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退魔の郷〜神と人間の間の者たち〜  作者: 朝顔


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森での修行 最終日〜ジョーの帰還と夢と3人組〜

「おう! お帰り!!」

 講義を終え、家に仲良く戻って来たジュエンと3人組。屋内に入った途端、非常に珍しい人物に出迎えを受けた。

「ジョー? 帰ってたの?」

 ジュエンが目を丸くして尋ねる。

「へへん! 吃驚したか?」

 ジョーはしてやったりと笑っている。



「そりゃ〜、吃驚したよ〜!」  

 と、ジュエンはジョーにプンスカ言いながら突っ込んで行く。

「ジョーったら、何にも連絡寄越さないんだもん! 兄様だって心配してたんだよ?……おかえりなさい、ジョー」

 何だかんだ言って家族が家に帰って来たのは嬉しいと、ジュエンはジョーに抱きつく。

「おいおい、ジュエン。お前は赤ん坊かよ?」

 ジョーは困ったような顔をしつつも、優しくジュエンの頭を撫でてやる。



「お、ジョー! 帰って来てたのか。お帰り」

 丁度、ジェスが室内に入って来た。

「兄貴! 俺、ちゃんと戻って来たぜ!!」

 と、得意気に告げるジョー。

「おお、偉い偉い。ー……で、成果はバッチリなのか?」

 ジェスはジョーに尋ねる。

「ああ! バッチリだ!! 兄貴たちに披露するのが楽しみだせ!!」

「そりゃ楽しみだ。しかし、今日はこいつらの滞在最終日だからな。お前の成果を見るのは明日だな」

「ええええぇーーー!!」

 ジョーはガ〜ン! とショックを受け仰け反る。



「心配すんな。お前の成果は俺も楽しみだ。それにお前は帰って来たばかりで疲れているだろう? 今日はゆっくり身体を休めて、明日万全の状態で披露してくれ」

 ジェスが宥めるようにそう言うと

「分かったぜ、兄貴! 俺、今日はゆっくり休んで、明日万全の態勢で俺の修行成果を見せてやるからな!」

 何だかんだで兄が大好きなジョーは、素直にジェスの提案を受け入れた。

「ああ。楽しみにしている」

「任せとけ!」

 そう言ってジョーは自分の部屋へ戻って行った。



「ね、ねえ、ジュエン。ちょっと聞いてもいいかな?」 

 一連の出来事を傍らで眺めていた3人組は状況が掴めずポカンとした後、ジュエンにどういう状況か尋ねる。

「いいよ。何?」

「ジョーって今まで何処にいて何をしていたの? 私たちが滞在している間、姿を見掛けなかったけれど? それから成果って?」

 3人を代表してエドワードが尋ねる。

「? ジョーはクロ兄と一緒に市井で化け物討伐に行ってたんだよ? 知らなかった?」

「「「……」」」

 初耳である。



「ジョーはね。冒険者になって世界中を回りたいんだって」

 それを知ったジェスは、まず退魔師としての実力をつけるように指示した。

 退魔師が冒険者として世を渡り歩くのは決して簡単ではない。

 かつて迫害を受けた事で、基本的に退魔師は市井と関わりを持たないという建前がある。つまり、原則として市井に退魔師だとバレてはいけないのだ。

 王宮や騎士団、冒険者ギルドの重役などは退魔師が冒険者として活動している事を把握しているが、一般人は全く知らない。



 万一知られてしまったら、以前のパウルのように都合良く退魔師を利用しようという輩が必ず現れる。そうなると最悪、かつての悪夢の再来と成りかねない。



 次に市井の習慣・常識というものをしっかり学ぶというもの。

 当然ながら森と市井の習慣・常識は異なる。冒険者として市井の者に混じって活動するのならば、彼らの習慣・常識を身に付けるのは絶対に必要だ。



 なのでジェスはジョーの修行を前倒しし、まず森の奥の修行場で退魔師としての実力を確かなものに仕上げた。次いで市井の事を学ぶ為、既に冒険者として活動している己の唯一の弟子クロード・モウにジョーを付かせ、市井での生活を体験させているのだ。



 そして中間報告の為、今回ジョーは森に帰って来たのだ。

「クロ兄が言うにはまだまだ経験不足だけど、そう遠くない時に1人で行動出来るようになりそうなんだって」

「「「……」」」 

 3人はポカンとなる。

「それを聞いた兄様が、一度何処まで身に付けたか見たいってクロ兄に言ったみたい。ジョーも兄様に成果を見せられるって、何だか張り切ってるし」

「……」

 3人はジョーが先を見据えて努力しているのを知って、ふと自分はどうなんだろう? との思いが過った。



 自分たちも立派な退魔師になるべく日々努力しているが……どんな退魔師になりたいのか、退魔師になって具体的に何を成し遂げたいのか、そういった事は特に考えた事は無かった。



 退魔師といえば化け物討伐、それは当然の任務だ。しかし、“死霊の王”たるジェス・ウェイドに高名な学者でもあるジャン・インディオールやその兄ファビアン・インディオール。大商家のディネル家や当代一と言われる名医エモリア・バルム。その手腕で領地を繁栄に導いたマルク・オレール。他、冒険者として活動する者たち。皆、退魔師でありながらそれぞれ独自の道を歩んでいる。



 自分たちにそんな道があるのだろうか? と、ふと不安にも似た思いが3人の胸に過ぎった。






 

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