星空の下でバーベキュー
「「「おお〜!」」」
子どもたちは目を輝かせている。
「ふふふ、どうだい?」
ファビアンは子どもたちの反応を見て大変満足である。
「これがバーベキューだよ」
今夜はインディオール家の私邸の庭でバーベキューを企画したファビアン。庭には大きなバーベキューコンロが幾つか設置され、非常に食欲をそそる匂いが漂っている。
「いいにお〜い!」
「はやくたべた〜い!」
ちびっ子たちが早く食べたいとせっせと焼いている兄たちに催促している。
「もう少しだから。もう少し待ってね」
「お前たち。そんなに引っ付いたら危ないぞ」
「ああこら! 熱いから手を出すな!」
リンガたちは纏わりつく小さな弟妹に困りながら、次々に肉を焼いていく。
「「おいし〜い!」」
あれから直ぐ弟妹たちの様子に気づいたネージュリアとパピリーナが慌ててちびっ子たちを回収し、3人組はホッと胸を撫で下ろし、せっせと肉焼きに集中する。
テーブルの方ではちびっ子たちを筆頭に、皆が美味しい美味しいと肉と野菜を口に運んでいる様子がよく見える。
「お前たち、ご苦労。俺が代わるからお前たちも食え」
しばらく焼いた所でジェスが交代を申し出る。
「え?」
「そんな……ジェス様に……」
「いいんですか?」
三人三様の返事が返ってきた。
「いいから、いいから。お前たちもゆっくり食え」
そう言ってヒョイッとリンガのトングを取り上げ、その横でジャンもエドワードのトングをさっと抜き取る。
「あ……」
「そ、そうですか? では、お言葉に甘えて」
「ジェス様、ジャン様。ありがとうございます!」
3人組は頭を下げ、皆が食べているテーブルの方へ向かって行く。
……その道すがら……
「な、なあ……確かジェス様は料理がからっきしだって、この前エドワードが言ってなかったか……?」
ケントがこっそりと小声で2人に言うと
「……あ」
「き……きっと大丈夫だよ! ほ、ほら! バーベキューって、お肉と野菜を焼くだけだし……」
エドワードは心なしか引き攣った顔でそう言う。
「ま、まあ。隣にジャン様がいらっしゃるから。うん、大丈夫、大丈夫!」
3人は強引に納得して、皆がいるテーブルに付いた。
「リン兄たち、こっちに座って〜!」
「にいさま、はやくはやく〜!」
「にいさま、いっしょにたべよ〜!」
ジュエンとちびっ子たちに案内され、3人組は並んで座りホッと息をつく。
「にいさま〜、なにのむ〜? おちゃとじゅーすがあるよ〜」
「はい! おさら、ど〜ぞ!」
ちびっ子たちがせっせと3人組のお世話をしてくれる。その後ろにはネージュリアとパピリーナが常時引っ付いて回り、さり気なくちびっ子たちのサポートをしている。
3人組と大人たちは、そんなちびっ子を優しい眼差しで見守っている。
そして……3人組の懸念通り、見事に肉を焦がしまくるジェスを早々に焼き係から離れさせ、ジャンがそれは見事な手さばきで肉を焼いていく。
「……何か……俺たちが焼いたのと、ジャン様が焼いたのでは味わいが全然違うくないか?」
ケントが肉を口に運びながらポツリとそう言うと
「言うな、ケント」
リンガが悟った表情でケントを制する。
「俺たちは、まだまだ修行が足りないって事だ」
「……それは、ちょっと違うような……でも、確かに私たちはまだまだ修行しなきゃだよね」
エドワードが沿う受ける。
「だな。違いない」
そう言って3人組は夜空を美しく彩る星空を見つめる。




