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夢を見た。
周りに田んぼしかないあぜ道。
そこを、右目に眼帯をした長髪の女と荷物を背負った少年が歩いている。
「あんたが死んだら、その力は俺がもらってやるよ」
少年が言った。
女は左目で少年を見やり、微笑みを返す。
「あらあら、それなら私は貴方に渡さないように生きなくてはなりませんね」
「なんでだよっ! 俺が引き継げば、あんたはもう生きさせられなくて済むんだぜ!?」
少年はしかめっ面で女を睨むが、女はそんなものを意にも返さない。
「だからこそですよ。私は、この呪いを終わらせます。もう誰にも、貴方にもこんな業を背負わせないよう、生きなければなりません。きっと貴方は私よりも先に死ぬでしょうが、それで良かったと貴方は思いますよ」
女は右目の眼帯をクイっと上げて、その目でウインクをして見せた。
その右目は紅く、どこまでも澄んでいた。
少年は不満げに唇を尖らせ、どこまでも続くあぜ道へ顔を向け直した。
「頑固師匠め」
「師匠と呼ぶのに酷い言い様ですね」
女が向けた微笑みを見て、少年は冷や汗をかいた。その様子を見て、女は「ふふっ」と小さく笑った。
「いつか貴方にも、大切な友人が、大切な家族ができるのでしょうね」
「そんなもんできんよ」
「そう思いますか……でも、もし貴方に大切な人が来た時は……その時は」
少年のほうを向き、女はこう続けた。
「その時は、是非私もその人に会わせてくださいね」
その言葉を聞いた直後、少年は布団の上で目を覚ました。




