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白雪姫と誕生日デート ファミレス編

「その服で外に出て大丈夫?」


 たっぷりと甘噛みされた後、隆史は姫乃と手を繋ぎながら駅前に来ていた。


 ただ、姫乃は以前に隆史が選んだ少し露出の高いワンピースを着ており、恥ずかしそうに頬を赤めている。


「大丈夫、です。タカくんが選んでくれた服なので、誕生日くらいは着ようかと思いまして」


 以前さらに露出度が高いメイド服を着たから多少は慣れたのかもしれない。


 それに黒いタイツで下半身の露出は抑えられているし、一緒に出かける時であれば大丈夫なようだ。


 でも、一人だったら確実に着ていなかっただろう。


 姫乃ほど整った容姿の女の子が鎖骨部分が露出、肩はシースルー、丈の短いワンピースを着て駅前に来たとしたら、間違いなくナンパの嵐なのだから。


 その証拠にすれ違う人のほとんどが姫乃を見てしまっている。


 いつものように丈の長いワンピースであったとしても、ナンパされるだろう。


「それに、今日はタカくんが離れないでいてくれるので、安心出来ます」


 やはり普段から駅前に来るとナンパされるようだ。


 ギュっと力強く手を握ってくるので、本当に離してほしくないのだろう。


 好きな人がナンパされるのは良い気がしないし、自分で良ければ喜んでナンパ避けになる。


「もちろん離さないよ」


 ナンパ避けになる以前に一緒にいれるのは嬉しいことなので、離れる気はさらさらない。


 だからギュっと握り返して離れる気がないのをアピールする。


「まずはどこかでご飯食べようか」

「はい」


 もう昼に近い時間のため、隆史は姫乃と共にファミレスに入った。


「いらっしゃいませ。お二人様でよろしいですか?」

「はい」


 ファミレスに入ると店員が笑顔で出迎えてくれ、席まで案内された。


 まだ満席にはなっていないようだが、これからどんどんと客が入ってくるだろう。


 二人席だから向かい合って座ると、手を離さないといけないからか姫乃が少し残念そうな顔をした。


「離れたく、ないです」

「分かった」


 右手を差し出してきたため、隆史は姫乃の手を指を絡めて握る。


 周りからしたら食事の時くらい離れろ、バカップルめ、と思ってしまうかもしれないが、姫乃が離れたくないと言っているから仕方ない。


 それに人前だから恥ずかしさはあるものの、こうして手を繋げることが嬉しいのだ。


「タカくんと一緒にいると、本当に落ち着きます」

「良かった」


 一緒にいる上で落ち着くのは非常に重要なことで、むしろ落ち着くから一緒にいるというのもあるだろう。


 もちろん慰め合ったり虐められなくなることが一番の目的だろうが。


「頼もうか」

「はい」


 テーブルの横に立てかけてあるメニューを手に取り、一緒に見ていく。


 今まで麻里佳がご飯を作ってくれてたからファミレスでご飯を食べることはあまりなかったため、こういったとこで食べるのは何気に楽しみだ。


 それに好きな人と一緒なら楽しさは何倍にもなる。


「今日のタカくんは楽しそうですね」

「そうかな? まあ姫乃の誕生日だから楽しくしたいし」

「ありがとうございます。でも寂しくなったら、いつでも慰めて差し上げますよ」

「ありがとう。その時はお願いするよ」


 だいぶ失恋の傷は癒えているが、もし寂しくなったらお願いすることにした。


 好きな人と触れ合いたい気持ちで溢れているのだから。


 ずっとこうしていられたら幸せだ。


 手を繋ぎながらもメニューから頼む料理を選び、ベルを押して店員に注文をした。


 注文の時に店員からリア充爆発しろ、的な視線を向けられたが。


「飲み物取りに行こうか」

「はい」


 手を繋ぎながらドリンクバーまで飲み物を取りに行く。


 隆史は烏龍茶、姫乃は紅茶をコップに入れて席まで手を繋ぎながら戻る。


 好きな人と手を繋いでいる時間がこんなに幸せなんて、麻里佳を好きな時は思ったことがなかった。


 手を繋ぐのが昔から生活の一部と化していたからだ。


 でも、姫乃とは最近手を繋ぐことを始めたため、幸せが溢れてきてしょうがない。


「お待たせいたしました」


 注文から十分ほどで店員さんが料理を持っていた。


 このファミレスはイタリアンがメインなので、隆史は照り焼きチキンピザ、姫乃はカルボナーラを注文した。


「いただきます」


 二人して両手を合わせてからいただきますし、お互いに注文した料理を食べていく。


 久しぶりのピザはとても美味しく、一人で一枚は余裕で食べれそうだ。


「美味しいです」


 姫乃も満足そうにカルボナーラを食べている。


 隆史と同じくあまり外食をしないタイプのようなので、ファミレスで食べて満足のようだ。


「あ、あーん」

「ふえ?」


 食べている彼女を見ていると、フォークに巻いたパスタをこちらに持ってきた。


 人前でしてくるとは思っておらず、隆史は変な声が出てしまうほどに驚きをかくせない。


「その……食べたそう、だったので」

「食べてみたい、けど……」

「なら、あーん……」


 どうやらどうしてもあーんってして食べさせたいようだ。


「あ、あーん」


 周囲からの視線を浴びながらも、恥ずかしい想いで目の前にあるパスタを食べる。


 とても美味しいが、恥ずかしすぎてどう表現したらいいか分からない。


「その、いっぱい食べて、いいですからね。あーん」


 ファミレスでも沢山あーんされるのだった。

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