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スタンディング・アース  作者: 睾善 太郎丸
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第3話〜慈郎とパルム〜

慈郎「そうか……ひどい話やの…大阪の治安悪い所に行ってもうたんやな」


少年「そうそう……俺かて普通に真面目に住めるんならそうしてるわ…でも周りは俺の事忌み嫌ってたようやな…なんでか知らんけども」


少年「一時は働けてたんやけども、ろくに仕事教えて貰えへん上にレジの金取ったいうて濡れ衣着せられた事もあったわ…そんで暴れてもうてなんやかんやでここに居るって事よ」


そう言うと少年は俯き方を落とした


慈郎「大変やったの…心中お察しするわ」


数秒間を置いて慈郎は買ってきたナイロン袋に手を出した

その中にはアイスやら飲み物が入っていた


慈郎「ほれ、食えよ

美味いぞぉ〜パキシェルは」


少年「おっ、あんがと……………うん、美味しい!!!」


少年はアイスを頬張るとパキパキッといい音をたたした

やはり、暑い真夏時にはアイスが1番である


慈郎「そういやお前、名前なんて言うんや?良かったら教えてくれよ」


少年「ん?あぁ…………コード・258…やったかな」


慈郎「へ?ちゃうちゃう、名前や名前

ほら、俺の名前慈郎やろ?」


少年「あぁ、そっちか…無い」

すると少年は皮肉を込めたような暗い表情で俯きながらほくそ笑んだ

その笑みにはポジティブさは感じられない


慈郎「無い?んなアホな

働いてたんやろ?どないしてたんや?」


少年「そん時は雑巾やらゴミやら蔑称で呼ばれてたわ

今思い出すだけで腹立たしい……………」


少年曰く、働ける奴なら即採用というガバガバな面接の職場に行き、働いていたという

住所も名前も履歴書も住民票も必要無しという闇の巣窟のような会社である


慈郎「なんやそれ………どこの会社や?」


少年「なんやったか、スーパーボノビヤってこと」


慈郎はおったまげた

関西では大手のチェーンスーパー店がこのような穴だらけシステムだったとわと

真面目に履歴書を用意して入社した人の隣で名前も住所も無い人が働いてるとなれば、大問題である


慈郎「俺も昔働いてたんやけどの…そこ

確かにブラックやったな」

慈郎も皮肉をこめ、ほくそ笑んだ


慈郎「………パルム」


少年「え?」


慈郎「パルムってどうや?名前」


少年「パルム…俺の名前?

……悪く無いと思うぜ……なんか、響きがいいや……ってか!!!今慈郎が食うてるアイスやんけ!!!!」


慈郎「ん?バレた?いやぁ、このアイス大好きでよ

でお前顔も綺麗やし、髪の毛もサラサラやし、良い奴やし、柔らかくも硬い意思のあるような名前でパルムや」


少年「……そんな意味見込められてるわけないやろ……てか良い奴とかわからんやろ…話したばっかしやのに」


慈郎「でもパルムから嫌な感じはせんのよな」


パルム「ふーん……お前も結構変わってるよな…お前に付き合う俺も俺やけど

てかもうその名前でいくんか!?定着早いなぁ……」


慈郎「改めてよろしくの、パルム」


パルム「………おう、サンキューな」



アナウンス「昼休み終了まで残り5分を切った!!!各自、持ち場に戻れるように準備すること!!!!」

大音量で音割れアナウンスが鳴った

夢中になる事があれば、時間なんて容易く流れるものである


慈郎「おっと、もうか

早いなぁ……パルム自分の部屋(独房)あるか?これ持ってけよ

ご飯」


パルム「確かに早いな

ん、ありがたく貰うぜー」


パルムに弁当などを渡した慈郎は頭の後ろに腕を組み、のんびりと持ち場に戻ろうとした


パルム「あ……あのさ」


慈郎「ん?」


パルム「その………最初酷いこと言うて…ごめん

傷ついたやろし……それと…ありがとう」


話し終えたあとのパルムの表情は先程とは別のものになっていた

綺麗な顔立ちに長いまつ毛、鮮やかなブルーの目には光がさしていた

それを聞いた慈郎は


慈郎「おう!!!」

とサムズアップをし、持ち場に戻っていった


パルムも少し満足気な顔をして、持ち場に足を急いだ


2人の間にも微かながらも、光が差し込み始めたのかもしれない












































パルム「…………………これ7割ゴミやし弁当に関しては食いかけやんけ………」



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