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退魔の郷〜神と人間の間の者たち〜  作者: 朝顔


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シア、森の座学に参加する

「あ! ジュエン!」

 朝食後、シアたち3人娘は慣れない家事を必死な形相で母に教わっていた。

 今は家のお掃除を教わっている。

 シアは慣れない手付きで床を箒ではいていると、窓の外をジュエンが歩いているのが目に入った。



「あ、シア!」

 シアに気づいたジュエンが窓に駆け寄って来る。

「あんた、何処に行くの?」

 シアが好奇心で尋ねる。

「今からお勉強だよ。午前中はあそこの白いお家でジャン兄兄にお勉強を教えて貰っているの」

 と、ジュエンはディネル邸からほど近い白い壁の家を指差す。

「へえ」

 こんな森の中でも座学をやっているんだと、シアは意外に思いちょっと感心した。



「ねえ。良かったらシアも一緒に来ない?」

 ふと、いい事を思い付いた!という顔でジュエンが誘って来る。

「え……、でも……」

 シアは即答しかねた。森での座学にはちょっと興味はあるし、ジュエンと一緒に講義に行けば苦手な家事から逃れられるが……これはジェスに言いつけられた仕事である。座学に参加するにしても最低限ジェスの許可は不可欠だろう。

 そうシアが悩んでいると



「良いじゃない。行ってらっしゃいな、シア」

 ふと後ろからイェンリーがにこやかに応じた。

「……いいんですか、母様?」

 シアはオズオズと尋ねる。

「構わないわよ。ここでの事は私に任されているし、ジェスには私から話しておくわ」

 ニコニコとイェンリーが答える。

 実はイェンリーは事前にジェスから言われていたのだ。もしもシアたちがジュエンと一緒に座学を受けたいと言い出した時は行かせてやって構わない、と。



「やったーー! ありがとう、イェンリー姉様!!」

 ジュエンが満面の笑みで礼を言うと

「うふふ。2人とも、しっかりお勉強を頑張ってらっしゃい」

 笑顔で送り出してくれた。

「は~い! 行ってきま〜す! シア、早く〜! こっちこっち〜!!」

「ちょっと、ジュエン! 引っ張らないの!!」

 賑やかに2人は講堂となっている邸へと駆けて行った。



「思ったよりも綺麗ね」

 シアはキョロキョロと室内を眺めながら感想を述べる。

「うん。兄様たちがこまめに手入れしているし、私も毎日お掃除しているもん」

「……掃除…………」

 シアはゲッソリとした表情になる。森に来てまだ3日目だが、シアは家事の中でも特に掃除が苦手な事が早々に判明したのだ。 

「? シア? どうかした?」

 何故かどんよりと落ち込んだシアを覗き込むジュエン。

「……別に。何でもない……」

「そう?」

「そ、それより私の席は何処かしら?」

「あ! そうだった! すぐに用意するね!」

 ジュエンはパタパタと何処からか机を運んで来た。

「場所はここでいいよね?」

 と、ジュエンの席らしき机の横に運んで行った。

「椅子は……これでいいかな?」

 と、近くに置かれていた椅子を運んだ。

「教書は……今日は一緒に見たらいいか! よし、これで準備OK!」

 ジュエンの笑顔が眩しく輝いた。 



 そして時間になり、講師のジャンとそれからジェスが一緒に入って来た。

「あれ? 兄様も?」

 珍しい事もあるものだ、とジュエンは目を丸くする。

「ああ。姉さんからシアも座学に参加するって聞いたからな」

 ジェスはニヤリと笑う。

「?」

 兄の様子に首を傾げるジュエン。

「取り敢えず、シアの今の実力を知りたい」

「え?」

「シアの実力次第では、お前たちは別々に講義しなきゃならないからな」

「……何で?」

「今まで特に話した事は無かったが……ジュエン、お前は他所の同年代よりかなり内容を先に進めている。クリスの事だからシアにもかなり駆け足で教えているだろうから、あいつが何処まで教えたかの確認をな」

「ふ〜ん」

「まあ、そういう事だ。いいか、シア?」

「はい!」

 シアは気合いを入れる。



「まあ、そう身構えるな。楽にしてくれ」

 とジェスは苦笑する。

「は、はい!」

 といいつつ、更にカチンコチンになるシア。

 そこで

「シア〜!」

 ジュエンがシアのほっぺをムニムニ(つね)る。

「ちょ! 何すんの!?」

 いきなりほっぺをムニムニされたシアは顔を真っ赤にしてプンスカ怒る。

「力抜けた?」

「……」 

 ニコニコ笑いながらそう言われ、シアはガックリと脱力した。

 これを見ていたジェスは笑いを噛み殺しきれず肩をプルプル震わせ、ジャンには実に珍しい事に非常に麗しい笑みが浮かんでいる。



 そしてジェス&ジャンによるシアの実力考査の結果、シアもかなり内容が進んでいるもののやはりジュエンと一緒にというのは厳しいと判断した。

 しかし、完全に別々というのも折角2人で受講するのに味気なかろうと、より近い内容の講義の際は2人一緒にという事で話は纏まった。



 





 

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