あの日常を新たにもう一度
開いてくださりありがとうございます。
是非楽しんでいってください。
ちなみに今回のタイトル、深く考えると少し悲しくなりますね。
庭には、随分と綺麗な芝生がひかれており、つい横になってみたくなる。
「なぁ、庭に出て何をするっていうんだよ? 見た感じ特に何かあるようには見えないけど....」
そう聞くと、前を歩いていたマナが笑顔で俺の方に振り返った。
「何もない方がいいのよ。ていうか、何かあるとできないわね」
「そうなのか....」
何をするのかは本当にわからない。でもマナがあれだけ自信に満ちた顔をしているなら今は従っておこう。
すると、ユキが突然俺の横を勢いよく通って、庭の真ん中へと走っていった。
何か準備がありそうなので、一度芝生の上に座ってみる。
「やっぱいい触り心地だな....」
そう言いながら芝生を手で触れる。機会があれば一度ここでぐっすりと眠りたい。
「それじゃあユキ! お願ーい!」
突然マナのそう言う大きな声が聞こえた。
「りょーかーい!」
そう言いながらユキは手を挙げ、返事をした。
一体何をするというのだろう。
そう思っていると、突然前の方から冷たい風を感じた。
なんだと思い一度ユキの足元の方を見てみると、その立っている足の近くの芝生が凍り始めていた。
ユキは右腕を足元の方に伸ばし、目をつむっている。
するとみるみるうちに侵食し、ユキがその右腕を前に差し出す。
「オリジナルスキル....フローズンアイス!!」
その瞬間伸ばした右腕の先に、一つの大きな氷の山ができた。
パキパキと音をたてながら、冷気を放っている。
「す、すげぇ....」
ついそう声を漏らしてしまう。それほどまでに、凄まじい速さと大きさだった。
「さすがねユキ、ありがとう」
腕を組みながら氷を見て、満足そうにそう言ったマナ。
「うん! こんなことどおってことないよ!」
どおってことないか。あは、ははは....
ユキがマナに向かってそう言っている中、俺はあまりの実力差に現実に目を向けていなかった。
あまりの実力差に、とは言ったが別にまだ俺はオリジナルスキルを目覚めてから使ったわけではない。だが五年間もなにもしていないのだから、それぐらいの実力差はあるだろうという俺の勝手な想像だ。
「ちょっとアキ、いつまでそこに座ってるの? はやく氷の前に立ちなさい?」
突然当たり前のようにマナが聞いてきた。
「え? 立ちなさいって、まさかとは思うが....」
「? アキがまさかと思っているのかは知らないけど、この氷を割ってもらうつもりだけど....」
そう言われ、目の前の氷を見上げる。
「......いや、いやいや! 無理だろどう考えても! 今の俺が本当にこの氷を割れると思ってるのか?」
「さぁ? そんなのわからないわよ。結果はアキ次第でしょう?」
「それはそうだが....」
どう考えても今の俺が割れるわけがない。こっちは五年間なにもしていないんだぞ。
「アッキ~! ファイト~!」
すると氷のある方からユキが可愛らしい笑顔で応援してくれている。
「ユキまで....」
可愛い笑顔は元気になるが、今の応援だけは正直喜びずらい....
「はぁ~」とため息をついて気の引けない顔をしていると、ユキがこちらに近寄ってきた。そして、俺の耳元までそっと顔を近づける。
「じゃあアッキー....もしこの氷を割ることができたら、今日私がアッキーと同じベッドで寝てあげる////」
ユキの生暖かい吐息が、俺の耳をこそばゆくさせた。
「い、いや....寝てあげるって....お、おい....それ以上は....」
なぜかさらに顔を近づけてくる。
や、やばい....天使すぎるッッ....!!
俺はあまりの美しさに直視できなくなり、目をつむってしまった。
「ちょちょ、ちょっと!!」
そう言いながら突然、マナが俺とユキの間に割り込んできた。
離されたユキは、我に返ったように今更恥ずかしがっている。
「なな、なにしてるのかしらユキ....! てか、あんたさっきから少しずつ氷溶かしてるでしょ!」
マナがそう言いながら氷の方を指さした。
それにつられるように氷の方を見ると....確かに小さくなって、汗をかいている。
「あはは~....バレちゃった」
ユキは可愛らしく、頭に手をポンと置いた。
「可愛くしても無駄よ! さっさと元の大きさと硬さに戻しなさい!」
「も~、大きくて硬いのがいいなんて、いやらしいな~」
それを聞いた瞬間、マナは顔を真っ赤に染めた。
「い、意味が違うでしょーが! 意味が!」
大きな声でそう言い、ユキを睨みつける。
今のは....ちょっと女の子としてどうだろうか....
ユキの方に視線を向けてみると、不満そうな顔をしながらも氷を元に戻している。
本人はそういうことを口にすることを全く気にしていない。困った子だ....
「はぁ~まったく....じゃあアキ、気を取り直してやってみなさい」
そう言われ、改めて氷を見る。
今やらないと言ってもいいが、それは男としてのプライドが傷つくしな....まぁやるだけやってみるか。
心に決心をし、氷の前に立つ。
「一応言っておくが、一発で壊れなかったからって何度もやらせようとはするなよ」
マナの方に振り返り、そう忠告しておいた。何度もやらされたらたまったもんじゃないからな。
「わかったわ、一発だけでいい。代わりに、しっかり本気で叩きなさいよ」
「あぁ、わかった」
そう承諾し、一度深呼吸する。
そして、氷の中心を見つめながら腰を下げ、右腕を後ろにひきつけて殴りやすい姿勢をとる。
久しぶりに使うな....バーサークも....
俺は五年前の使っていた頃を思い出しながら、拳に力を入れる。
そして――――俺は拳にバーサークを使い、今の全力で拳を振るった。
とたん、氷は俺の目の前から消え、バラバラになった破片が前方に飛び散っていた。
「これは想像以上ね....」
ぼそっとつぶやくマナの声が後ろから聞こえてきた。
いや、これは本当に想像以上だ。
そして自分の殴った右の拳を見てみると、五年前とは違い赤いオーラが周りにもわもわと飛び散るほど膨大になっていた。
「う、嘘だろ....俺は五年間何もしていなっかたんだぞ」
俺は呆気にとられた顔で振り返る。
「どうして....壊すことができ――」
「さっすがアッキー! 壊せると信じてたよ~!」
俺が言いかけていると、ユキが後ろからがっついてきた。
だが、興奮しすぎているせいか、その腕が俺の首を絞めていることに気づいていない。
「ちょ、ちょっとユキ....い、息が....」
「あ~これで今日は一緒に眠れるね////」
「わ、わかったから....はやく....離れろ....ぐ、ぐるぢい....」
若干落ちそうな意識を保ちながら、ユキの腕をポンポンと叩きギブの合図をし、なんとか気づいてもらえた。
「はぁ~、はぁ~、し、死ぬかと思った....」
俺は息を荒くしながら、絞められた首を抑える。
「ちょっとユキ....あんた....」
げッッ! あれはまずい....
明らかに機嫌の悪そうなマナがユキの前まで行く。
まぁ、確かに今日は色々とユキやらかしてたもんな....いや、もしかしていつもこうなのか?
するとユキは、汗を垂らし相当ビビっている。
「ご、ごめん....つい嬉しくって....」
そう言うが、マナは聞く耳を持たず拳を上に大きく振り上げた。
ユキは涙目になりながら、頭を両手で抑える。
ヤ、ヤバイ....ユキがぶっ叩かれる....!
そして、マナの拳が振り下げられた。
俺は目をつぶり、耳も塞いだ。
そして数秒後、恐る恐る目を開けると、ユキの方にポンと手を置いて俯いているだけのマナがいた。
あれ? やっぱりやめたのか? ならいいんだけど....
そして、顔をゆっくり上げたと思えば、真っ赤にして恥ずかしそうにしていた。
「わ、私も....一緒に寝かして....」
「えぇ?」
「はぁ?」
その瞬間、夏の風とは思えない冷めた風が吹き抜けた。
うん、マナ。 急にどうした。
てか――――許可とる人そっち?
読んでいただきありがとうございます。
まだまだ続きますので、よろしくお願いします。




