執事の格好で白雪姫とイチャイチャ
「何か恥ずかしい……」
お墓参りが終わった後、隆史は姫乃の家に訪れて、以前した約束を果たすことにした。
執事服を着て彼女に尽くすというものだ。
普段しないコスプレをしたせいで、恥ずかしくて身体が暑くなっている。
「普段は可愛い感じなんですけど、今はカッコいいですね」
付き合う前の初々しい感じに顔を赤くしている姫乃は、恥ずかしさからかこちらを見れていない。
執事の格好だけではなくてワックスを使って髪をセットしているからいつもと違う感想を抱いたのだろう。
「お嬢様、してほしいことがあれば何でもして差し上げます」
片膝をついて姫乃の前で頭を下げる。
今日は尽くすと決めているから敬語でお嬢様呼びにすることにした。
「タカくんがこんな格好するとか反則ですよ。執事喫茶とかで働いたら絶対人気出ますね。私だったら常連になる自信があります」
それは姫乃だけなんじゃ? と思ったが、カッコいいと思ってくれているのであれば何よりだ。
カッコいいと思ってくれているのは惚れているからであり、普通なら隆史目当てに常連になる人などいない。
以前メイド喫茶に行った後にコンセプトカフェについて調べたから知っているのだろう。
そうじゃなければメイド喫茶もまともについて知らなかった姫乃が執事喫茶を知っているわけない。
「お嬢様だけのワタシなので他の人から人気は出ませんよ」
紳士的にしつつも少しSっ気を出すために姫乃の頬に手を当てる。
ワタシなんて普段言わないから余計に恥ずかしいが、執事が俺と言うわけにはいかない。
「タカくんは私をキュン死させる気ですか?」
「とんでもございません。お嬢様に喜んでほしいだけです」
喜んでもらいたいのは本当だし、実際に嬉しそうな顔だから問題ないだろう。
普段とは違う格好や言動にギャップ萌えでもしているようだ。
「タカくんのカッコよさで意識飛びそうです」
執事服を着て話し方を変えるだけで悶えてしまうのは、ベタ惚れ補正がかかっているからに違いない。
他の人……特に美希にしたら『キモっ』と言われるだろう。
いつも何かしら言われているし。
(可愛い)
もちろんいつも可愛いが、久しぶりに照れまくっている姫乃が可愛くて隆史も悶えてしまいそうだ。
付き合ってからは恋人同士でするようなことは済ましているから恥ずかしがらないが、いつもと違うことをするとどうしても照れてしまうのだろう。
「お嬢様のしてほしいことは何ですか?」
「タカくんの欲求を全て満たしてあげたいです」
即答だった。
それについては普段からしてもらっている。
「お嬢様のしてほしいことは?」
「だって……私の一番の幸せはタカくんの欲求を満たしてあげれることです、もん。それ以上にしてほしいことなんてありません」
以前言われたから本当にそうなのだろうが、これでは執事服を着て尽くす意味がない。
逆にこちらが尽くされる気分になるし、繰り返して聞く必要すらなかった。
「お嬢様の仰せのままに」
普段と変わらなくなったとしても、姫乃が望んだのだから叶えることにした。
手の甲にキスをしてから太ももの上に向かい合って座らせる。
今にもキス出来そうなくらい顔が近いのと、普段とは違う格好からか、姫乃は視線を晒してしまった。
ここまで恥ずかしがってる姫乃は可愛いなぁ、と思いながら、隆史は彼女の頬を触ってから視線をこちらに向けさせる。
「んん、んちゅ……」
唇が近くにあるのだからキスするに決まっているわけで、これから姫乃にたっぷりと幸せを与えていく。
彼氏が彼女を幸せにさせたいと思うのは当たり前のことだ。
だからいっぱいキスをして蕩けさせる。
「今度は私を蕩け死させようとしてきます」
「蕩け死とか初めて聞いたのですが……」
キュン死だったらまだネットで聞いたことはあるが、蕩け死なんて言葉は初耳だ。
キスなんて毎日しているし、何ならこれ以上に気持ち良くて蕩けるような行為だってしている。
やはり普段と違った格好などで、キスだけでいつもより蕩けてしまっているらしい。
「蕩けすぎてテストでゼロ点になってしまうくらいの状況ですね」
学年首位の人が言う言葉とは思えないが、それほどまでに蕩けているのだろう。
「キスだけでこんなになってしまうのですし、タカくんは他の女の子がいる時に執事の格好は禁止にしないといけませんね。好意を持つ女の子がいっぱい寄って来ちゃいます」
「お嬢様を幸せにするためにするんですから心配いりませんよ」
他の人から好意を抱かれる心配などない。
「お嬢様の幸せを実感させてあげますので、ワタシの欲求を満たしてください」
「はい」
優しくソファーに寝かしてから幸せを沢山味わってもらった。




