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地獄の始まり




翌朝。

同じ通学路を並んで歩くカルデラが、神宿に対して尋ねた。



「それで? 結局アーチェさんとはどうなったんですか?」



というのも、昨夜。

今まで眠っていたアーチェがやっと目を覚ましたのだ。

だから、何かしら話でもしたのだろう、とカルデラは思い、そう聞いてきたのだが、



「いや、あのまま会えずじまいだよ。ファーストの奴が勝手に連れて行って、それっきりだ」

「えー……」

「まぁ、何かしらあっての事だろうし、また本人に聞けばどうにでもなるとは思ってるんだけど…」



と、神宿はそこで一度言葉を切り、溜息をつきながら後ろに振り返る。


そして、少し離れた所にいる、




「なぁ、別に俺たちは何も気にしてないから、こっちに来いよ」

「うぅ、で、でも、私……色々と噂が…」



木の陰に隠れるように距離をとって登校する少女、カフォンにそう言葉を投げかけるのであった。







どうにも自身の悪評が神宿たちにまで降りかかるかもしれない、と思っているらしいのだが、



「はぁー、っ、全く」



流石にしびれを切らした神宿が頭をかきながら、ズカズカとカフォンの元へと近づいていき、



「えっ、えっ!? 」



ガシッと、その手を掴み。

そのまま引きずるようにして、カルデラの隣に無理やり連れて来た。

そして、



「それじゃあ、後は頼んだからなー」

「はい、わかりました」

「えっ!? え!!? えっ!?!?」



バトンタッチのごとく、カフォンの手をカルデラに手渡した神宿は一人学園へと歩いて行く。


ポツンと残された二人の少女。


ニッコリと笑うカルデラに掴まれたカフォンは一人、羞恥と動揺の狭間で揺さぶられながら、





「それじゃあ、行きますよ? カフォンさん」




こうして、学園への強制連行をさせられるはめに合うのであった。










ーーーーだが、この時。

彼女たちはまだ知らなかった。




学園にて待ち受けるーーーーーーーーーーーーー地獄を。













自身の教室につき、席に座る神宿はいつものように授業が始まるのを待ちながら、欠伸をついていた。


だが、そんな彼のいる教室内では、




「ねぇ、聞いた? 何でも授業内容が大幅に変わるって話」

「ああ、何でも学園長直々の指示らしいって」

「珍しいよなぁ」



どこから出てきたのか分からない噂がチラホラと聞こえてくる。

神宿はそれを若干眠たげでそれを片耳で聞いていたのだが、




(ん? それって、確がファーストが言ってた…)




ふと、そう思い出したーーーーちょうど、その時だった。







教室のドアが、ガラガラと開かれる。


そして、その後にゴリゴリというまるで重いものを引きずっているかのような音と共に、担任教師がドッと疲れた様子で教室に入ってきた。


しかも、その手には紐付きな大きな荷物を引きずってだ。







「はぁ、はぁ…、えー、それでは、今から授業をっはじめます」


無茶苦茶ヘロヘロの担任教師。

そんな彼の様子に生徒たちが動揺する中、




「ち、ちなみに、皆さんには今日からコレを腕につけてもらう事になります、が……はぁ、はぁ……くれぐれも拒否などしないようにしてくださいっ。これは…お、王家貴族からの命令でもありますので」



王家貴族。

その名を聞いた生徒たちが皆して、驚きを露わにするが、


(王家貴族…?)


今まで聞いたこのない言葉に神宿は一人、首をかしげるのであった。







そうこうしている間にも担任教師から配られたそれを、皆言われるがままに片腕に取り付けていく。



外見は全くデザイン性のない至って普通の金属製の腕輪。


しかし、神宿が取り付けた直後、




「ん?」




それは微力だが、まるで魔力が吸われているような違和感に気づき…。





その一方で、生徒全員が腕輪を取り付けた事を確認した教師は続けて口を開き…。






……言ったのである。












「えー、それでは今から全員外のグラウンドに出てください。これからクラス対抗の玉当てを行いたいと思いますので」




ーーーーー玉当て?




「……え」




と、固まる生徒たち。

だが、そんな生徒の中にも、



「やったー! 授業なしだぜーっ!!」



と、はしゃぐ男子生徒もいた。





だが、その時。

ビビッ!! という音と共にーーーーーーーその次の瞬間。




「ぅおっ、ぇっ、ぐぎゃぁっ!?」





ドン!!! という音と共に…。

まるで何かに反応したかのように、腕輪の重さに負けた男子生徒が顔面から床に落ちた。







「…………………」







今度こそ、全員言葉をなくし固まる生徒たち。

担任教師もまた苦い表情を見せながら、コホンと咳をつき、




「ちなみにその腕輪には、ある一定の魔力を感知すると急激な重さが掛かるよう魔法が施されているようなので、皆さん注意してください」




先に言えやーーーっ!! と突っ込みたくなる注意を説明を行われた…。





「…………」





直ぐそばで鼻血を流して倒れる男子生徒を見つめる神宿は、顔色を青くさせながら、




(…そう言えばアイツって、あれでアーチェの師匠だったんだよな…)






師匠のまた上の師匠。

大賢者ファースト、直々の特別授業がこうして幕を開けるのであった。





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