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エターナルシリーズ

永遠の勇気

作者: 仲仁へび



 夏の地の少年は友を亡くして旅立った。

 世界を見て、まわるために。


「お前の分まで世界を見てくる」


 冬の地の少年も、孤独になって旅に出た。

 世界を見て、真実をその目に焼き付けるために。


「君が確かめたかった世界の姿を、この目にうつしてくる」


 二人は出会い、共に旅をする。


「同じ目的なら、一緒に旅してた方が色々お得だろ」

「その物言いには同意しかねるが、一理ある」


 心に二つ分の勇気を秘めながら、情熱と冷静の感情と共に……。






 その世界は、作られた箱庭。


 その世界の王にとって、都合のいい箱庭。


 実験にされたその世界は、とある女性のためにあった。


「君を生き返らせて、君に幸せになってほしいんだ」


 王は、なくした女性を蘇らせるために、箱庭で様々な実験を行い続ける。


「たくさんの子供達を集めて、実験を行おう。全ては彼女のために、この願いを叶えるために」


 二人の少年は、その行為を、止めようと考えた。


「王様、お前のやっている事は間違っている」

「これ以上犠牲を出させるわけにはいかないな」


 そして、出会う。


 森の中の緑の少女と。


「私も二人に力をかすよ。だから三人で戦おう」


 優しい心を宿した、おだやかなまなざしの少女と。






 その三人の少年少女は、三人分の勇気を携えて、旅をした。


 箱庭に住む子供達と交流し、愛に縛られた恋人達の鎖を断ち。


 枯れ野を駆け、荒れ狂う海を渡り、天貫く山脈を超え、閉ざされた森の先へ進んでいく。


 そしてたどり着いたのは、王の居場所。箱庭の中心部、王座。


「―-やはり、ここまでたどり着くか。最初に見た時、こんな日が来るのではないかと予感していた」


 三人は情熱の剣と、冷静の盾、そして慈愛の歌と共に戦いに挑んだ。


 報われぬばかりの王の願いに、終止符を打ち。


 天から闇夜を引き裂く雷を呼んで、決着をつけた。


 箱庭は崩壊し、王の命は費える。


 三つの勇気が作り出した、その世界では、誰かがいたずらに実験で苦しめられる事はないだろう。


 三人はそれぞれの住む場所へ帰っていく。


「またな」

「また会う日まで」

「きっと会えるよ。同じ世界にいるんだから」


 変わる世界を、その目に焼き付けながら。



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