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皆でビニールプール 2

「プールでも甘えられて幸せです」

「俺も幸せだよ」


 高校生になってビニールプールなんて話を聞いた時はどうかな? と思ったが、愛する姫乃と一緒にいるから楽しい。


 それは姫乃も同じようで、笑みを浮かべながら沢山甘えてくる。


 夏だからプールや海には人がいっぱいいてこんな風にくっつくのは無理だし、ビニールプールで良かったかもしれない。


 姫乃を見る男性もいないのだから。


「せっかくのプールなのに、私たちは入れそうにないわね」


 大きいビニールプールだからまだ入ろうと思えば入れるが、バカップルが独占している状態だ。


 そんな二人を見て香苗はため息を吐く。


「大丈夫です。私の家にはビニールプールが二つあるので」


 自信満々で胸に手を当てて美希は答える。


 ビニールプールが二つもある家なんてそうはないだろう。


 子供が入るには一つあれば充分過ぎる大きさなのだから。


「二つあるなんて凄いね。家も大きいしお金持ちなのかな?」


 単に疑問に思ったのか、つかさが美希に問いかける。


 確かにこの辺りは凄い都会じゃないにしろ、駅から近いし人口は比較的多く、立派な家だから美希の家はお金持ちだと思ったのだろう。


「貧乏じゃないと言えるくらいには生活出来てますよ」


 特待生で学費が免除されているとはいえ、私立の進学校に通うくらいだからある程度はお金があるはずだ。


 バイトしてるのも将来きちんと自立したいと思っているためだろうし、美希は隆史に毒舌で麻里佳への憧れが強すぎるだけで意外としっかりとしている。


「にしても先輩はあれですね。せっかく妹がプールに誘ったというのに彼女に夢中すぎません?」

「誰が妹だって私がツッコミしとくね」

「ボケてないですよ」


 妹じゃなくて彼女ばかり見て不満そうに頬を膨らましてる美希に、つかさがツッコミをいれる。


 ただ、ツッコミを入れられたことに美希は良く思っていないようだ。


 本人は麻里佳と仲良くなりたいから隆史の妹になりたいと思っているだけであり、ボケているつもりはないのだろう。


「それにしても合法的に女の子の綺麗な肌や胸を見れるのはいいわね」

「そんなこと思ってるのはあなただけですよ」


 はあはあ、と息を荒げて女の子たちを見ている真奈に、香苗からのツッコミが入る。


 男に見られるよりかは不快感は少ないだろうが、こうもガッツリと見られたら嫌な気持ちもあるだろう。


「にしても隆史くんの周りには可愛い女の子集まってくるわね。彼女いるのに」

「全く話を聞いていない……」

「都合の悪い声はシャットアウト」

「聞こえてるじゃないですか」


 本当何なの? と思っていそうな顔になった香苗は、断れば良かったと後悔しているだろう。


 以前に隆史と姫乃が気になる的な発言をしていたため、今回来たのだって二人を観察するためだったはずだ。


 でも、変態な女性にガン見されるし、触られそうになるしで、香苗にとってはいいことがない。


「お待たせしました。もう一個持ってきましたよ」


 先ほどビニールプールを持ってくるために消えてった美希と麻里佳がやってきた。


 膨らます前だからこれから空気入れを使って膨らまさないといけない。


「こんな大きいの? 良く二人で持ってこれたね」

「たっくんのお姉ちゃんやってるから余裕だよ」

「そ、そう、なんだ……」


 明らかに関係ない返答がきたためか、質問したつかさが唖然としたように口を開けた。


 いくら弟がいようとも、大きくて重たい物を持てるという理由にはならない。


「隆史くんの周りには変わった女の子が集まるのねぇ」

「あなたが言えますか? それを」

「自覚あって言ってるから大丈夫よ。香苗ちゃん」

「なおタチが悪い」


 自分が変わっているという自覚がある真奈の言葉に、香苗はツッコミせずにいられなかった。


「お姉ちゃんと香菜さんが漫才してる。あれ? コントかな?」

「どっちでもないわ」


 この変人姉妹は……と香苗は何で自分がツッコミしないといけないのか分からないって思っていそうな顔をした。


「ビニールプール膨らますの手伝ってください」


 美希の言葉で何とか漫才? が終わるのたった。

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