白雪姫との夏休みの始まり
「暑い……」
終業式が終わっての放課後、明日から夏休みを控えている隆史は、愛しの姫乃と一緒に手を繋ぎながら帰路についた。
少し歩いただけで汗がかいてしまうくらいに気温が高く、昼前に学校は終わったから、まだ気温は上がるだろう。
「そうですね」
暑そうにしながらも手をしっかりと握ってピッタリとくっくいて離れようとしない姫乃が可愛すぎる。
どんなに暑くても離れたくないのだろう。
暑くても離れたくないのは一緒なので嬉しい限りだ。
早く家に帰ってもっと濃厚に触れ合いたい。
「夏休みも毎日一緒にいれるよね?」
「はい。連休取れたらお母さんがこっちに来ますが」
「そかそか」
少しばかり姫乃の口角が上がった。
五月に会って以来会えていないのだし、母親と一緒にいれる時間が出来るのは嬉しいのだろ。
「俺の母親はこっちに来るのかなぁ……」
三月を最後に会ってないどころか、ほとんど連絡も取っていない。
以前ロシア語の意味だけ聞いたが。
長期の海外出張だからしょうがないが、流石にお盆になったら休みを取って一時帰国くらいはするだろう。
「タカくんのご両親にあってご挨拶したいです。将来のお嫁さんです、て」
イチャつくことに積極的になった姫乃とはいえど、隆史の両親に挨拶するのを想像したのか、恥ずかしそうに頬を赤くした。
美少女な上に家事もきちんと出来てるため、隆史の両親は姫乃が嫁いできても反対しないだろう。
「リア充爆発しろおぉぉぉ」
まだ校門を出てから少ししかたっていないために同じ学校の生徒が近くにおり、隆史たちの会話を聞いて叫んでいる。
美少女とイチャイチャしてる男を見れば、彼女がいなかったら嫉妬くらいするだろう。
こんなのにいちいち反応していたらキリがないため、隆史は無視することにした。
「可愛い」
お嫁さん宣言した姫乃が可愛すぎて叫びたい衝動に襲われたが、外だから流石に我慢して可愛いだけにした。
家にいたら叫んだ後にキスくらいはしていただろう。
それ以上のことだってしていたかもしれない。
「ありがとうございます」
えへへ、と笑みを浮かべた姫乃は、心の底から嬉しそうだ。
彼氏から可愛いと言われれば、彼女は嬉しくなるのだろう。
隆史だって姫乃からカッコいいとか褒められたら嬉しいのだから。
「まあ流石にお盆は俺の親もこっちに来るとは思うよ」
お盆くらいは娘のお墓参りを親であったらするだろう。
「ならタカくんのご両親と私のお母さんも一緒にお食事会とかしたいですね」
父親の話が出ないあたり、姫乃自体も良く思っていないようだ。
ほぼほぼ関わっていないような感じだし、誘ったとしても来る可能性は低い。
「一緒にご飯食べるのはいいかもね」
毎日一緒にいるため、帰ってきた両親が姫乃と会うのは必須になる。
どの道いつか会うことになるのだし、両親が帰国したら良い機会かもしれない。
姫乃と会ったら麻里佳ちゃんは? と聞かれる可能性が高いが。
「楽しみですね」
ふふ、と笑みを浮かべながらも少し緊張しているかのような表情だ。
付き合っているという挨拶もしなければならないのだし、想像して緊張してしまったのだろう。
「でも、姫乃のお母さんは旅館で働いてるからお盆に休むの難しそうだね」
接客や販売は土日だったり連休は稼ぎ時のはずなので、連休取るのは難しいかもしれない。
お盆が過ぎたらお客さん減るだろうし、稼げる時に稼ぐのが接客業の基本だ。
「そうですね。もしかしたらお盆の後に会うことになるかもしれません」
だとしたら隆史の両親もお盆後に来てもらうのが理想だが、仕事の都合があるからどうなるか分からない。
でも、帰国はほぼするだろうし、両親同士が会えなくても、姫乃と顔合わせ出来れば問題ないはずだ。
「まあ今回食事会難しくても、いつかは出来るよ」
「そうですね。その時を楽しみにしてます」
二人きりでイチャイチャするため、隆史たちは手を繋ぎながら家に帰った。
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