表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

98/156

難題を抱え




「こんーーーの馬鹿弟子がっ!!」

「痛いーーーーーーーっ!?!?」



ーーと、現在大賢者にて叱りを受けている賢者アーチェ。


あの後早々に叩き起こされ、そのまま部屋の中でお説教モードに突入しているわけなのだが、



「すぅー、すぅー」

「ん……ふぅ……ふぅ…」



リビングに残る神宿の目の前には、力尽きたようにテーブル上に両腕をつけ眠るカルデラとカフォンの姿がある。


先程まで散々逆上のごとき追求をしてきた彼女たちだったが、流石に魔力不足もあって眠ってしまったらしい。



「はぁ…」



神宿は溜息をつきながら、タオルケットを彼女たちの背中に掛けた。


そして、大賢者ファーストがアーチェを見ていてくれている中、神宿は一人、訓練場へと歩いていくのであった。






「ば、馬鹿っ!? そ、そんな酷いことしなくてもいいじゃな」

「そんなの当たり前じゃろうが、この馬鹿タレ!! ワシの言いつけをことごとく無視しおってからに、今日は朝までみっちりお仕置きじゃっ!!!」

「そんなーーーーーーっ!?」












夜ということもあって、暗い室内。

更には約一名のせいもあって、壁には穴が空き、風が入って涼しいくらいだ。



「ふー………ウォーター」



神宿は呼吸を取りながら、一つの水魔法を唱え、作り出す。

そして、



「《スピン》」



その魔法に回転の特性を備え付けた。

直後、宙を浮く水の玉がその場で回転を始める。





神宿自身が考えてたどり着いた一つの特性を備え付ける技法、アップチェイン。


外見は至って簡単に見えるソレだが、その実は、かなりの高難易度の技法とも呼べるものだ。








だが、現状。

今、問題となるのはこの次であり、



「《スピン》」



神宿はもう一段階、特性を備え付ける。

それも慎重に…ゆっくり…と、




「っ…ふぅ…」




そして、精密な機械を操るかのように特性を重ね合わせ、まるで折り紙の紙同士を重ね合わさるように、二つ特性が交わろうとした。





「っ!?」






だがーーーその次の瞬間だった。


接触と同時に火花がちったかのように、互いの力が反発し合い、神宿の手から弾け飛んでしまった。



そして、神宿もその反動に押されて後ろに倒れてしまう。







「ーーーっ、ぅ」



軽く頭を打ち、呻きながら体を起こす神宿。

そして、自身の手を見ると、やはり反動に負けてか小さな切り傷が生まれていた。




「はぁ〜」



今回の失敗を合わせても、もうこれで何十回目となる。



練習あるのみ、とはよく言う。

しかし、成功するビジョンが全く見えない。



(反動に負けてこっちまで怪我してるようじゃ、実用性は皆無だよな…)




答えが見えないことに多少の苛立ちもある。

神宿は疲れたように体を床に倒しながら、これからどうするか、と真剣に悩んだ。




「…反動で、手がもたない…か」



傷だらけの手の怪我が自然治癒スキルの影響で徐々に治癒されていく。





「手が、怪我をしない方法…」





反動を抑え、なおかつ特性二つを交じり合わせる技法。



本当にそんなものがあるのか?




「……はぁー」




結局結論は出ず、この日もまた悩みの種が咲くことはなく終わりを迎えるのであった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ