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みんなで人生ゲーム 2

「これ、明らかに市販の物じゃないよね?」


 人生ゲームの箱をテーブルの上に置いて隆史が開けると、中身は明らかに手作りされた物だった。


 箱や車や人を表す棒は市販のだが、盤だけが手作りの物と入れ替わっていると言った方が正しい。


 昔した時は市販の人生ゲームだったはずなのだが、誰かが中身を入れ替えたのだろう。


「良く気付いたわね隆史くん」


 ふふふ、と不敵な笑みを浮かべた真奈を見た瞬間、入れ替えた犯人が分かった。


 これを見て気付かない人などいない。


「上京する前に私が入れ替えたのよ」


 膨らみのあまりない胸を張った真奈は、何故か自身満々に言い放つ。


 上京する前に何故入れ替えたのか分からないが、帰ってきた時にまたやるとでも思ったのだろう。


 実際にこれからやるのだから。


「真奈姉のことだから普通の人生ゲームでは満足できないんだね。百合百合な人生ゲームになりそう」

「流石隆史くん、私のことよく分かってるわね」


 一目惚れしたであろう香苗に抱きつきながらこちらに親指を立てた真奈は、もはや頭のネジが緩みまくっているのかもしれない。


 いや、もしかしたら生まれつきないということもありえる。


 それほどまでに昔から言動がおかしかったのだから。


 女の子が好きなのは香奈に憧れのせいがあるからだが、ここまで気に入った子にくっつきまくろうとするのはおかしい。


「何かこのゲーム不安そうね」


 抵抗するのを諦めたであろう香苗がポロっと口にした。


 確かに百合の人生ゲームなんてないだろうし、作る人が真奈だから絶対に変なゲームになると断言出来る。


「百合百合だとタカくんと結婚出来ないじゃないですか」


 愛しの隆史にくっつきながら口にした姫乃は、不満そうにむう、と頬を膨らます。


 百合百合だと男女で結婚出来ないと思ったのだろう。


 現実で将来結婚するからゲームでは出来なくても良い気がするが、面倒なので口にしないでおく。


「リアルでこんなにイチャイチャなんだからゲームでは良くない?」

「良くないですよ、つかさちゃん。どんなことでもタカくんと一緒にいたい、結婚したいって思ってるのが私です」

「お、おう……ごめんね」


 恐らくはポロっと出てしまった一言だろうが、姫乃にとっては許せないことだったらしい。


 迫ってきた姫乃の迫力に押されてしまったのか、珍しくつかさがしどろもどろだ。


「大丈夫よ、姫乃ちゃん。この人生ゲームでは隆史くんも女の子になるから結婚出来るわ」


 姫乃にウインクしてきた真奈の一言により、この人生ゲームの世界観は女の子同士でも結婚出来てしまうらしい。


「女の子同士で結婚出来たとしても……その、タカ、くんと……出来ませんよ?」


 人生ゲームでエッチなことをするなんてことはあり得ないから大丈夫だ。


「女の子同士でも出来るから大丈夫よ。それにホテルに行って愛し合うマスもあるわよ」


 一部十八禁要素もあるということになる。


「ボケが多すぎてツッコミが追いつかない。てか誰もツッコまない」

「高橋くん、私も同感よ」


 隆史の一言に同感した香苗は、本当に面倒と思っていそうな深い深いため息を吐く。


 このメンバーでは常識人のはずの姫乃でさえボケにまってしまった。


 いや、姫乃のことだからボケじゃなくて本気で言っているのだろう。


 ゲームでもエロいことを考えてしまうのだし、こういった遊びであっても愛し合いたいようだ。


「タカくん、私はボケてませんからね。人生ゲームでもタカくんと結婚して愛し合いたいんです」

「こんなに愛してくれてありがとう。愛してるよ」

「私も、です」


 コツン、とおでこをくっつけ合って愛の確認をする。


 宝石のように綺麗な青い瞳がキスしてほしい、と訴えているかのようだが、人前だからしないでおく。


 ファーストキスは確かに外で人もいたものの、今は女性を抱く良さを知ったから人前でしない。


 もし、このままキスをしてしまったら止まらなくなる自信があるのだから。


 そのことを察してくれたらしく、青い瞳からこの後愛し合ってくださいね、とアイコンタクトされた。


 もちろんだよ、とこちらもアイコンタクトをし返すと、姫乃は嬉しそうに笑みを浮かべた。


 この笑顔だけで我慢出来なくなりそうだが、ここでキスするけにはいかない。


「香苗ちゃん香苗ちゃん、私たちもおでこくっつけ合お?」

「嫌ですよ」


 まだ人生ゲームをしていないのにも関わらず、収集が全くつかなかったのだった。

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