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転校生に見られる

「……視線が気になる」


 月曜日、学校に着いて姫乃と手を繋ぎながら話をしている隆史は、先程からある人からの視線が気になっていた。


 視線の正体は先日転校してきたばかりの香苗であり、教室に着いてからずっと見られている。


 最初は以前ずっと見てしまったから仕返しなのかな? と思ったが、香苗がそんなことをするようには見えない。


 恐らくは特にイケメンでもないのに可愛すぎる彼女が出来たのと、自分そっくりな姉がいるから気になっているのだろう。


「タカくんは何で可愛い子ばかりと知り合うんですか?」

「知らないよ」


 むう……と頬を膨らまして明らかに嫉妬している姫乃だが、何でかなんて分かるわけがない。


 確かに周りは美少女だらけなものの、姫乃以外の人は隆史を恋愛対象として見ているわけではないだろう。


 その証拠に麻里佳は告白を断るし、美希に関しては麻里佳ともっと仲良くないたいだけ、香苗にいたっては知り合ったばかりだ。


 恋愛感情がないのは一目瞭然であり、姫乃が嫉妬する理由はない。


「俺は姫乃とずっと一緒だから」

「あ……」


 優しく抱きしめられた姫乃は、嬉しそうに笑みを浮かべた。


「本当にラブラブね」


 ボソっと香苗が呟いたが、今は気にしている場合ではない。


 視線を向けるのを止めてもらいたいものの、今は姫乃を安心させるのが最優先だ。


「タカくん、タカくん……」


 頬を胸板に押し付けてくる姫乃が可愛い。


 ずっとイチャイチャしていたいのだろう。


「くぅ……教室であんなにイチャイチャと……羨まし過ぎる」


 男子生徒から嫉妬の声が聞こえた。


 嫉妬の視線には慣れているからマシだが、それでも向けられるのは良い気分ではない。


 ただ、姫乃は視線を気にせずにくっついてくるため、離れたくないのだろう。


 少し前だったら人前でくっつくのも恥ずかしがっていたが、今では恥ずかしさよりイチャイチャが優先なようだ。


 嫉妬させてしまっているのだし、くっつける時はイチャイチャしたいのだろう。


「もう離れられません」

「離れなくていいよ」


 ずっとくっついていてもいいが、人前で密着されても本能が抑えきれそうにない。


 流石に教室で興奮するわけにはいかないものの、ずっとくっついていたい気持ちがある。


「どうしたら教室であんなにイチャイチャ出来るのかしら?」


 視線をこちらに向けながら呟かなくていいが、どうしても気になってしまうのだろう。


 イチャイチャ出来るのは好きだからに決まっている。


「タカくんとこう出来るのは私だけです」


 離れようとしないのは香苗に見せつけているのかもしれない。


 イチャイチャして割り込んでこないで、と牽制をかけているのだろう。


「高橋くんは見られまくって大変ですな」


 つかさから冷やかしがはいる。


 分かっているのであれば香苗だけでも何とかしてほしいが、あえて何も言わないで楽しんでいるのだろう。


 その証拠にニヤニヤ、と笑みを浮かべているのだから。


 友達なら助けてほしい、と思ったものの、よくよく考えると隆史とつかさは友達というわけではない。


 あくまでつかさは姫乃の友達だ。


(どうしたものか?)


 姫乃にくっつかれるのは嬉しいからいいが、つかさの冷やかしと香苗が見てくるのを止めさせたい。


 どういう経緯で付き合うようになったのか聞けばある程度は教えるものの、香苗に関してはまだ仲良くなってないから聞けないのだろう。


 姫乃が虐められたから一緒にいるようになったというのは教えないが。


「これで高橋くんに幼馴染みや義妹がいたらラブコメ展開ね」


 確かにラブコメ展開ではある。


 幼馴染みはいるし、最近は後輩が妹になりたいなどと言ってくるのだから。


 隆史自身は姫乃と仲良くしていたいだけだが、幼馴染みや後輩がちょっかいをだしてくるから無理だ。


「高野さん、高橋くんに妹はいないけど、可愛い幼馴染みと後輩がいるよ」


 いちいち言わなくていいし、何故つかさは美希のことを知っているのだろうか?


 つかさは交友関係が広そうだし、もしかしたら麻里佳から美希のことを聞いたのかもしれない。


「まさにラブコメの主人公ね。観察しがいがありそうね」


 ラブコメが好きっぽい香苗からの視線により、隆史はしばらく見られるのか? と思わずにいられなかった。

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