意識するから
目が覚めた。
大学が始まり、朝6時起きを習慣にしようと決心した次の日の早朝にしては暗すぎるようにも感じる。
意識が高すぎて4時にでも起床してしまったかな、なんて思いながら顔の横へうつ伏せになったスマホをゆっくり見てみると、そこには18時30分と大きく表示されていた。
「まぁじでぇ〜〜?」
絶望のあまり顔を枕に埋めてしまった。今日は日曜日であるにしてもこれはまずい。貴重な休みをこんなので消費してしまうなんて。
原因はなんだろう。昨日は喫茶店へ行き解散した後、異常なカフェインの効き目から時間も見ずにネトゲをしたからだろうか....
真夜中は異常にヘッショ率が上がる。
ベッドから飛び起き、適当に昼食を食べながらどうやってこのロスを取り戻そうか考える。
「そうだ、飲みに行こう。」
そんなよくあるラノベタイトルのような候補が思い浮かんだ。20になって半年も経っていないが、だからこそ飲みモチベが高い。
思い立ったが吉日。さて、誰を誘おう。
とりあえずLINEを開きトーク履歴を遡る。
「...こいつ今日バイトとか言ってたな。そろそろ終わる頃か。」
昨日会ったばかりだが、一緒に飲んだことはないので気になった。
電話をかけてみる。俺の方から何か誘う事はあまりしないのでコールしてから少し緊張してしまった。
そんな心配も虚しく、1コールで電話にでた。さすがスマホ中毒者。
「はいー」
まだ某芸人にはまっているらしい。気に入ったら半年はやるからなこいつ。
「飲み行こぜ」
ノータイムでそう伝えた。彼女はくすりと笑った後
「友達いないの?」
と一蹴。その瞬間に電話を切り、数少ない友人を当たろうとすると速攻着信が来た。
「嘘だってごめんじゃん、何時にするー?
ちょうどバイト帰りだから駅前がいいな。」
よかった。これで他の友人を誘った後にインスタの親しい友達ストーリーにおいて「僕、他にも飲みに誘える友達いたからね」アピールをこいつにアピールしなくて済む。
「1時間後くらいに駅前にすっか、今家?」
と妥当な時間を提案してみる。
「いいよー、他に誰誘ってるの?」
今までサシ飲みになんか誘ったことが無かったからか勘違いしているみたいだ。
他に誰もいないなんて伝えたら「やっぱ友達いないじゃんw」なんてまたパンチラインを打ってくるに違いない。なんて思いながらも、
「たまには2人で飲もうや。」
と平然なフリをして返した。すると
「...いいよ」
と思ったより普通の返答がきた。どんな返しが来てもいいように身構えていたが安心安心。と安堵していると、
「やっぱ集合2時間後くらいでもいい?その、バイトの荷物あるから一旦家帰りたいかな、」
飲食のバイトってそんな荷物多いんだっけか、制服でも持ち帰ったのか?なんて思いながらも承諾し、通話は終わった。
さて、準備するかぁ
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集合時間5分前、駅前に到着した。小学校の頃異常に強制された5分前行動がここまで様になるとは。先生感謝です。
すると前から見覚えのある女性が小走りで向かってきた。
「お待たせ、行こ!」
「今来たところだよ」なんて格好つける暇もなく適当な飲み屋に僕達は向かった。
まるでバイト終わりを感じさせない程に髪型は綺麗で、なんだか甘い香りがした。