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退魔の郷〜神と人間の間の者たち〜  作者: 朝顔


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家族でお泊りinセーガダール

「うわぁ~! 見た事無いお花がいっぱ〜い!!」

 クラウスに案内され、オレール家の庭にやって来たジョーとジュエン。ここはマルクが当主になってから庭を整備し、一年を通して四季折々の花が楽しめる自慢の庭である。



「マルクは芸術や美というものに目がなくてな。それまでこの庭には、花なんて自然に生えている草花くらいだったが……あいつが当主になってからはあちこちから珍しい花やら貴重な花やらを見つけてきては植えていって、気が付いたらこんな花だらけの庭になっていたんだ」

 言葉とは裏腹に、クラウスは満更でもない顔で微笑っている。



「気に入ったか?」

 様々な花が咲き乱れながらも洗練された美しさを誇るオレール家の庭にすっかり魅了され、はしゃぎまくっているジュエンを微笑ましく眺めつつ尋ねる。

「はい! こんなにいっぱい花が咲いててとっても綺麗〜!!」

「そうか。それは良かった」

 そうジュエンに返し、一方でちょっとつまらなさそうにベンチに腰掛けているジョーに話しかける。



「お前にはつまらないか」 

 不意に声を掛けられ、ビクッと身を震わせるジョー。

「え? あ、すみません。ボーッとしてました」

 慌てて謝罪するジョーにクラウスはニカッと笑い掛ける。

「まあ、男が花に興味を持つことは余り無いからな」

「そう言っていただけると。ジュエンは楽しそうだから。邪魔はしたくないので、俺はここであの子を待っています」

「お前。いい兄貴だな」

 そう言ってクラウスはジョーの頭をワシワシと撫でてやる。



「あ、兄上たち。戻って来たね」

 庭の散策を終え、戻った3人を居間にいたマルクたちが迎えてくれた。

「あ、当主様」

 ジュエンはマルクの姿を見つけ、パタパタと走り寄る。

「おやおや、ジュエン。どうしたの?」

 マルクはにこやかにジュエンを迎える。

「当主様のお庭、見せて貰いました。見た事の無いお花がいっぱいでとっても綺麗でした!」

 満面の笑みでそう報告するジュエンを

「それはそれは。お褒めに預かりとっても嬉しいよ。……何かお気に召す花はあったかな?」

「はい! どれも綺麗で全〜部! 大好きです!!」

「あはは。それは何よりだね」  

 マルクはお日様のような眩しい笑顔のジュエンを優しい眼差しで見つめている。



「じゃ。こことここ、この部屋を使ってね」

 今日はセーガダールにお泊まりである。来た早々にティータイムや話し合いをぶっ込んだ為、まだ部屋の案内をしていなかったとようやく気付いたマルクが内心大焦りで部屋を案内する。

「うわぁ~、ベッドが大き〜い!」

 ジュエンが初めて見るクイーンサイズのベッドを見て大はしゃぎだ。

「ふふ。ジュエン、あのベッドにそのまま飛び込んでご覧? ふかふかで気持ち良いよ。あ、飛び込んだ後はきちんと靴を脱ぐんだよ?」

「え?」

 ジュエンはマルクに言われた事が理解出来ずに首を傾げる。



「ほら、ジュエン。こうやるんだよ」

 ジョーが徐ろに駆け出しベッドにダイブ。ジョーの身体はダイブと同時にポヨンポヨンと弾んだ。

「うわぁ~、面白そう!」

 ジュエンもジョーを真似てベッドに勢い良くダイブする。ジョーより身体が小さいジュエンはより身体が弾み、2人は楽しそうに笑い声を上げる。



「いいのか、あれ?」

 2人がベッドで飛び跳ねて遊んでいるのを苦笑しながら見守るジェスはマルクにそう尋ねる。

「いいのいいの。あれは子どものうちにしか出来ない遊びだからね。ああいった普通の子どもの時間もあの子たちには必要でしょう?」

 そう言ってマルクはウインクを寄越す。

「……」

「ジョーもジュエンも退魔師としてとっても優秀に育っているけど……それだけじゃ可哀想だよ?」

「……そうだな」

 ジェスは幼い頃、リヴァレスの屋敷で過ごした事を思い出す。あの頃はクリスと色んな遊びや悪さをやり尽くし、イェンリーに思いっ切り甘えて。モーヴィアの存在もあり、レンファーラでの生活は辛い事も多かったが、あれは確かに子どもとしての幸せな時間だった。



 あれから様々な出来事があって心に余裕が無かったのかも知れない。

 ラシャールの森という環境もあって、ジョーやジュエン、エドワードには子供らしい時間を余り与えてやれなかったように思う。

 “これからはもっと意識してあいつらに子供らしい時間を過ごさせてやりたいな”

 無邪気にベッドで跳ねている2人を見つめ、ジェスはそう思った。



「でも……今日はここにお泊りなら、見回りはどうするの?」

 跳ねて遊ぶのに飽きたのか、今度はベッドにゴロゴロ寝そべった姿勢でジュエンが兄に尋ねる。

「ああ。心配いらない。今日と明日は配下衆に頼んでいる。お前は何も心配しなくていい」

 ニッコリ笑ってジェスが答える。

「そっか。今日は誰が行くの?」

「どいつだったっけ?」

『今日はジルだ』

 澄まし顔でルオが答えた。

「そっか〜、後でジルジルにありがとうって言わなきゃ!」

 ニコニコとそう言うジュエンに大人たちは

 “いい子だな”

 と思った。



 因みにジュエンにお礼を言われたジルはその日張り切って討伐に精を出し、翌朝ジュエンに抱きつかれ感謝されていた。そのせいか次の見回りは他の3人で密かに激しい争奪戦が繰り広げられたとか。

  

 







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