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退魔の郷〜神と人間の間の者たち〜  作者: 朝顔


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森での修行 6日目〜行商人がやって来た〜

 早朝に苺狩を堪能し、朝食でも苺をガッツリと食した3人組は午前中張り切って畑仕事に精を出した。

 


 そしてこの森に来て6日目の午後、それはやって来た。

「お久しぶりね、ジェス・ウェイド様」

 転移陣から現れた女性はニッコリとジェスに挨拶を交わす。

「おお、シーピアか。久しぶり。マーシャル殿もよくいらっしゃいました。元気にしてたか、コティナ?」

 ジェスはシーピアと呼んだ女性に笑い掛け、それから彼女の夫・娘の順に挨拶し、コティナと呼んだ8歳くらいの女の子の頭を撫でる。



「ウェイド様。以前お問い合わせ頂いた書物を入手致しましたので、お持ち致しました」

 そう言ってティモシー・マーシャルはジェスの前に数冊の書物を差し出す。

「おお! 有り難い! 流石マーシャル殿だ」

 ジェスはとても良い嬉しそうに笑み崩れる。

「お褒めに預かり、大変恐縮です」

 マーシャルは恭しく一礼する。

「いや、本当に助かったよ。ありがとう」



 ティモシー・マーシャルは都市から都市を渡り歩く行商人である。妻のシーピア・ブラウ・マーシャルは冒険者として活動する退魔師だ。彼女は元々ディネル家の弟子だったのだが、とある事件の際にディネル家を離れ、冒険者として活動するようになった。



 この2人が出会ったのは、ティモシーが行商の為に王都に続く森を進んでいた際、運悪く日中に化け物と遭遇。襲われていた所を偶々通りかかったシーピアが討伐したのがきっかけであった。



 それから2人は共に旅をしている。ティモシーは行商人として、シーピアは退魔師として。

 やがて2人は結婚し、程なく娘を授かった。

 そしてシーピアの伝手で、これまで一切関わりの無かった退魔師の家との商売が出来るようになり、その関連でラシャールの森にも定期的に商売に訪れるようになったのだ。 



「本日は、此の様な物を取り揃えております」

 そう言ってティモシーはアイテムボックスから様々な商品を取り出し、テーブルに所狭しと並べる。

「おお〜、今回も沢山あるな」

 ジェスが感心した声でそう言うと

「はい。こちらに伺うのでございますから、全力で仕入れさせて頂きました」

 ニコニコとティモシーが応じる。

「はは。それは有り難い」



「うわぁ~、いっぱいあるね〜!!」

 所狭しと並べられた商品を見て、ジュエンが目を輝かせる。

 ティモシーが来たので、ジャンとジュエン、ホーリーも呼んで皆で品定めだ。当然3人組も何故か配下衆も参加している。

「さあ。どれでもお好きな物をご覧下さい」

 ティモシーはニコニコと営業スマイルで勧める。



 ティモシーは本来織物を扱う商人なのだが、このラシャールの森で行商するにあたっては食料から日用雑貨、書物に衣類、作付けのための苗…何でも取り扱う。

 このラシャールの森は基本的に自給自足だが、やはりそれだけでは賄い切れない物がある為だ。



 食料でも肉類はある程度狩りや飼育で手に入るが、やはりこの森は化け物が跋扈する魔の森なので、獲物が思いの外少ない。

 その他日用雑貨や衣類等もある程度自作出来なくはないが、やはり購入した方が早い。

 ジュエンには女の子だし、お洒落もさせてやりたい。アクセサリーの類は動くのに邪魔だとジュエン本人は好まないが、退魔師なのだから護符の1つや2つは身に着けさせたい、というのが兄や配下衆の本音だ。



 そんなこんなで商品を吟味するウェイド一家と3人組。

「んじゃ、これとこれ。後、これも貰おう」

「はい、ありがとうございます」

 ジェスは先程の書物に肉数種、皆の衣類数枚ずつに各地の地酒。珍しいお菓子に文具、等などを購入。

 そして



「ジュエン。お前、これなんかどうだ?」

 ジェスが妹に選んだのは小さな紅い貴石が嵌まった、小振りで可愛らしいデザインの髪飾りだ。

「え、いいの?」

 ジュエンは遠慮がちに受け取る。アクセサリーは正直余り好きではないが、兄が選んでくれたのならば喜んで身に着ける積もりだ。

「ああ。これに色々加護を付けてやるから、常に身に着けておけよ?」

「本当? 兄様、ありがとう!!」

 思いも掛けない兄の心遣いにジュエンは兄に飛び付く。



 そんな心温まる兄妹愛の傍らで、3人組も何か良いものがないか品定めしている。

 “これなんか母上に良さそうだな。こっちはシアにどうかな?これは……ジェイか?”

 特にリンガは家族への贈り物選びに余念が無い。

 配下衆は各々興味深げに眺めている。



「では、皆様。これで失礼刺せて頂きます」

 時刻は夕刻を回り、マーシャル一家は一礼する。

 父親がウェイド一家を相手に行商している間、コティナは母親と一緒に郷の中を散策したり、あちこち駆け回り忙しなく動き回っていた。 

 それが楽しかったのか、先程まで帰らない! と

駄々をこねていたコティナだが……ここには怖い化け物が沢山出ると話した途端、早く帰ろう! と母の裾を引っ張っていた。



「さあ。日も暮れてきたね」

 森の見回りの時間がやって来た。

 今日こそは自分たちだけで見回りを無事に終わらせるぞ! と意気込む3人組だった。




 

 

 

 


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