第2話…新しい家族
パチ…パチ…
(うーん…ここは…?)
目が覚めると、俺は暖炉の前で寝ていた。
ご丁寧に毛布までかけられている。
「あ、起きた?」
声の聞こえた方を向くと、先ほど助けてくれた白髪の少女が立っていた。
「これ食べる?」
そう言って彼女が出したのは美味しそうなお肉だった。
…自分でも気付いて無かったが、雪道の移動で相当お腹が空いていたみたいだ。
気付けば彼は、その肉にかぶり付いていた。
そのお肉を食べ終わると、その少女がそっと微笑んで、「美味しかった?」と聞いてきた。
もちろん美味しかったと答えたかったが、喋ることが出来ず、「にゃー」と答えるしか無かった。
それでも少女に意図が伝わったのかまた微笑んで俺の頭を撫でてくれた。
今更気付いたが、彼女の頭にはケモミミが付いていて、しっぽも生えていた。
獣人…ってやつだろうか。
(かわいい…)
「じゃあ、お皿片付けるね。」
そう言って彼女はお皿を持ってキッチンへ向かった。
(…なんか…一度に色々起こって大変だな…)
どうして俺が猫になっているのか…ここがどこなのか…自分が何者で、何をしていたのかも分からない…けど…
(…まぁ…とりあえずここに居れば死ぬことは無いだろう。難しい事考えのはめんどくさいし…しばらくはここで自由に暮らそうかな…)
そうこうしていると、少女が戻って来た。
「君は今日から、スノの家族だよ。」
(…)
「何があっても、スノが守るからね。」
ナデナデ…
(…落ち着く…)
「そういえば、君の名前は何かな?あ、スノはスノだよ!」
(スノ…いや、俺に話しかけても…俺喋れないんだけど…?)
「あ、そうか君は喋れないんだった…!」
(えぇー)
「なら…スノが名前を決めるのか…?」
「んーそうだなー…」
(変な名前じゃなかったら良いな…)
「雨…雲…アマ!君の名前はアマ!」
そう、俺に名付けてくれた。
(アマ…まぁ…変では無いかな…)
「えへへ…これからよろしくね、アマ!」
無邪気に笑うスノを見て、「にゃー!」と、こちらも元気に返事をするのだった。