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平和の見返り



大賢者ファーストがカルデラに手渡した魔法具。


ただの筋力だけでは持ち上げることすら困難な武器。

それが、彼女の持つ藍色の剣だった。



しかし、筋力とは視点を変え、魔力をその身に纏わせることによって、その剣は紙切れのように簡単に持ち上げることが出来る。


そうとわかってしまえば、後は簡単だ。




「よ、よし…っ」




カルデラも同じようにして、魔力を身に纏わせようと、しーーーーー



「ねぇ、トオル」

「ん?」



じっと固まるカルデラは、ゆっくりと神宿に振り返りながら………尋ねる。





「そもそも、魔力ってどうやって体に纏わせるんですか?」














結果として、ーーー何をするにも基礎が大切なわけであり…。



場所は訓練場へと戻り、現在、初期魔法を利用した魔力維持の修行をしているわけなのが、


「と、トオル……っ、う、腕が…」

「まだだ。初めてそんなに時間も経ってないから頑張れ」


うえええーん!! と泣き言をこぼすカルデラにそう言い渡す神宿。

一方、その隣でも、



「あ、アンタ……わ、私も…」

「お前も同じだ馬鹿。諦めろ」



私だけ酷くないっ!? とカフォンもまた、同じようにして神宿にそう言い渡されていた。







「しかし、まさかここまでじゃとはな…」



訓練場の壁際にて、宙を浮く彼女。大賢者ファーストは大きな溜息を漏らす。

そんな彼女の言葉に疑問を覚えた神宿は、首を傾げながら尋ねた。


「ここまでって、何がだよ?」

「む? ああ、何がって……まぁ、実力が、じゃな」



現状、共に一つの魔力を維持することに必死なカルデラとカフォン。



ちなみにカフォンの赤い銃については、既に改修済みだった。



が、しかし…。

いざ使ってみようとした所、魔力制御が全くしてできておらず暴発しかける事態となり、そんなわけもあってカフォンもまた、もう一度この場所に連れて来られた次第だったのだが、



「ワシが若い頃じゃったら、あれくらいの年代の小僧どもは皆ホイホイっと上位魔法を簡単に操っておった」

「…………」

「……しかし……まぁ、あの頃は魔族も野蛮な奴らが多かった分、皆生き残るのに必死じゃった………それが大きく関係しておったのじゃろう…」

「………つまりは平和になったから、ってことか?」

「……うむ。……まぁ、そう言うことになるのじゃろうな」



平和になった事が、決して悪いという意味ではない。

それを不定することは、過去に戦って死んでいった者たちにとっての侮辱になるからだ。



だがしかし、それでも自己防衛としての力が激減している事については、大きな問題がある。





「学園長に言って、少しは実技授業のレベルを上げさせるか…」



ボソボソと、真剣な顔つきでそう呟く大賢者ファースト。

神宿はそんな彼女の様子を茫然と見つめながら、



「む? なんじゃ?」

「え、あ、いや。何んていうか………ちゃんと大賢者をやってるんだなぁ、って思って」


そう、素直な感想を言ってしまうのであった。






「ふむふむ、そうじゃろそうじゃ…………おい、今何か凄く失礼なこと言いおったよな?」





そして、ギロリと向けられる視線に、神宿は全力で顔を背けるのであった。





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