表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/11

d0-a.私とT.T

まだ何も決めていないところから、とりあえず絶望してる女の子書こうと思って書き始めました。

設定も何もなかったペラッペラな彼女はひとまず救われました。


龍崎には内緒という約束で、美咲は恵に過去の一部を語り始めました。

大学1年の5月中旬でした。

友達の付き合いで行ったサークルの飲み会で、ノンアルコールって嘘つかれて潰されたんです。その時、居酒屋の店員の中で1人だけ私の事を本気で心配してくれた人がいました。それが彼でした。

名前は田中太郎。名前が普通過ぎて逆に個性的ですよね。本人は嫌がって、T.Tってあだ名を好んで名乗ってました。だから胸元の名札にもT.Tって。

お店から出た後、ふらふらの私はサークルの先輩に捕まってホテルに引っ張られていきました。

勿論私にそんなつもりはなくて、ちゃんと抵抗してたんです。でも、力も入らないし呂律も回らない。

私、このままこんな風に初めてを、なんて思いながら半ば諦めてたと思います。

そしたらさっきの彼、T.Tが止めに入ってくれたんです。

どんなやりとりがあったのかハッキリと覚えてないんですけど、お陰で私は無事にその場を切り抜けることが出来て…。

それが、彼との出会いでした。


当時私は、厳しい両親に嫌気がさして、なんとか家に帰らない方法を探していました。

週に何回も友達の家に泊まると言って帰宅せず、何人かの友達の家を転々として探していました。

そういう状況で私のピンチを救ってくれた彼に、私は心惹かれたんです。

出会ったその日は、私もふらふらだったので連絡先の交換もせずに友達の家に帰りました。

翌日、T.Tさんにお礼をと思って、飲み会があった居酒屋にもう一度行きました。

そしたら彼「女の子が困っていたら助けるのは当然です」って。

その時はなんていうか、私、鼓動が早くなるのを感じて、もう好きになっちゃってるんだって気づいたんです。

今思えば、彼を好きだったピークはこの時でしたね。

顔はまあまあ良くて、背は確か175位って言ってました。骨が細そうな感じの痩せ方で、栄養面が少し心配だなって思った私は半ば強引にお礼の食事に誘いました。

話してみると人懐っこくてすぐに仲良くなれました。当時は私が19になったばかりで、彼は30でした。実家を出て、東京で一人暮らしをしているという話を聞いて、私は彼のことをとても大人な男性だと思ったんです。

今なら定職につかずにフリーターとして1人で暮らしてる事に疑問も出るのですが、当時はそこまで頭が回りませんでした。なんせもう「ほの字」でしたからね。


それから私の猛アプローチで交際がスタートして、彼の家で同棲を始めました。

でも、楽しかったのは最初だけで、彼はどんどん変わっていきました。

私が彼を甘やかしたせいもありますが、次第にただのヒモ男になっていったんです。

私のバイト代だけじゃ生活はできませんからバイトはしてたと思いますが、シフトにあまり入らなくなったんです。

家にいてもゲームや漫画、寝てばかりで…。

外にいったからバイトかと思えば酔っ払って帰ってくるし。

将来の夢や目標とか、言ってしまえば物や人への執着も、何にもないんですよ。その日暮らしで、その時近くにいる人と仲良くなって、それが楽しければそれで良いって考えなんです。

誰かに頼ることに全く抵抗が無いですし。

最初は特別な価値観を持った男性かと思った程度たったんですけど、そういう次元じゃ無いですよね。甲斐性が無さすぎて、私の気持ちは半年ほどで冷め切ってました。

でも、そんな彼と最近まで、1年間も続いていたのはやっぱり親元から離れるための手段だったからですね。


まあ、彼氏って言ってもこんな感じなんで、私的には形だけですけど。

一応いるっていうのはこういう意味です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ