が脳裏によぎる。
「わー! わー!」
熊だったら人間に驚いて近づいてこないと聞いたことがある。だから声を出してみた。
森に放ったその声は、すぐに葉擦れの音に飲み込まれた。
1分は待ったかな、10分くらい経ってるかな。
ただただ怖くて、身動きひとつできなかった。死にたいって思ってたのに、殺されるかもって思った途端にこんなに怖くなるのかと驚いた。
声も出せずにじっと息を潜めていると、暗闇の奥で、影が動いた気がした。
ーーーパキキッーーー
全身に鳥肌が走って、走り出した。
足場も悪くて何も見えないから、走ったというよりは這いずったという方が正しいが。
気分はクライミング選手だった。
言葉にならない悲鳴と嗚咽を抑えることなく地面を登った。
転んで、また登って、転んで。闇夜の樹海は段々と脈動し、地面が波のように唸り始める。
何回か転んでから、仰向けに倒れた。今度はなんだか気持ちよくなって、ああ、このまま森に飲み込まれるのか。それも悪くないのかも、と思った。
たくさん転んだからか、見えないはずの視界がグラグラと回り始めた。目を閉じても相変わらず回っている。
これはあれだ、ウイスキーだ。
ーーーパキッーーー
喰い殺されるなら、今がいいと思ったから、もう逃げるのはやめた。
なんだかきもちよくなってきたし、もうどうでも良くなった。あきらめもついた。にげたのがばかばかしくなった。
「だーーぶーーこんなーーーどうーー」
パパ。とおもったけど、そうまとーがパパなのはヤだなとおもった。
「わらし、ぜったい…いえにはかえららいから! かえるくらいならここでしぬかりゃ!」
さいしょでさいごのはんこうき。
わたしはたのしくなって、なきながらわらった。
前のエピソードの最後の音はなんなのか、決めてないけど書き進めました。なんの音だったんでしょうね。
これから彼女がどうなるのか、死なないと良いなと思います。
作品後半はアルコールが入った彼女の脳内なので平仮名ばっかりです。読みにくくって申し訳ありません。