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退魔の郷〜神と人間の間の者たち〜  作者: 朝顔


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森での体験修行

「つ、……遂に、やって来たな……!」

 ケントは、鬱蒼と広がる森を目の当たりにしてゴクリと(つば)を飲む。

「……今日から一週間、俺たちはこの森で過ごすんだ……」

 リンガもいざ目にした森に圧倒されている。

「ここで待つようにと言われていますが……まだお迎えは来てないようですね」

 1人落ち着き払ったエドワードがキョロキョロと周囲を見渡す。……が、まだ約束している迎えは来ていないようだった。



 先日行われたコーサルでの化け物討伐。

 その際に共闘したジュエン・ウェイドの圧倒的な強さにシア・ディネル、リンガ・ディネル、エドワード・バルム、ケント・インディオールは愕然とした。

 その時はジュエンとの余りの実力差にひたすら落ち込んだが、直ぐ様4人は奮起した。



 シアは現在、レンファーラで修行に明け暮れている。それまでも真面目に修行をこなしていたシアだが、コーサルでの一件以来、更に激しく修行に打ち込んでいる。

 その鬼気迫る様子に、流石のクリスも少し心配らしい。この森に来る前に叔父の元に立ち寄ったが、今日の訓練はお休みにして街に遊びに行かせていた。



 そしてリンガたち3人組は……

 あの後、3人はファビアンやリンガ父、ケント父に森で修行したい旨を直談判した。 

 当初は猛反対されたが、決して諦める事無く説得を続けた3人。

 色々話し合った末、森の主とジェスが3人の受け入れを承諾し、滞在先がウェイド家である事。そしてリンガたちに、より濃密な経験を積ませる事は将来的にも利があるという事で許可が下りた。

 そして一週間の休暇を利用し、晴れてこの森に修行に来たという訳である。



 そして森の前で待つこと数分。

「お待たせ〜! 迎えに来たよ〜〜!!」

 ……ジュエンの元気な声が聞こえてきた。



「こんにちは。ジュエンがお迎えに来てくれたんですか?」

 エドワードがニコニコと尋ねる。

「うん! フォル爺と一緒に!」  

 そう言われ辺りを見回してみると、ジュエンのすぐ後ろにニコニコと笑っているフォルトが居た。



「じゃあ、行こっか!」

 ニコニコとジュエンが促し、3人組はいよいよ森に入るんだ!と緊張してくる。

『そんなに気負わなくても、日中に化け物は出て来ないよ』

 フォルトが3人組にそう声を掛けると、3人組はちょっと恥ずかしそうに下を向く。

 


 フォルトの言葉通り、何事もなく森の奥に佇むウェイド一家が住む家に到着した。

「ただいま〜! 兄様、おばあちゃん。リン兄たち連れて来たよ〜!!」

 ジュエンはそう言いながらパタパタと家の奥に駆けて行った。

「よく来たね、歓迎するよ。リンガ・ディネルにケント・インディオール。それからお帰り、エディ」

 程なくしてジュエンに引っ張られて来たホーリーがそう言うと

「いらっしゃい。これから一週間、よろしくな」

「3人とも。気を引き締めて過ごしなさい」

 ジェスとジャンも奥から出て来た。

 


「リン兄とケン兄はこことここを使ってね。エド兄はこっちよ」 

 ジュエンが滞在中使用する部屋に案内していた。

「え?」

 1人、エドワードだけ二人とはすこし離れだ部屋に案内された。そしてその部屋は…

「ジュエン、ここは……」

 エドワードは言葉にならない。

「? この部屋、昔のエド兄の部屋でしょ? 兄様たちから聞いてここにしたけど……駄目だった?」

 ジュエンは心配そうに顔が曇る。

「ううん。ありがとう、ジュエン。……ふふ、とても嬉しいよ」

 エドワードはジュエンの心遣いに、ほんのり胸が暖かくなった。



「さて。お前たち、今から早速取り掛かって貰うぞ」

 部屋に荷物を置き一息ついていると、早速ジェスに呼ばれそう告げられた。

「分かりました」

 正直、学院からこの森の家までずっと移動しっぱなしだったので少し休憩したい所だが……そんな事を言っていては、この森では暮らせないのだろうと納得する。



「そんなに身構えるなよ。最初から無理難題は言わないさ」

 そう苦笑するジェス。

「あ、はい」

「気を楽にしな。そんなんじゃ、すぐに息切れするぞ?」

「分かりました。それで、今から何を?」

 3人を代表してエドワードが尋ねる。

「今夜、お前たちはジュエンと一緒に森の見回りに出て貰う」

「「「……は!?」」」

 それはいきなり高難度ではないだろうか?



「心配すんな。ジュエンの他にルオとフォルトを付ける」

「あ、はい。了解しました」

 何はともあれこれは修行だ。指示された事は全力で完遂するのみである。

「んでだな。その時の立ち回り方を今から練習して貰う」

「立ち回り方……ですか?」

 ケントがオズオズと尋ねる。

「ああ。言ってみればより実践的かつ効率的な動き方、だな」

 ジェスの言葉に3人は首を傾げる。



「お前たちも討伐経験は積んでるだろうから分かるだろうが……実戦に於いてまず教科書通りに事が運ぶ事は無い」

「はい」

「そして、ここは魑魅魍魎が跋扈する森の中だ。たった1人で数十、数百といった数の化け物を相手する場合もままある。……今から教えるのは、そんな状況に陥った際の立ち回りだ」

「……」

 3人はゴクリと唾を飲む。

 並大抵の覚悟で、それを覚える事は叶わないだろう。

 それを理解し、3人は気を引き締め直すのだった。



 

 



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