第5話〜ルノー兄弟〜
トラバサミ兄貴「ンニャ〜、オレッチノテジャヤリズレェナァ」
慈郎「お?どしたどした?」
トラバサミ兄貴「イヤサァ〜、アノクソコクジンノカワリニオレガシゴトマカサレテルンダケドヨォ
オレノテジャシンドスギルンダヨナァ」
慈郎「あぁー………ケディか…」
ケディは残念ながら、幾人かの囚人たちと共に脱獄を試みたのだ
どこから持ってきたのか、ケディが筆頭にパソコンで刑務所のマザーコンピュータにクラッキングした後に刑務所のシャッターを開けようとしたのだ
クラッキングは成功したかのように見えたがそれはクラッカー用のパソコンであり、すぐさま脱獄計画はバレてしまいケディが看守長と取り巻きにとっ捕まえられた、という訳だ
ちなみにケディと一緒に脱獄しようとした囚人たちは看守長たちの気配に気づき、すぐに自分たちの牢屋に引っ込んだ
ケディは「あいつらも一緒だったんだよ!!!なんで俺らは知らねぇみたいな顔してんだおら!!!!」
などと言っていたがさすがに我慢の限界なのか、看守長たちに必要以上にボコボコにされ、全身縛り上げられ車に乗せられて行った
慈郎「俺が手伝おか?」
トラバサミ兄貴「イイノカ?アリガテェナァ
サヤシイヨナジロウハ」
慈郎「いいよ兄貴、気にせんといて〜な」
慈郎は自分の持ち場もあるのにも関わらず、トラバサミ兄貴の手伝いをする事にした
ちなみにトラバサミ兄貴のトラバサミは本名ではない
顔と手がトラバサミそのものだからそのあだ名で慕われている
鈍く黒い光を放つ硬い超合金の様な身体を持ち、身長は215cmである
本人曰く、本名は地球では卑猥な言葉になってしまうのでNGなのだとか
???「そういう事なら俺にも手伝わせてくれ」
慈郎「おぉ、シティザム!やたらウンコ長かったな」
シティザム「あぁ悲しきかな、ケツの穴が切れてしまったよ
これでまた切れ痔に悩む日々になってしまう……て、ウンコなんかしてないぞ」
トラバサミ兄貴「ノリツッコミイイナ
サスガケヴェレル星トップクラスノエリートダ」
シティザム「エリートだからな
この程度のことなら朝まし前だ」
このシティザム、フルネームをシティザム・ルノー
弟であるタウンザム・ルノーと共にここ地球に派遣されてきたケヴェレル星トップのエリート公務員であった
そうであった
シティザムは赤色、タウンザムは青色の硬い兜のような頭部に顔が大きい綺麗なクリスタル、全身がプロテクターのような硬さの皮膚、胸の真ん中に小さなクリスタル、身長は195前後である
この男たち、地球に来て地球のルールを聞いたのにも関わらず、お金を持たずにファミリーレストラン・ゲストで食事をした後にお金という物の存在を初めて知り、シティザムが「お金ってなんですこ?」などとアホヅラで言ってしまい弟とともにここに入所してしまったのである
厳密に言えば警察が来るまでの間訳がわからなくなってしまいパニックに陥り、近くのテーブルに座っていたギャーギャーやかましく喧騒で態度の悪いチンピラ4人をそれぞれ丁寧にぶん殴ったあと弟と共に逃走
その後2キロメートルほど逃げていたのだが路地裏に曲がろうとした時に曲がり際でおばあさんにぶつかりかけ、それを避け犬のフンを踏みコンクリートの角に後頭部をぶつけ弟と共に気絶
これがエリートの末路である
出身が超未来技術だったり、本人たちのIQが250だったりするのがとても信じられない
ちなみに大使として地球に来たため、今回の件でケヴェレル星はイカれた星というレッテルを貼られてしまった
星の王曰く、もうルノー兄弟の顔は見たくないだとか
シティザム「まぁ慈郎と似た境遇だな」
慈郎「どこがやねん」
苦笑いである
シティザム「というか慈郎お前夏で出所じゃなかったのか?」
慈郎「思いっきり間違えてたわ
今年いっぱいやってよ」
シティザム「悲しいなぁ………」
慈郎「ハーティスは無事に出ていったんやけどな
どうやらあいつは間違えてなかったみたいや」
シティザムとトラバサミ兄貴と笑いあった
みんな顔は変わらないから声だけの笑いであるが
シティザム「ところで2人とも、最近妙な噂が広まっているのを知ってるか?」
慈郎「噂?どんな?」
シティザム「何やらこの刑務所で囚人選別しているとの事らしいが…」
慈郎「選別ぅ?なんでまたそんな事」
シティザム「詳しくはわからん
ただの噂かもしれんしな」
トラバサミ兄貴「ナンカキナクセェナ」
シティザム「1番の情報屋が連れていかれたからな」
慈郎「あぁ……ケディ…」
シティザム「ま、また何か情報が手に入ったら伝えるよ」
慈郎「ん…あぁ頼むわ
ここんとこ看守たちもソワソワしとるからな」
タウンザム「なになに??!何の話してんだ兄ちゃん?」
パルム「真剣な顔して何の話さね?」
慈郎「おぉパルム、タウンザム何しとったんや?」
タウンザム「ちょっと喧嘩ごっこしてたんダ!!パルムは相変わらず強ぇや!」
パルム「いやぁタウンザムも強いや
反射神経が物凄い」
パルムとタウンザムは最近昼休憩喧嘩ごっこと称し、殴り合いをしている
ごっこといっても傍から見たら殺し合いにしか見えないので、血気盛んな囚人たちにとっては見世物になってしまっている
遂には賭け事が始まってしまったほどだ
タウンザム「勘弁して欲しいよナァ、俺たち遊んでるだけなのに」
パルム「俺たち使って賭け事してる癖にこっちには一銭も入らんねんで、アホくさいわぁ〜↑」
そこに居た囚人たちは笑いあった
ガラコ「…………………」
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猪狩「以前頼まれていた囚人たちを選別させていただきました」
手に持っていた資料を机に静かに置いた
長髪の男「おっ、ありがと♪゛
じゃ、早速……………」
長髪の男は先程の表情から一変し、真剣な眼差しで資料に目を通した
そして数分経ったころであろうか、男の口が開いた
長髪の男「よし……全部見せてもらったよ」
猪頭「えっ!?数千人の囚人たちですよ?たった数分で…」
長髪の男「僕のこと誰だと思ってるのさ
ショーク・パァン、だよかの有名なね」
猪頭「……知る人ぞ知る、ですけどね」
ショーク「はははっ、それは言っちゃダメだよ
早速だけど、この囚人さんたち出してもいいよ」
猪頭「この囚人たち……ですか?まだ刑期が残っていますが」
ショーク「いいよ別に
その代わり1つ頼み事があるんだけどね…………」
ショークは椅子からどき、猪頭の耳元まで来たあとに何かを呟いた
猪頭「………いいんですか…?極秘情報中の極秘ですよ??!!
政府に属しているもののエリートですら知らないものを何故このような囚人たちに!!?」
ショーク「良いんだ、この囚人たちからは何かを感じるんだ
本来なら僕の未来透視で見えるはずなんだけど、この人たちからは何かを感じるんだが先が見えないんだ
そこにかけてみようと思う」
猪頭「……未来予知ですか…
まぁ、貴方が言うのであれば……わかりました」
ショーク「あと1つ、今から1ヶ月後に君の刑務所に何者かが襲ってくる夢を今日の昼寝中に見たんだ
十分気をつけて…」
ショークは真剣な顔で猪狩に伝えた
感情も表情もころころ変わるヤツである
猪頭「1ヶ月後!?例のやつらですか!?!」
ショーク「わからない…確認しようとしたが、遮られた
もしかしたらアイツらの中にそういう能力があるやつがいるのかもしれない…」
猪頭「………十二分に気をつけます
今から1ヶ月後ですね?この事も踏まえて囚人選別を?」
ショーク「うん、そうだよ
巻き込んでしまうのは可哀想だけど、力を持っている物の運命だよ…随分と勝手だけどね」