弟が出来ました
「ステラ様、バルト様のところに行きましょう。あっ、少しお待ちください。」
そういって、メイド服から執事服へ。
なんで着替えるのかと聞いたら、特に理由はないが、動きにくいので着替えているそうだ。
執事服の姿のステラはボブの髪の毛を1つで結び、仕事が出来る女という感じで、とてもかっこよく見えた。
「お待たせしました。じゃあ、行きます。」
そう言われて長い廊下をひたすら歩く。
はぁ…また誰かに捕まってなかなか行けないのかなぁ…。
ウェディングドレス…。なんか、重くて歩きずらい。魔界では、花嫁が目立つそう凄く豪華なウェディングドレスになるそうだ。
股がスースーする感覚に違和感があるからなのか、ウェディングドレスの重さに身体が耐えれないのか、歩き方が変で、ステラに鞭で叩かれるところだった。
そんなことを思っていると誰かが、ステラに向かって走ってきた。
「あっ!ステラじゃないか!ステラ?その横の人はだぁれ?」
美少女かと思いきや、声変わり前の可愛らしい少年の声。年齢は14歳くらいだろうか?
青空色の丸々とした目。銀色のショートカットの髪。青空色のいかにも貴公子という感じの服。ショートパンツで膝が見えているのが可愛らしい。
「ルイ様、ご紹介が遅れました。この方は、マロン様、バルト様の婚約者になられた方です。」
「ってことは、僕のお姉ちゃん?」
青空色の瞳をもっと輝かせて、嬉しそうに見てくる。そんな目で見ないでくれ、変な気持ちになる。元が男とかって知ったらこの子は幻滅するのではないか…。
「そういうことになりますね。」
ステラが言った。
するとルイという子は俺の目の前で跪いて、
「ステラ姉様。自己紹介遅れました。僕の名は、ルイス・ロズです。皆には、ルイと呼ばれてます。姉様に、ルイくんって呼んで欲しいです…!!可愛い洋服が好きなので、今度姉様お買い物に行きましょう!姉様可愛いから、きっとどんな服も似合いますよ!!!約束ですよ!!」
初対面で出掛ける約束をするとは、なかなかのやり手だ。俺にはそんな能力はない。これが差というものか…。
「えっと、俺………じゃなくて、マロンです」
「知ってます(ニコッ」
取り合えず取り扱いの難しいのきた…。
笑顔が怖い。この子もステラみたいに性格がやばかったりするのだろうか、この可愛らしい見た目じゃ想像つかない事を沢山してきたのだろうか?などと沢山考えていると、ルイくんは手招きして俺を呼んでいる。
「お姉様ちょっとちょっと…」
まぁ、可愛い弟に罪はない親しくしよう。
「ルイくん?なーに?」
「あの、ステラの事なんですけど。あの人、主人の弱味握ったりするの好きなので気をつけて下さい。」
やっぱり、ステラのことは一向に理解出来ないと思います。
「っていうかぁ、姉様可愛いすぎです!!(チュッ」
「……?!」
突然の事に頭が真っ白になった。
ルイくんは、にこにこと嬉しそうにこちらを見ている。
可愛い弟ができたと同時に魔界でファーストキッスを奪われました。