俺が俺でいる最後の記憶
昔投稿していたものを、少しリニューアルしたものです。まだまだ文章を書くのが下手っぴですが、温かく見守ってくださると嬉しいです。
「…………ス……ボス…ボス!!!!!!
聞こえてるなら早く応答してくださいよ、こちら、栗田です。
は?聞こえてません?って嘘つけ!!こっちは貴方に頼まれた任務をしてるんですよ!!!」
「……クリ………ン………くりたさん………………
栗田さん!!!!!!!!!!!」
新人の部下が、甲高い声で俺を呼んでいる。ちょ、ボスと連絡を取ってるっていうのに。しかし、インカム越しに伝わってくる嫌な予感…。 その予感は見事に的中した。
「栗田さん、タスケテクダサイ」
今回の任務は、かつてから対立していた部隊の基地に隠されてあるデータを奪ってくるという、失敗してしまったら大惨事になる重大任務だ。有名な俺達と対立しているだけあって、かなりの罠があちらこちらに仕掛けられている。
ボスは罠が沢山あることくらいお見通しだろうってのに、なんで俺は新人と組まされてるんだ?新人が罠に引っかかりかけて、それを阻止する俺の気持ちにも配慮してくれ。いや…嫌がらせが大好きなボスの事だ。きっと生意気な俺に少しは大変差を思い知れっていう考えだろう。
しかし、いつも数分で行ける道を何時間もかけて行っているこの現状。流石に、俺もイライラが止まらない。
「栗田先輩!これから頑張るので最後にもう一回だけお助けを…」
「そう言って、もう3回以上同じくだりをしてる気がするんだが?」
「お願いですぅう」
優しい先輩、優しい先輩…そう心に言い聞かせて、怒りで新人を殴ってしまわないよう、血が出そうなほど拳を握りしめて気持ちを抑えた。
「今回で、ホントに最後だそ」
「栗田さんありがとうございます!さすが、頼れる先輩かっこいいっっ、ヒュ〜!!」
騙されないぞ。このご機嫌取り。かっこいいと褒められるのは嬉しいが、これは正真正銘100パーセントお世辞。少しでも、にやけ顔を晒してみろ。絶対、調子に乗り出す。なかなか、褒められる事がないので、自然にこぼれてしまった、にやけ顔を抑えるため両頬を力強く叩いた。
……っと、こんな事を話している場合ではない任務に戻らなくては……。新人を助けてから、急いで、廊下を駆け抜けていく。
やっと新人が静かになったかと思いきや、すぐさま新人の甲高い声が俺の耳を刺激する。
「クリタサン、栗田さん!!」
「次は何だよ…」
「ここの基地おかしいですよ………なんか、さっきから何かの気配がするんですけど…?」
「なんでそれを早く言わない!!!」
「話は最後までちゃんと聞くのがお約束ですよ!!」
「はぁ?そんなこと言ってる場合か?任務中なんだから、手短に話してくれなきゃこの先大変だぞ!!!!!!」
「だから、最後まで聞いてくださいよ!!人じゃない感じなのでえぇ、いいかなぁって………」
「人じゃないって?動物とかっ(((ドッドッドッドッドドドドドドドドドド
何かが猛スピードで近づいてくる……
「早く逃げろ!!!…っておいっ!新人!!
なんでそんな易々と捕まってるんだよ!!!!」
「先輩――――――――!!!!僕無理ですぅうう……助けてください!!!!!」
何か、人間では無いことは分かるそれは新人を連れてどっかに行こうとする。一体あいつらは、何者なんだ。なんで、新人を連れて行く…てか、新人!!!お前が弱いのがいけないんだよ!!!
「待て、クソがっ……」
俺が覚えている記憶はここまで。
助けにいった気はするが、新人がどうなったのかも、俺自身どうしたのかも覚えていない。
この時の俺の部下を助けようとする優しい優しい心のせいで
俺は…………あの人と共に生きることになってしまった