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第39話 謎はだいたい解けた?

 隣村の襲撃を完膚なきまでに撃破したお陰で、エリカと俺たちは英雄として出迎えられた。


「婿殿! なんだったんださっきの攻撃は!」「婿じゃないぞ」「まるで魔法みたいな攻撃だった!」


 全然話を聞いちゃいない。

 一同は俺の青魔法を、わあわあ言いながら褒め称えた。

 そして隣村の連中をボッコボコに殴り飛ばしたエリカにも、称賛の声が届く。


「騎士になるなんて言って家を飛び出したから、悪い男に引っかかってひどいことになってるか、きっと野垂れ死んでるだろうと思ったら! 本当に強くなって戻ってきたんだねえ」


「エリカおばさんかっこよかったー!」


 エリカが褒められてニヤニヤしている。

 身内の人達、前半は褒めてないからな!


 そして一同、アベルを見て無言になった。


「……この人は?」


「ちょっと縁があるヤツでな。敵対して戦ったことがほとんどなんだが、大体最後は仲間になる系の男だ」


「ははあ……」


「エリカが二人も男を連れている……ってわけじゃないのね」


「婿殿の方が愛嬌があっていいわよね」


 だから婿じゃないって。

 そのような話になったが、アベルはまあいいかと受け入れられたらしい。


 隣村の連中がけちょんけちょんになったので、エリカの実家の人達は心から安心し、寛大になっているのだ。


「お祝いの用意をしなくちゃね!」


「ご馳走を作ろう!」


「逃げ出した隣村も追撃しないとな!」


 キャッキャと盛り上がるこちら側の村の人々の間で、エリカの祖父……トニーが微笑みながらこちらを見ていた。


「青魔道士殿。記憶が蘇って参りました」


「蘇って来たか」


「昨日のことのように鮮明に。いやあ……どろ魔人の上に落とされた時は、これで死ぬのかと絶望しましたな。だが、わしの目の前で青魔道士殿がやってくれた。巨大なモンスターだって、殺せば死ぬと教えてくれた」


「良くない教育だなあ……。あ、それと若い頃のトニーって、オレって言ってなかった?」


「年を取ってからわしにしました」


「あ、そういうものなんだ」


「そして、わしをレーナに預けていったでしょう。そうそう、あれが妻との縁で……」


「あの後、トニーとレーナがくっつくの? 先の展開がすごいところからもたらされたな」


「わしからすると後の展開ですなあ」


「そりゃあそうか」


 二人でわっはっはっはっは、と笑っていると、エリカが不思議そうな顔をした。


「なあドルマ。なんでお祖父様とそんなに仲良しなんだ?」


「色々分かり合うところがあるんだ」


「そうか! ところでドルマ! 次はどこに行こうかという話で……」


 そこまで離したところで、エリカは二人の姉に両脇をガッチリ抱えられ、母親にひょいと抱え上げられてしまった。


「な、なにをするー!」


「今日の主役はエリカなんだもの! おめかししてあげないとね!」


「うわー、助けてくれドルマー」


 運ばれていってしまった。

 あれは助けなくていいだろう。


 別のところでは、アベルが村人たちに報酬の交渉をしている。

 破格の安い値段を提示した上で、三食昼寝付きを条件にしているな。


 あの竜騎士、「高い報酬に目がくらんで雇われたら、死の束縛をされたり、モンスターみたいな男だったりした。今後は雇い主の人となりを見て選ぶ」と反省の言葉を述べていた。

 早速実行している。

 報酬も村からすれば、そう大したものではなかったらしい。


 めでたくアベルはこの村に雇われることとなった。


「それでですな、青魔道士殿」


「おう。俺は時間を超えて、今と過去を行き来できる。隣村のボスだった土のカイナギオという男は、俺から時を超える技を習ったそうだ」


「なるほど。ではそうなるのでしょうな。そしてこれからも、青魔道士殿は時代を超えた事件に挑むことになるでしょう」


「そうなのか? どうしてだろう」


 トニーの目がきらりと光った。


「過去に戻った時、騎士フォンテインはどうなっておりましたか?」


「死んでた」


「でしょう。ですが、フォンテインの伝説はあちこちに残っています。そして、地の底の魔人を倒した逸話はフォンテイン伝説のはしり。つまり……」


「俺たちフォンテインナイツが、他の逸話も再現していくことになるってことか」


 なるほど、そりゃあ面白い。

 つまり、騎士フォンテインとは俺たちのことだったのだ。


 遠からず、俺とエリカはまた過去に戻り、トニーを連れて新たな冒険に挑むことになるのだろう。

 風車の騎士とやらも気になるし。


 今の時代では、風車の魔王と伝えられる男だ。

 だが過去では、まだ人間の姿だった。


 過去のカイナギオがどろ魔人の欠片を食べていたりしたし、そういうイベントがあって人間じゃなくなったりするんだろうか。

 そう言う話をトニーにしたら。彼は首を傾げた。


「まだその辺りは、記憶がおぼろげでしてな……。青魔道士殿がエリカとともに、フォンテインの冒険をしていくことで、わしの記憶も戻ってくるようです」


「そうかそうか。そういう仕組みか」


 俺は、あることをあるがまま受け入れる主義である。

 なので、この話もそのまま受け入れた。


「うわー、ドレスは嫌だー!」


 エリカの叫び声が聞こえてくる。


「青魔道士殿、孫がワガママを言っております。顔を見せて大人しくさせてやってくれませんかな?」


「よし分かった。ドレス姿のエリカっていうのも見てみたいしな」


 俺はトニーに手を振りつつ、着替えさせられているであろうエリカの元に向かうのだった。



 第二章 終わり


タイムリープを得たところで、この章は終わりでありますぞー


気に入っていただけましたら、下にある星をツツツーッと増やしますと作者が喜びます。

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― 新着の感想 ―
[一言] つまり、最後の冒険を終えて帰ってきたときトニーお爺さんは騎士ふぉんていん二世にかくせいするわけですな!一人目のタイムリープ持ちは気になるけど時を渡るモンスターでも何処かにいるんでしょう。
[一言] なんか、どっかのゲームみたいな展開だ!
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