表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/74

第6わ 廃校に幽霊が出た_最終章

M町の柿之木分校跡では、谷口ミエさんが亡くなった後、「幽霊話」は全く聞かれなくなった。


地域の観光開発の話もなかなか進展は無く、集落では静かな日常が続いている。


しかし、子供の声が聞こえなくなった集落に子供が帰ってくる予定は、今のところ全くなく、

将来は集落が消滅してしまうことも予想されている。



「柿之木分校・廃校から5年」の記事は取材から1週間経った地方面に掲載された。


記事が載った日の朝、心が支局に来た。

「おはようございます。信子さん、柿之木の取材、お疲れ様でした」

「おはよう心くん」

「記事読みましたよ」

「どうだった?」

「幽霊話は初恋のお二人の話にグッときたし、過疎集落の現状もよくわかって、とても良かったです」

「そう!ありがとう」


浜田も奥から出てきた。

「心くん、おはよう。この間はありがとう」

「浜田さん、お世話になりました」


2泊3日の幽霊取材でお互いに個人的な話もしたことから、3人の絆はさらに強まったようだ。


しばらく話したあと、心が話を切り出した。


「ところで・・・浜田さん、あの話どうなりました?」

「えっ・・・あの話って?」

「浜田さん、会って話するって言ってたでしょう」

「ああ、その件ね・・・」


浜田は元妻と再度、話し合うことが出来た。

長女が双方に働きかけて実現したのだ。


「僕は自分の仕事に力を入れるあまり、家庭を顧みなかった、悪かったと心から詫びた。そしてこう言ったんだ。

『せっかく好きになって結婚した2人だったのに、その大事なものを私が壊してしまった。亡くなった息子も、中学生になった娘も、ましてや、妻だったあなたも、そのような状態を望んでいなかったはずだ。壊した私からお願いするのは何だが、もう1回、私にチャンスをもらえないだろうか』」


元妻の返事はその場ではもらえなかったが、浜田は道は開けるかもしれないと話した。


10歳で父親を亡くした心は、家族をもう1回取り戻そうと努力する浜田を見て、よいお父さんだと思った。


父親の死をきっかけに始まった心の不思議な力。


それなのに、一番聞きたい亡き父親の声は、何故かまだ聞くことができない。



最後に、もう一つ・・・信子と心が帰る途中で見た柿之木分校跡の教室の異様な光。


その夜は誰も教室を使っていなかった。


正体は分かっていない。


  (第6話おわり)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ