表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/146

白雪姫の初恋

「タカくん、起きてますか?」


 ベッドで横になっている隆史に尋ねても返事がない。


 寝息をしているのだからもう寝てしまっているのだろう。


 部屋に時計がなくてスマホも画面をつけたら悪いので現在の時刻は確認出来ないが、恐らくは二十四時を過ぎている。


 本来であれば自分も寝ている時間なのだが、今日は隣に最愛の人である隆史がいるから寝ることが出来ない。


 好きな人と同じベッドにいる恥ずかしさで目が冴えてしまっているのだ。


「私をいつも慰めてくれるタカくん……」


 耳元で囁くも寝ているから返事はない。


 出合いは偶然にすぎないが、幼馴染みにフラれて辛いはずの隆史は泣いている姫乃の側に来て慰めてくれた。


 本当に嬉しくてこの時から気になり始め、虐めから身を守って一緒にいる内に隆史のことを好きになってしまったのだ。


 年頃の男女がイチャイチャしていれば恋も芽生えるだろう。


「タカくんはまだ式部さんが好きなんですか?」


 まだフラれて一ヶ月も立っていないのだし、未だに好きな可能性は充分にある。


 一緒にいる時に時々スマホを弄っているのは麻里佳にメッセージを送るためだろう。


「タカくんをフったらならもう側にいないでくださいよ」


 今までに感じたことのない苦しみが襲う。


 胸が締め付けられるように痛いし、目尻には自然と涙がたまっていく。


 これが俗にいう嫉妬なのだろう。


 まだまともに話すようになって一ヶ月もたっていない人を好きになるなんてチョロいのかもしれない。


 それに告白したところで「好きになるの早くない?」と言われて終わるだろう。


 ただ、それは時間が解決してくれるため、今はこうやって仲良くしていればいい。


 一番の問題は麻里佳であり、告白を断ったのにも関わらず一緒にいようとする。


 幼馴染みだから姉弟のように思うのは仕方ないかもしれないものの、普通は告白されたら一緒にいるべきではない。


 少なくとも隆史の恋心がなくなるまでは。


 麻里佳が隆史の家でご飯を作ったりか、まったりしたりするからこそ諦められないのかもしれないのだし、しばらくは距離をおくべきだ。


「タカくんの、彼女になりたい」


 恥ずかしがってくれているため、異性としては意識してるのだろう。


 でも、麻里佳のことが好きな状態で告白されても付き合ってくれるはずがない。


 隆史は誠実な面があるため、麻里佳以外の人に告白されても断るだろう。


 むしろそうあって欲しいかもしれない。


 単に女の子に告白されたくらいで気持ちを傾けてほしくないからだ。


 本気で好きな人からの告白のみOKしてほしい。


「だから、これからタカくんにアタックしますね」


 他に好きな人がいる場合、こちらからアタックしないと振り向かすことなんて無理だろう。


 頬にキスだったり、一緒にお風呂だったりと物凄く恥ずかしいことは既にしているが、これからも継続していかないとダメだ。


 そうでもしないと恐らく鈍感な隆史は気づいてくれない。


 恥ずかしいけども、沢山アタックして麻里佳のことを忘れさせて逆に自分に惚れさせる。


 いくら時間がかかろうと諦めたくないし、初恋は何としても叶えたい。


「ずっと一緒、ですよ」


 再び耳元で囁いた後、姫乃は寝るために瞼を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
[一言] 頬にキスしてお風呂入って同衾した状態でここからアタックしていく…だと!? 結婚式には呼んでね。式部さんも呼んであげてね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ