白雪姫の夏服
3章開始です。
3章では麻里佳と後輩の美希の登場が増えていきます。
「おはようございます」
姫乃の家に泊まった次の日の朝、隆史が目を覚ますと、ネグリジェ姿の彼女が笑みを浮かべてこちらを見つめていた。
箱根旅行で本当の恋人同士になり、それ以降はほとんど離れず一緒にいる。
付き合う前から一緒にいることは多かったが。
「おはよう」
「んん……」
付き合いだしてからおはようのキスは欠かさない。
「タカくんと出会ってから私の人生に色が付いたかのように幸せです」
ベッドの上で抱きしめられながら姫乃はそう口にした。
学校では女子に虐められ、腹違いの妹にすら酷いことを言われたり、母親と一緒に住むことも許されていない姫乃にとって、隆史と出会う前の人生は辛かっただろう。
だけど隆史と一緒にいるようになってから、本当の幸せを感じることが出来たようだ。
「じゃあこれからも色が付いた人生になるよ」
ずっと姫乃と一緒にいると決めているため、彼女に以前のような辛い人生になることはないだろう。
むしろずっと一緒にいてくれないとこちらが困るくらいだ。
「はい。離さないでください」
嬉しさを表すように、姫乃は胸板にグリグリ、と額を押し付けてくる。
甘えてくる姫乃が本当に可愛い、と思いつつ、隆史は彼女の頭を優しく撫でた。
頭を撫でただけで香る甘い香りは理性を失くそうとしてくるが、流石に学校がある日は朝からするわけにはいかない。
求めたら断られることはないものの、一度しだすと満足するまで止まらなくなってしまう。
何度もしてしまうくらいに姫乃は魅力的なのだし、昨夜だって沢山してしまった。
「こんなに可愛い彼女を持てて幸せだよ」
「嬉しい、です。タカくんの幸せは私の幸せですから」
さらりとそんなことを言う姫乃の性格は大分変わっただろう。
出会った頃だったら間違いなく恥ずかしがっていたが、今は毎日のように言ってくる。
「俺も嬉しいよ」
恐らくは姫乃が求められることで幸せを感じてしまうからこそ、沢山してしまうのだろう。
もちろん気持ち良いのと、肌を重ねることで幸せになるからというのもあるが。
「そろそろ学校に行く準備しようか」
「はい」
再びキスをし、ベッドから出て学校に向かう準備を始めた。
☆ ☆ ☆
「お待たせ、しました」
制服に着替えた姫乃がリビングに来た。
一足先に制服に着替えた隆史はソファーでのんびりとしていたが、夏服姿の姫乃につい見惚れてしまう。
(可愛い……)
白いブラウスにスカートから出る細くて白い太ももに見惚れない男はほぼいない。
「タカくんから熱い視線を感じます」
「だって見ちゃうよ」
彼女に見惚れない彼氏など皆無だし、美少女だったら尚更見てしまうものだ。
でも、今日から六月だから夏服になるのだが、最愛の彼女の太ももが大衆の目に晒されるのはよろしくない。
これまではタイツや丈の長いワンピースなどで隠れていたから尚更そう思うのだろう。
麻里佳を好きだった時は見つつもそう思わなかった。
「タカくんが見たいのであれば思う存分見て触ってください」
若干頬を赤らめて隣に座った姫乃は、見てほしいと思っていても恥ずかしいのかもしれない。
抱かれる時は気持ちが高揚しているのに対し、今は朝でこれからするわけでもないのだ。
見られて恥ずかしくなっても仕方ないことだろう。
「可愛すぎる」
「あ……」
これから朝食を作る姫乃を思わず抱きしめてしまった。
彼女を可愛いと思うのは当たり前のことだが、姫乃は別格かもしれない。
他の人と付き合ったことがないから分からないが。
「でも、姫乃の太ももを見ていいのは俺だけだから」
どうしても独占欲が出てしまう。
「いいですよ。後でタイツはきますから」
ふふ、と笑った姫乃は、隆史がそう言うのを分かっていたようだ。
姫乃自身にも独占欲はあるようだし、独占したくなる気持ちが分かるのだろう。
「タイツはく前に少しだけでも」
「あ……」
姫乃の生足膝枕を堪能した。




