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幼馴染の姉は晩酌をする

「香菜さん、久しぶり」


 隆史から部屋を追い出された後、真奈は香菜の遺影が飾ってある仏壇の前にきた。


 線香に火を付けて香炉にさしてから数秒間手を合わせ、来る前に買ってあった缶ビールの蓋を開ける。


「一緒に飲みたかったわ」


 若干キャラメル色の瞳に涙を浮かべてビールを飲み始めた真奈は、香菜と一緒に遊んだ日々を思い出す。


 血は繋がっていなくても姉的な存在だった香菜に憧れていたし、彼女みたいな人になりたいと何度も思っていた。


 美少女な上に何でも即なくこなしていたためか、真奈にとって香菜は初恋だったかもしれない。


 異性じゃなくて同性に恋心を抱くのは自分でも変だと思っているが、好きになってしまったものは仕方ないだろう。


 でも、香菜がいたからこそ、真奈は自分が真っ当になったと思っている。


 共働きな両親は仕事が忙しくてそとんど遊んでくれなくなった代わりに遊んでくれたのが香菜だ。


 遊んでくれて本当に嬉しかったし、死んだと聞いた時は今まで生きてきた中で一番ショックを受けた。


「隆史くんにめちゃめちゃ可愛い彼女が出来たわ。知ってるかもしれないけれど」


 もう既に本人から聞いて知っているかもしれないけれど一応報告をする。


 銀髪美少女というとてつもない彼女を手にした隆史が羨ましくて一目惚れしそうになったが、心の中ではちゃんと祝福をした。


「それにしても麻里佳ちゃんはバカねぇ。あんなに一途で純情な男の子はなかなかいないというのに」


 先程麻里佳が隆史の告白を断ったと聞いたため、少しながら彼女に呆れずにいられなかった。


 恋心がないから告白を断るのは間違っていないかもしれないが、それでも真奈は隆史の告白を断るべきではないと思っている。


 いくら弟のように思っていたとしても、付き合っちゃえばずっと一緒にいることが出来るからだ。


 恐らく麻里佳は隆史が興奮して抱こうとしても断りはしないだろう。


 恥ずかしながらも弟の欲求を満たしてあげるのもお姉ちゃんの努めだよね、と思いながら抱かれそうだ。


「まあ今は純情とはほど遠いかもしれないけれど、一途なのは変わりないわね」


 傷を舐め合うようにして一緒になった二人が部屋でイチャイチャしておっ始めようとしていたことから、もう初体験は済ましているのだろう。


 それで女の子を抱く良さを知ってしまったため、もう純情とは言えない。


 だけど話を聞いた限りでは一途っぽいし、この先何があっても隆史は姫乃から離れることはないだろう。


 それは逆も言えることで、姫乃も隆史から離れることはないはずだ。


 今頃二人は愛し合って肌を重ねているかもしれない。


「私も混ざれないかしら」


 二人が愛し合っている姿を妄想したら混ざりたくなってしまった。


 真奈自身、もし男と付き合うなら隆史がいいな、と思ったこともあったし、何より今まで見たことのないようね美少女の姫乃がいるからだ。


 美少女が好きすぎて隆史以外の男性には一切興味を持ったことなどなく、将来彼は麻里佳と付き合うと思って身を引いた。


 だから真奈は今まで誰かと肌を重ねた経験がない。


 肌を重ねるなら隆史か美少女だと決めていたからだ。


「私たちは一生独身かしらね」


 そんなことを口にしてグビグビ、とビールを飲み、両親に対して申し訳ない、とも思った。


 これから先も男性に興味を持つなんてないだろうし、隆史を弟として溺愛している麻里佳と二人揃って結婚出来なそう、と感じてしまったからだ。


 せめて麻里佳だけでも、と以前メッセージで隆史にけしかけたことはあったのだが、残念ながら告白は断られて終わってしまった。


 不運なことにその後姫乃という存在が現れたことで、隆史は彼女を好きになって真奈の想いはもう叶わない。


「まあ、麻里佳ちゃんについては自業自得よね」


 せっかくの告白を断ってしまったのだし、あの様子では最近隆史と一緒にいる機会が減ったのだろう。


 今の隆史は姫乃を好きすぎてしょうがないといった感じなのだから。


 断っていなければ今も姉ぶれて一緒にいれたはずだ。


「過去のことを気にしてもしょうがないわね。今日はここで飲みましょ」


 一つ目のビールを飲み終えた真奈は、朝まで飲むことを決めた。

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