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退魔の郷〜神と人間の間の者たち〜  作者: 朝顔


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いざ、森の見回りに行こう!

「それじゃあ、行こっか!」

 ジュエンの元気な声が響き渡る。

「……い、いよいよ、だな……」

「そうだな」

「皆、気を引き締めて行きましょう」

 何処か及び腰のケントとリンガに、エドワードは声を掛ける。

 そんな3人を余所に

「それじゃあ、出発〜!」

 ジュエンは元気に号令を掛ける。



「うわぁ……」

「滅茶苦茶雰囲気があるな……」

「そりゃ、森の中ですから」

 3人は思い思いに言い合う。

 夜の森は当然真っ暗だ。その上今日は霧も立ちこめている為、視界は非常に悪い。頬に感じる風もどこか生温く、如何にも何かが出てきそうな雰囲気満点である。



『3人とも。おしゃべりもいいけれど、周囲の警戒を怠らないようにね』

 呆れたようにフォルトが注意を促す。

 慣れない夜の森に気後れし、おしゃべりで気を紛らわしているのは分かるが……流石に緊張感が無さすぎる。

『夜の森はいつ化け物が出て来るか分からないよ』

「「「す、すみません!!」」」 

 3人は慌てて気を引き締め直すのだった。



「♪〜♪〜〜♪〜〜」 

 ジュエンは嬉しかった。いつもは1人きりの森の見回りに今日から一週間、リンガたちと一緒に見回りが出来るのだ。

 普段でも配下衆の誰かが護衛で付いて来ているようだが、少し離れた場所で隠形しているので体感的には1人きりである。

 “嬉しいな〜! 誰かと一緒に見回りなんて、初めの頃以来だ〜!”

 そんな訳で、ジュエンの心は浮き立っていた。



「ガルルルーーーー!!」

 そこに犬の様な姿の化け物が現れた。

「ひ!」 

「おわ!」

「!」

 いきなりの事にリンガたちは仰天しおののいた。その傍らで

「とりゃ!」

 実に鮮やかにジュエンが一閃し、化け物の姿は霧散した。

「……」

 ほんの一瞬の出来事に、リンガたちは呆気に取られていた。



「リン兄たち大丈夫?」

 ジュエンが心配そうに覗き込んで来る。

「ああ、大丈夫だ」

「全〜然! 問題は無いぜ!!」

「ジュエン、ありがとう」

 3人それぞれ返事を返すと

「大丈夫なら、先に行くよ」

 と、再びスタスタ歩き出す。



 それから何度も何度も化け物の群れと遭遇してはジュエンがあっさり屠っていた。

 今日のところはリンガたちは基本的に戦闘は行わない。初日という事で、今日はジュエンの対処を見学するという事が主な目的だ。リンガたちは自分に襲いかかって来た化け物のみを対処する事になっている。



 あの後犬のような奴を始め、様々な化け物が群れで現れたが、ジュエンは危なげ無く鮮やかに屠っていく。リンガたちは自分たちに襲いかかって来た化け物数匹を討ち取っていた。



「はあ、はあ……」

「結構な数だったな」

「大丈夫ですか? 怪我は?」

 息の上がっているリンガとケントを心配そうにエドワードが声を掛ける。

「無い。大丈夫だ」

「ほんのかすり傷だよ、大丈夫。それよりお前、何か平気そうだな?」

「そうですか? 私も少し疲れましたが」

 ケントの指摘にエドワードは首を傾げる。

「……お前も、何だかんだでタフだよな……」

 ケントはガックリと肩を落とす。



 そんな事を言い合い、何度も各々動物の姿をした化け物を屠りつつ進んで行くと

「ぉわおぅ!」

 ジュエンが声を上げた。そちらに視線を向けると

「どわ!!」

「な、何だ、こいつら……?」 

「……大きい……」

 熊の姿をした化け物が数匹、こちらを取り囲んでいた。



「たあ!」

 ジュエンが剣を一閃する。すると化け物は剣を躱し、包囲網が崩れた。

「はあ!」 

 ジュエンは一切化け物に臆する事無く剣を振るう。

「……す、すげぇ……」

 ケントを始めリンガとエドワードも全く危なげ無く攻撃を仕掛けて行くジュエンに見惚れ、目が離せなくなっていた。



 化け物はジュエンによって一体、また一体と姿を霧散させていく。そして遂に

「はあ!!」

 最後の一体を霧散させた。

「……」  

 ジュエンの勇姿に3人とも言葉が出ない。

「うん。これで今日の見回りは終わりかな?兄たち、お疲れ様!」

 ニッコリ笑ってジュエンはそう告げる。

 これは想像以上に過酷な修行かも知れない……と、3人は同時にそう思い、ゴクリと唾を飲む。





 


 


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